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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

ツインタワーⅡ-24

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ツインタワーⅡ-24

勝田にバレていた事を小野村に報告するにしても、一応本人の許可を取っておこうかなと思い至る。この際、自分と勝田が知り合った経緯から話してしまうおうと思ったからだ。

小野村に隠し事をされるのが嫌だと言った手前、自分から隠し事をしたくない。しかし上司である勝田の性癖をベラベラ喋るのも躊躇われる。結局自ら勝田に連絡を入れる結論に至った。

『ついでに俺が尻軽だって事実は伏せておいてね。小野村お固いから。選択肢外しとかないと、盗られる心配するでしょ?』

「真さんは、そんな意味のわからない心配したりしませんから!」

『いやぁ、世の中わからないよ。』

「揶揄ってますよね?」

『案外、本気かもよ?』

自宅だから何の遠慮もなく話せると思ったのが失敗だった。遊ばれているのはわかっているものの、段々頭が痛くなってくる。

「もう・・・切ります。」

『これからデート?』

「ほっといて下さいッ!!」

自分から電話を掛けておいて、上司に投げる言葉ではないが、いつまでも相手をするわけにはいかない。小野村を彼の部屋で待たせているのは事実だった。

「夜分にすみませんでした。」

半分棒読みで告げれば、また可笑しそうに笑いながら、いつもの如く唐突に通話は切れた。

小野村にバレていることを打ち明けても良いか。勝田と自分との関係を話してしまっても良いか。聞きたかったことはそれだけだ。しかしその回答を得るために、小野村との時間を二十分近く削られたことに、肩を落とす。

終始、勝田に主導権を握られた通話。やっぱり営業部長をやっているのは伊達ではない。口で敵うなど、自分には到底無理な話だった。

 




 


インターホンを鳴らすとすぐに迎え入れてくれた小野村に、踏ん切りが付いている今、さっさと事実だけを話した。頭を抱えるかと思いきや、彼の反応は苦笑だけだった。

「年末会った時、意味深な目で見られたからな。まぁ、やっぱりというか・・・」

自分は相当鈍いらしい。それとも小野村や勝田の勘が良過ぎるのか。どちらにしても、能天気でいたのは自分だけ、ということになる。頭を抱えたくなったのは理央の方だった。

「それに、そっちの人だっていうのは何となくわかってた。男を諭しこむっていうか・・・そういう雰囲気あるよな、あの人。」

勝田の事をそんな風に評価していたなんて初耳だ。もしかして彼に魅力を感じてしまったりしているんじゃないかと、今度はそっちの意味で心配になってくる。勝田が指摘していた方向とは違うが、あながち冗談ではなくなる。

「真さん・・・勝田さんの事、そういう意味で好き?」

身を乗り出して問えば、小野村が吃驚した様子でこちらを眺め、次の瞬間には吹き出した。

「おまえ・・・何の心配してるんだよ。」

「だって!」

「俺はあの人をそういう対象では見てないよ。考えただけでゾッとする。」

「ホント?」

「変な心配するなよ。勝田さんが恋人だなんて怖過ぎるだろ。」

結局自分の心配は徒労に終わったけれど、また一つ胸の痞えを取り除くことができて結果オーライ、ということにしておきたい。

「真さん、俺・・・何だか凄い疲れました・・・」

「勝田さんに捕まった日は俺も同じだな。」

二人で顔を見合わせて苦笑する。部下をこんなに疲労困憊させて楽しむなんて、とんだ悪趣味だ。小野村の胸の内をまた一つ知れた事で良しとしようと、理央は疲れた心を慰めた。
















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