*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。
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カーテン越しにも強く降り注ぐ日差しの威力に負けて目が覚める。真は瞼を徐々に開いて部屋を見渡し、最後に隣りで寄り添う塊に目をやった。
寝入った時と同じ穏やかな顔で眠る理央は、どこまでも無防備だ。その寝顔を微笑ましく思いつつも、覚醒した頭が部屋の惨状も思い出し、真は理央の頬をつねった。
しかし少し眉を寄せただけで起きる気配はない。自分は一度目覚めてしまうと二度寝ができない性分だ。コーヒーでも飲むかと電気ケトルにミネラルウォーターを注ぎ入れ、スイッチを入れた。マレーシアは水道水が飲めない。浄化装置は付いているのだが、慣れていないと腹を下すこともある。極力危ない橋は渡りたくない。
朝食になりそうなものを探したが、冷蔵庫にはこれといって何も入っていない。何か買ってくるかとベッド脇に置いていた鞄に手を出した時、ベッドの上で理央が動き出した。
「ふぁ・・・」
間抜けな欠伸につい笑みが零れる。無防備もここまでくると色気の欠片もない。
「・・・?」
部屋を見渡していた眠気まなこが真を視界に入れた途端、驚きで見開けれる。
「ま、真さん!?」
「そうだけど。」
「えっと・・・えッ?」
慌てふためく理央につい我慢がきかずに吹き出す。寝癖の酷い髪が何だか愛らしい。
「昨日飲みに行って、そのまま潰れて寝たんだよ。誓って何もしてないからな。」
「ッ・・・」
目を瞬いていたが、急に頬を赤らめて俯いたので、昨夜のことを思い出したのだろう。
「すみません、俺・・・」
「まぁ、可愛い寝顔が見られたから許す。」
「・・・。」
耳まで真っ赤にして縮こまってしまった理央の横に座る。顔を覗き込むと、視線を感じたのかチラリと見上げて、恥ずかしそうにまた視線を逸らした。
「俺、ホント何やってるんだろ・・・」
「おまえのそういうところも、俺は好きだけど?」
調子に乗って揶揄えば、ついに耐え切れなくなったのか、思い切り腕を叩かれる。
「真さん、俺で遊ばないで下さいよ・・・」
「悪い、悪い。」
「全然悪いと思ってない。」
むくれた顔を抓っていたら、理央がハッとして身体を遠ざける。
「どうした?」
「お風呂入ってない・・・。ベッド、ごめんなさい・・・。」
急に萎れた理央に苦笑して、風呂に入ってこいと促す。そういう事には気が回るくせに、あの部屋の惨状はどういった領分なのだろう。
「理央、おまえ部屋が随分汚かったけど?」
「・・・見ちゃいましたか?」
「昨日バッチリ見させてもらった。」
「俺・・・片付けるの、苦手で・・・」
「そうみたいだな。」
カラ笑いをして誤魔化しにかかった理央に言いつける。
「今日は掃除だ。」
「・・・え?」
「掃除だからな。」
「・・・はい。」
完全に職場の上下関係に戻って、理央が深く項垂れる。恋人というには、甘い空気がほど遠い二人だった。
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