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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

隣り30

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隣り30

熱い硬茎が腿の合間を行き来する。自分の知らない感覚が次々に現れて、混乱してしまう。

「はぁ・・・歩ッ、ん・・・ッ・・・」

「・・・ぁ・・・んッ・・・あ・・・」

片岡の手の中で蜜を溢す自分の分身を直視できない。けれどどんな風になっているかは想像に難くない。向かい合っていないから幾分恥ずかしさは和らぐものの、送り込まれる熱と彼の手の柔らかさが生々しくて、夢心地というわけにもいかない。

荒い息が先ほどから歩の首元に何度も落ちてくる。名前を呼ばれるたびに身体が火照っていき、眩暈を覚えるほどの快感に歩は無意識に彼の腕の中から這い出ようとする。

「歩、イきそう?」

「けん、す、け・・・ッ、んッ・・・ぁ・・・」

歩の分身を愛撫していた彼の手がさらに早く擦り上げてくる。手の動きに促されるように腰に響いた甘い刺激が絶頂を呼び寄せる。

「あ、も・・・けんッ、す、け・・・」

急に込み上げてきた熱に慌てる。片岡が暴れ出した歩をキツく抱き締めて、少し乱暴な愛撫で射精を促してくる。その動きと合わせるように、片岡の硬茎が腿の間で張り詰めていった。口から漏れ出てしまう情けない嬌声をどうにかしたい。けれどそんな余裕は歩には微塵もなかった。

「あぁぁ・・・ぁ・・・ッ・・・」

先に根を上げたのは自分。片岡の手に白濁の蜜を放つ。受け止めきれなかった蜜がシーツを汚していく。その合間も激しく腰を突き入れていた片岡が腿の間で波打って、精を吐き出した。

「ぁ、歩ッ・・・ぅ・・・」

歩の放出が終わらないうちに、腿に片岡の熱い飛沫がじわりと広がる。歩を背後から抱き締めていた片岡の手が絶頂で震えた。

二人分の荒い息と濃密な空気が部屋に充満する。何も考えられないくらい気持ち良くて、胸がいっぱいで、満ち足りた気分だった。

誰とでもこんな事できるわけじゃない。片岡だから許せるし、受け入れられる。今まで生きてきて、一番心臓が働いている。どちらの音かもよくわからないほど互いの身体を伝って響き渡る鼓動。こんな風に心を許して、身体を明け渡せるのは、歩にとって片岡しかあり得ない。

「賢介・・・」

「・・・うん?」

「好き。」

「そう?」

「うん。」

悟史に心振り回されていた自分の言うことなんか俄かには信じ難いだろう。自分が片岡でもきっと同じような反応をすると思う。

これから迎える別離の一年は、自分と片岡にとって己の気持ちと向き合うための試練の一年だ。
歩が悟史への想いを完全に思い出にしても、それまでずっと片岡の心が自分にあるとは限らない。好かれている事をいいことにその上で胡座をかいていたら、きっと片岡は近い将来歩のもとから去ってしまうだろう。

そばに居てほしい。ずっと好きでいてほしい。その心を自分のもとに繋ぎ止めておきたいと、初めて強く思った。

「賢介」

「ん?」

「俺・・・信じてもらえるように、頑張る。」

振り返って片岡を見たら、嬉しそうに微笑む顔がこちらを見ていた。

「わかってるよ、歩が真剣なのは・・・。ただ・・・」

「ただ?」

「俺に・・・自信がないだけ。」

どういう意味だろうと、片岡の話を待ったけれど、苦笑いを浮かべて笑ったきり首を振るだけだった。

「歩、受験終わったら、すぐに戻ってくるから。」

「うん。」

「待っててくれる?」

「待ってる。だから・・・またこうやって、抱き締めてほしい・・・」

勇気を振り絞って強請ってみる。片岡が目を丸くして破顔したので、どうやら自分のお誘いは成功したようだった。








 








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