*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。
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今朝起きたら、優希の目が腫れていた。どうしたのと問うても首を弱々しく振るだけで何も教えてはくれない。明らかに泣いたと思われる痕跡は、和希の心を不穏にさせる。
昨夜リビングで一緒に勉強をしていた時は楽しそうにしていたはずだ。何があったのだろうかと当然疑問に思ってしまう。学校で嫌なことでもあったのだろうかと首を傾げる。しかしいくら考えても思い当たることはなかった。
気まずそうに目も合わせてくれず、ただ機械的に母の作った朝食を口の中に運んでいるように見える。飲み込む速度も遅く、考え事をしているのは明らかにだった。けれど優希から拒絶の空気をひしひしと感じるため、今問い詰めるのは時期ではないのだろう。
気にしないふりをして、学校へ行く準備を始めるために席を立つ。振り返ってこっそり見た優希の背中は小さく寂しげだった。
最悪一緒に行きたがらないかもしれないと思っていたが、いつものように背後にしがみ付いて自転車に跨ってきたので少し安堵する。片道が五分なのはいつもと変わりないはずなのに、今日纏う空気はやけに重い。学校に着いても尚、変わらず覇気がないのでやはり心配だった。
「優希、具合悪かったら無理するなよ?」
見上げてきた瞳が揺れて、一瞬泣くのではないかと思った。けれど予想に反して涙が溢れることはなく、優希は白い息を吐きながら一つ小さく頷いた。
「かずくん、おはよ。」
優希にもう一言二言気の利いた言葉でもかけようかと思った矢先、彼女の今野美月に捕まった。
「あ、ああ、おはよ。」
今野の姿を認めると優希の顔が無表情になり、背を向けて校舎の方へと歩いていこうとする。無性に引き留めたくなったが咄嗟に掛ける言葉も見付からず、その背中はすぐに遠くなり校舎の中へと消えていく。
「ねぇ、かずくん。今度の休み、かずくんの家に行きたいな。」
「ああ、別にいいけど。」
優希の不可解な態度が頭から離れなくて、今野の言葉に適当な相槌を打つ。
「ホント? やったぁ!」
今野の歓喜の声で自宅訪問を許してしまったことに気付く。彼女は喜んでくれているにもかかわらず、何故か苦い気持ちだけが和希の心を占めて暗い影を落とした。
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