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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

幸せを呼ぶ花20

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幸せを呼ぶ花20

隣りでぐっすりと寝入っている勝田を起こさないよう、そっとベッドを抜け出す。シャワーを浴びて、朝食の支度をしなければと、皐は伸びをしてバスルームへと直行した。

クーラーが程よく効いた室内は快適だが、正直眠気を覚ますには向かない。熱いシャワーを肌に浴びて、ようやく頭が覚醒し出す。

このままにすべきか、一度抜いておくか、自分の下半身に目を向けて考える。寝る時は自分も疲れていたからさほど気になっていなかったが、正直無視できない状況だった。頃合いを見て抜いておかないと、後悔するのは自分だ。イライラして勝田に当たるような惨事は防ぎたい。反り返る分身に手を添えて、義務的な気分で擦り始めた。

好きな人が、自分のベッドで眠っている。気が高まる現実に、頭の中はすぐに勝田でいっぱいになった。罪悪感なんてない。無理矢理彼を押し倒すわけでもないのだ。好きな人を思い浮かべて何が悪いと開き直る。

勝田のどこが好きかと聞かれても困る。ふわふわした人だし、寂しがり屋を隠そうとする厄介な人だ。正直とても面倒な人。けれど話せば愉快な人だし、人目を惹く華やかさがある。

同じ布団にくるまった彼は、温もりを求めるように擦り寄ってきた。人恋しいと全身で訴えるような仕草にぐっとくる。付き合う気がないなんて、本気とは思えない。だって彼の行動全てが皐を欲しているように見えるではないか。

抱いたら、どんな顔をするだろう。蕩けるような甘い顔か、それとも快感を堪えて平常心を保っているフリでもするだろうか。

想像し始めたら硬茎を扱く手が止まらなくなる。頭上からシャワーを浴びたまま、速まる手に息を詰め、壁のタイルに手をついて突っ張った。

「ぁ、出る・・・ッ、ぅッ」

小声で呻いて、シャワーの湯とは違う、生温かいものがタイルと手を濡らす。鼻を刺激した青臭い匂いが自分の行為を物語る。

いつもは出せばスッキリして頭も冴えるのだが、何だか今日は少し違う。未だベッドで眠る勝田の事が頭を過って、身体が浮遊感を纏ったままだ。

少しずつ勝田が堕ちてきている予感に嬉しくなりつつも、不安もある。ずっとこのままの関係を強いられたら、いつか我慢の限界がやってくるのでは、と。

待とうと決めた。好きな人がコロコロ変わるような性分でも年頃でもない。先の未来を歩む事を考えるなら、やっぱり好きな人と時間を共有したい。

勝田に、笑っていて欲しいなと思う。寂しげな顔と自嘲するように笑う彼の顔しか知らないから。

心を許してもらえるだけの器量が自分にあるかと問われると、いささか不安だ。泊まりに来てもらえる関係でも、勝田の事を驚くほど自分は知らない。勝田にとって自分が安らぎの場所になれるまでの道のりは、まだまだ遠い。そしてそういう関係になれるまで、勝田が皐を恋人として認める事はないだろうと確信している。

好きなだけではダメだ。勝田の胸に響くだけの人間でなければ、彼の懐には入れない。

「ホント難しいな、あの人・・・」

澱んだ心を洗い流すように給湯温度を上げたシャワーを頭上からめいいっぱい浴びる。邪な心を残したまま花と向き合いたくはない。

今日花と向き合ったら、まず目を閉じて胸いっぱいに清らかなその香りを取り込もう。そして潔く清廉な花たちに洗われて、ブレずにあの人を包み込める自分になっていけばいい。心新たにそう決心して、皐はようやくバスルームを出た。















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いつも閲覧いただきまして、ありがとうございます。
本編と関係ないラクガキばかりで申し訳ないです!!
ペン入れに異常なほど時間がかかります・・・(笑)

告知したか忘れてしまったのですが、
「幸せを呼ぶ花」は全32話でお届けいたします!!
よろしくお願い致します。。。

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