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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

ツインタワー25【R18】

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ツインタワー25【R18】

ホテルの部屋へ戻って時刻を確認する。連日の残業と飲み会に身体は疲弊していたが、ここで連絡を怠って泣かれても困るので、スマートフォンを手に取る。呼び出し音が鳴り始めてすぐ途切れる。ネクタイを解く間すらなかった。

『真さん、お疲れ様です。』

「お疲れ。」

電話越しに弾む声がする。電話が鳴るのを待ち構えていたのかもしれないと思うと、自然に疲れた心も癒される。最後の仕事を入社三年目の若手に引き継いだら、思いの外手こずってしまい、心底疲れたのだ。

『今日、美味しいお店見つけたんです。今度行きましょ?』

「そう、楽しみにしてるよ。ところで、今日の昼間、他に何か言いたかったんじゃないのか?」

『・・・』

恋しがってほしい。言葉でもちゃんと言わせたい。

『やっぱり・・・迎えに行きたいです・・・』

「それは、ダメ。」

『ダメなら、言わせないで下さい。なんか凄く意地悪・・・』

言葉の端々から会いたい気持ちが漏れ伝わってくる。それが嬉しくて、何度だって確かめたくなるが、あまりやり過ぎて怒らせても厄介だ。

「拗ねるなよ。その日の夜はちゃんと空けとくから。」

『・・・ホントに?』

遠慮がちでも期待に満ちた声に、真も満足する。

「その美味しい店とやらに二人で行こう。」

『はい。』

「そういえば、何か日本から持ってきてほしい物はある?」

『持ってきてほしい物?』

「ずっと日本に帰ってないんだろ?」

『あぁ・・・でも、特にはないかな。』

「そう?」

『真さんに・・・早く会えれば、それでいいです。』

こんなに恋しがってくれるなら、帰り甲斐もあるというものだ。それと同時に腰が僅かに疼いてくる。

「理央、今度どこかへ行こうか。」

『どこか、って?』

「二人きりでゆっくりできる場所。」

『ッ・・・』

逐一そんな事で息を呑んで反応してくれるから、揶揄いたくなるのだ。

「あれ? 行きたくない?」

『行きますッ』

慌てて言葉を被せてくる理央に笑う。相手が自分の言葉一つで右往左往してくれるのが嬉しい。そんな自分に性格が悪いなと思いながらも、幸せで浮ついてしまう心をどうすることもできない。

電話越しに溜息をつくと理央が心配そうに尋ねてくる。

『疲れてるんですか? 引き継ぎ大変ですもんね。』

しかし疲れているから溜息をついたのではない。

「というより、おまえの声聞いてたら前がキツくなってさ。困ってるところ。」

『えっと・・・?』

下半身に集まった熱がズボンの前を押し上げている。ベッドに仰向けになって、前のチャックを下ろした。

『真さんのバカッ!』

無言だった理央が電話口で突然怒り出す。意味がようやくわかったらしい。けれどそんな声にすら煽られてしまって、引っ込みのつかない状況になった。

「理央、冗談だよ。」

『もうッ』

本当は全く冗談ではない。けれどこれ以上揶揄うと本格的に怒り出すだろうから、彼の声を耳に聞きながら、頭をもたげた分身に手を添えた。少し息が詰まったが、きっと電話越しにはわからない。

『・・・真さん・・・?』

「ん? 何?」

『何っていうか・・・急に黙っちゃったから・・・』

「可愛いなぁ、と思って感慨に耽ってたところ。」

理央の声が聞こえてくるだけで、手の中の硬茎がどんどん質量をもってくる。

『俺、可愛い、ってキャラかな・・・。』

くるくると表情が変わって可愛いと思う。真の前では一所懸命だ。失敗したとしても、それすら可愛く思える。少なくともかつての自分より彼の方が素直だ。

「愛嬌があるって言えばわかる?」

『そう、かな・・・?』

電話口で考え込み始めた理央に笑って、スマートフォンのマイク部分から少し口を離す。詰めていた息を吐き出して、タオルを手繰り寄せて扱く手を早めた。ただの自慰とも少し違う。けれど自分で慰めて吐き出す行為であることには違いない。あまり長引かせると虚しくなるので早く終えてしまいたかった。

『でもそれ、真さん限定かも。』

理央の言葉にとどめを刺されて、分身がドクリと波打つ。白濁の蜜が先端から噴き出た。邪な心ごと出し切るべく、少し強引に扱くと腿が戦慄いて数度勢いよく射精が続く。

「ッ・・・そう?」

声が少し震えてしまったかもしれない。無理矢理一つ深呼吸をして、言葉を繋ぐ。

「それでも・・・可愛いよ。俺にとってはね。」

『真さんがそう言うなら、そういう事にしておきます。』

ぶっきらぼうな言い方に照れを感じ取って、微笑ましくなる。無性に抱き締めたくなって、少し寂しくもなった。

機械的に処理する時とは違う浮遊感。そして恋しく思う気持ちが、意識を電話の向こう全てに傾けさせる。明日も仕事がある。長々と電話をしている場合ではないし、汚したものも洗い流さなくてならない。名残惜しく思いながらも、就寝を切り出す。

「理央、毎日少しずつ掃除もしろよ。」

『会えなくて寂しいのに・・・何で小言なの・・・』

「ほら、もう寝るぞ。おやすみ。」

『・・・真さん、俺のこと好き?』

「好きだからおまえの声が聞きたくて、こうやって電話してる。何が心配?」

ついでに恋しい彼の声を聞きながら慰めたなんて知ったら、どう思うだろう。

『まだ、夢を見てるような気がして・・・。両想いになれるなんて思わなかったから。』

随分可愛いことを言ってくれる。夢を見てるようだと心配するなんて、どれだけこっちを喜ばせるつもりだろう。

「ずっと醒めない夢だと思えばいい。」

『・・・うん。』

敬語とタメ口が混ざり合う。理央はまだ、真の距離を測りかねているのだろう。職場では上司と部下なのだから、砕け過ぎるのも躊躇してしまうに違いない。

『真さん・・・おやすみなさい。』

今度は理央から告げてくる。切る決心が付いたのだろう。

「おやすみ。」

もう一度真からも告げて、名残惜しくなる前に、すぐに通話を切った。途端一人の寂しさを感じ、鼻には青臭さを生々しく感じ取る。一人苦笑して、まだ少し芯の残る陰茎をタオルで拭った。

「一週間も我慢できないとか、重症だな・・・。」

今までこの精力はどこに隠れていたのだろう。一ヶ月しないこともザラだったのに、今やこの有様だ。一刻も早く戻って彼を補給したい。そう思わずにはいられない真だった。













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