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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

沢田家の双子「近すぎて遠すぎて22」

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沢田家の双子「近すぎて遠すぎて22」

身体を横たえている側に座り込んで、ジッと見つめてくる瞳に色を感じてしまうのは、自分の欲目かな、と少し自嘲したくなる。子どもの頃、和希が風邪で寝込むと心配そうに一日中側から離れず、結局移って優希も寝込んでいた。あの頃のように病弱なわけではないけれど、インフルエンザの自分と籠っているのは良くないなと思ってしまう。

「優希、長居は良くないよ。移るから。」

神妙そうに頷く優希に、和希も少しばかり緊張する。タクシーの車内で重ねてきた手が、微かに震えていたのも気に掛かっていた。

「かずき、びっくりするかも・・・。」

「それは、聞いてみないとわからないよ。」

「きもちわるい、っておもうかも・・・。」

「俺が優希のことを?どうして?」

視線を合わせず項垂れる優希に、手を握ってやって話すよう促す。もしかしたら、大内の事が好きだってことを断言されてしまうのかな、と寂しく思いながら。

「少なくとも、今までそんな風に思ったことないよ?」

縋るような目と合って、小さな震える声が一言呟く。

「かずきが・・・すき・・・。」

心が裂けてしまいそうなほど思い詰めた声音。発せられた言葉の意味を一瞬理解できなかった。

「すき・・・。」

再び絞り出すような声で告げられて、ようやく意味を理解する。

「優希?」

問いかけても、それ以上は何も優希は言葉を発しなかった。代わりに肩を震わせて嗚咽を上げ始めたので、内心焦る。しかし努めて冷静を装い、肩を抱いて宥めた。

「優希、教えて。先輩と付き合ってる、っていうのは嘘?」

頷いてさらに本格的に泣き始めたので、ベッドから身を起こして、床に座り込む優希をベッドへと引き上げて抱き締めた。

「優希、泣かないで。俺、嬉しいよ。だって先輩に取られたのかと思って凄く嫉妬した。俺ね、優希のことが好きだって、一緒にいてくれなくなって初めて気付いた。」

和希の言葉に驚き、見上げてきた瞳から大粒の涙が溢れた。泣く顔が可愛いなんて反則だな、と思う。たくさん甘やかせて今すぐにでも自分の熱で溶かしてしまいたくなる。性的な意味で優希を欲していることを、和希はこの時はっきり自覚した。

「悔しいな。こんな時にインフルエンザなんて。」

抱いたりしたら移るよね、と囁くと、顔を真っ赤にして絶句された。どういう類いの好きなのかは、ちゃんと伝わっただろう。

「優希、好きだよ。誰にも渡したくない。」

未だ信じられないような面持ちで口を噤んでいる優希に、何度も好きだと言葉を紡ぐ。やがて事実として認識することができたのか、肩の力を抜いて嬉しそうに抱き返してきた。











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ごたごたしていたわりには、
あっさりくっ付きやがった二人(笑)
でも実際の恋愛も、
その場のノリとか勢いで急展開するもんだ、というのが、
経験談でもあり持論です(笑)



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