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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

沢田家の双子「1月2日05:00」

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沢田家の双子「1月2日05:00」

久方ぶりに別々のベッドで目覚める。慣れとは怖いもので、和希が隣りに眠っていないことに違和感を覚える。

 「寒いな・・・。」

 羽毛布団を頭まですっぽり被るけれど、やっぱり一月の朝の冷え込みは堪える。何より心が寒いのだ。自分より頭一つ出た、長身の和希。彼の力強い腕の中に包まれたくなる。

カーテンの隙間から覗き見た外の景色は白一色。一晩で雪が降り積もったようだ。

 子どもの頃なら一目散で庭へ駆け出し、和希と二人で雪塗れになっただろう。けれどそんな事をするには、自分たちは大人になり過ぎた。堂々と和希と戯れ合うことは、きっと周りにとって違和感のあることなんだろう。ただ好きなだけ。でもそれは本来許されない好きのカタチ。そう考えると胸が幾分か苦しくなる。

 「んー・・・。」

 廊下を挟んで向かい側には両親の寝室があり、和希の部屋にいるのがバレたら少々厄介なことになるだろう。少し考えて、結局ベッドを抜け出す。隣室の和希の部屋のドアを息を潜めて開けると、和希の規則正しい寝息が聞こえた。後手でドアを静かに閉めて、忍び足で和希の寝入るベッドへ潜り込む。優希が身体を寄せると、和希の手が無意識のまま優希の背に回されて抱き込まれた。

 鼻を擽る和希の香りに人工的なものは一切感じない。和希は香水など匂いのキツイものを好ましく思っていないようなので、優希に安心感を与えてくれるこの香りは和希そのもの。抱き締められたまま、胸いっぱいに甘い温もりを吸い込む。擦り寄ると、和希が微かに身体を動かす。

 「和希・・・起きた?」

 応えないような気はしたけれど、何となく確認してみたくて小声で聞いてみる。けれど聞こえてくるのは静かな寝息だけだ。

 「あったかいな・・・。」

 無意識でも自分を優しく抱き締めてくれる和希の行動が嬉しくて、心はそれだけで満たされていく。

 密着して腰に硬いものが当たるものを感じる。なんてことはない朝の生理現象。ここが二人で住むアパートならば、朝のまどろみに任せて、二人で穏やかな快感を追って熱を解放する。けれど実家に戻っている今、そういう性的な行為に及ぶのは躊躇われた。和希の腰前に手を出しかけて、結局引っ込める。

 和希の額を隠す少しウェーブ掛かった髪をそっと後方へかき上げる。健康的な血色の良い頰に唇を寄せても和希は何の反応も示さない。どうやらまだ深い眠りの中のようだ。

 優希はごそごそと身体を動かして和希の腕の中で収まりの良い場所を探し、やがて息をつく。そして和希の温もりに引き摺られるように、優希は再び夢の中へ落ちていった。





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