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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

ツインタワー19

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ツインタワー19

今日の告白に至った経緯を話せば、理央は完全に魂が抜けたように脱力した。

「どうしてよりによって、堂嶋さん・・・」

もう何度目かわからない言葉を呟いて、自ら潰れようとしているかのように、理央は度数の高い酒を浴びるように飲んでいた。真は理央のハイペースには付き合わず、冷静に横で宥めながらグラスを傾ける。

「もう、ホント、信じられない・・・週明け堂嶋さんに会いたくない・・・」

「朝から堂嶋のチームと会議だろ。」

「そんなのわかってます・・・っていうか、何で真さんそんな平気な顔してるんですか?」

別に平気なわけではない。堂嶋に知られているのは居た堪れないし、正直崩れ落ちたい気分だが、今さらどうすることもできない。要は開き直っているだけだ。

「午前中、半休じゃダメですか?」

「どうしても仕事が手に付かないって言うなら、いなくてもいいけど。でも、どうせすぐに顔合わせるだろ?」

「鬼ッ!」

「なんとでも。」

文句を言って、拗ねてくれるのも気を許してくれているからだ。甘い雰囲気とは程遠いけれど、それでもこういう時間が愛おしくて、真は心が安らいだ。

昔からそうだった。日頃は文句一つ言わないで黙々とついてくるくせに、酒が入ると少し開放的になって愚痴を溢す。しかし嫌味はなく、むしろ愛嬌すらある。そういう憎めないところが好きで、可愛いと思っていたのだ。

「真さん・・・」

「ん?」

「眠い・・・」

「おい、ここで寝るなよ。」

「お姫様抱っこ。」

「できるか、バカ。」

想像するのも憚られて、即座に却下する。酔っ払った理央の鼻を摘めば、少し照れたように笑った。

これは相当酔っ払っている。グラスの中身を口に運ぼうとする理央の手を止めて、引っ張り上げて立たせる。

「ほら、もう帰るぞ。」

「イヤです。もうちょっと。」

子どものように駄々を捏ね始めた理央をなんとか立たせて、引き摺るようにタクシーまで引っ張っていく。せっかく綺麗な夜景が臨めた日なのに、自分たちはどうやらそういうものとは無縁らしい。情緒の欠片もない展開にも、真は全く残念な気持ちにはならなかった。

十分ほどタクシーに揺られて着いたコンドミニアム。理央のポケットから何とか鍵を探り当て、ドアを開けて絶句する。

「おまえ・・・何でこんなに汚いんだ・・・」

「うん・・・?」

会社では身の回りを綺麗にしていたはずだ。ということは、どうも本性を隠していたらしい。

食べ残したようなものはさすがにないが、テーブル周りは本や書類が、ベッド付近には脱いだものが散乱している。しかも角には埃の塊まで見えて、真は無意識のうちに後退りをした。

自分では特別綺麗好きだとは思っていないが、この惨状はさすがに許容できず、理央を支えながら部屋を後にした。しっかり施錠して、自分の部屋へ向かう。泥酔している今、何を言っても駄目だろう。

真は世話の焼ける後輩に溜息をつきながら、理央を自分の部屋へと招き入れた。ベッドに横たえてやると、すぐに規則正しい寝息が聞こえてくる。

真はシャワーを浴びるのが面倒だと思いつつも、汗でベトついた肌をそのままにする気にはなれなかった。

すっかり気持ち良さそうに寝入っている理央に目をやり、また一つ溜息をついて彼のベルトに手を掛ける。そしてそのままスラックスを脱がせてハンガーに吊るした。後で皺になると厄介だ。子どもの面倒を見る母親のような心境に、何だか笑ってしまう。

「浴びてくるか・・・」

理央に背を向けてシャワールームへ向かう。身体は疲れて重くとも、心はふわふわと軽やかで満ち足りた気分だった。













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