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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

ツインタワー23

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ツインタワー23

身体がいつもより火照っているのを感じて瞼を開く。すると大きな塊が自分にしがみついていた。真は自然に笑みを零す。しかし動こうにもしっかり背まで片腕が回され、身動きが取れない。首だけ回して時刻のわかるものを探したが、時計やそれに代わるものは見当たらなかった。二日酔いは全くない。むしろ久々に身体に燻る熱を発散して、頭がすっきりしたくらいだ。

「ん・・・」

真が動く気配を察知したのか、理央が身じろぐ。真の腿に理央の兆したものが布越しで当たって、若いなと呑気な事を思った。彼の頬にかかる髪をそっと手で払い除けると、理央の瞼がピクリと動き、間もなく開いた。

「・・・ぁ・・・」

「おはよう。」

「真、さん・・・?」

問いには答えずそっと唇を重ねて組み敷いた。寝起きの理央は焦った顔をするものの、頭が回らず力も入らないのか、されるがままだ。

「ぁ・・・ま、待って・・・」

否定の言葉を聞くと、どうやら自分は虐めたくなる質のようだ。理央の焦った声に腰の前が重くなる。

「そ、そんなつもりじゃなくて、朝だからッ」

腰を擦り付けて理央のモノを刺激すると、顔を真っ赤にして泣きそうな声で単なる朝の生理現象なのだと主張する。しかしそんな事は最初から真にはわかっている。わかった上でのちょっかいなので、理央の主張を軽く流していく。

「したくない? やめる?」

「ッ・・・だって・・・」

思い切り居た堪れないという顔をしてきて、理央は視線を逸らす。

「真さん、なんかキャラ違う・・・」

「おまえの事をね、こねくり回して・・・こうやって恥ずかしがる顔を見て、愉しみたいだけ。」

「趣味悪い・・・」

思い切りむくれて見せる姿につい笑ってしまう。誰が何と言おうと、やっぱり理央は可愛い。

「さて、起きるか。ご飯食べるぞ。」

「・・・。」

「なんだ? まんざらでもなかった?」

「もう・・・ホント、やだ・・・。」

すっかり怒った理央に、それなりの力で脛を蹴られて報復される。少し揶揄い過ぎたかもしれない。痛さで眉根を寄せて謝ると、ひとまず溜飲を下げたのか、むくれ顔のまま真の肩口に顔を埋める。

頬にそっと口付けると大人しく受け入れてくれる。気を良くして抱き締めると、途端に耳まで赤くした。

長年、上司と部下で過ごしてきた自分たちにとって、恋人になることへのハードルは低くはない。気恥ずかしさもあるし、小難しい問題もある。この関係は簡単に露呈させるわけにもいかない。

二人でゆっくり歩いていきたい。仕事では前へ前へと全力疾走しているからこそだ。大切なものをちゃんと理央と分かち合っていたいから、自分の素を隠したくはない。元来自分は特別真面目なわけではないし、こんな風に慕ってもらえるほどの人間だろうかと疑問にも思う。

「理央、俺のこと少しずつ知って。」

額を合わせて俯き加減の視線と目を合わせる。すると理央が本音をポツリと溢す。

「真さん・・・俺ね、真さんに嫌われたくない。真さんのこと沢山知りたいけど、自分を知られるのは怖い。幻滅されるかもって・・・」

「そんなのお互い様だろ?」

「・・・そう、ですか? 真さんも?」

「そりゃ、そうだ。」

目を逸らさず真が断言すると、返事の代わりにたどたどしいキスが返ってきた。真の後頭部に手を添え、恐る恐る重ねられた唇が愛おしい。微笑んで今度は真の方から唇を重ねると、ホッとしたように肩の力を抜いた。

この歳になって甘い恋を味わえるなんて思ってもいなかった。とても単純に、幸せだと思う自分がいる。

伸びをしながらベッドの上で身体を起こすと、理央も倣うように身体を起こした。今の自分なら窓の外の熱気に負けないくらいの気力が溢れている。立ち上がって、さぁ掃除だな、と口にすれば、理央がギョッとしたような顔で真を見た。






 








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