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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

沢田家の双子「近すぎて遠すぎて16」

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沢田家の双子「近すぎて遠すぎて16」

一度意識し始めると、どうして今まで平気でいられたのだろうかと思うくらい、優希のことばかり考えた。

同性が好きなら、きっとたくさん悩んだことだろう。晴れて恋人を得たのに、自分が水を差すようなことをしてしまったのかもしれない。

付き合ってるということは、大内と世の恋人たちがするようなことをしているのだろうか。抱き締め合い、唇を合わせ、その先も許していることは十分あり得る。

許せないと憤ると同時にそんな自分に困惑することの繰り返し。

優希を好きな自分が当たり前過ぎて、気付かなかった。なんて間抜けな話だろう。双子の兄を守ってやりたいと思い、可愛いと感じることに疑問を持ったことなどない。けれどそれが普通の兄弟に対して抱く感情ではないと、何故今まで気付かなかったのか、自分でも不思議だ。

学校への行き帰り、振り落とされまいとしがみ付いてくる腕を愛おしいと思っていた。永遠に離れないのだと信じていた。自惚れていた馬鹿な自分を呪いたくなる。

「優希・・・なんで俺じゃないの・・・。」

自分の気持ちをどう昇華したらいいのかわからない。気付いたばかりで戸惑いも大きかった。

女の子と付き合ってみても釈然としなかった理由が今ならわかる。そもそも自分は優希にしか興味がなかったのだ。二人で自転車に跨り通学する時間、楽しく夕飯を共にする時間、それが自分の幸せ。それこそが自分の世界を彩る全てだった。

「どうしたらいいんだよ・・・。」

虚空に問いかけても応えは返ってこない。

隣りの部屋で、優希は今誰を思っているのだろう。大内への恋心で胸がいっぱいで、和希のことなど蚊帳の外かもしれない。そう思うと無性に腹が立った。誰に腹を立てているのかもわからない。優希を閉じ込めて、自分以外の全てを彼からシャットアウトしたくなる。

初めて知った独占欲は醜くて滑稽なものだった。幼稚で自分勝手な欲望は膨れ上がっていく一方で、一向に消える気配はない。

優希をこの腕に閉じ込めておけるなら、なんだってしたいと思う自分がいる。格好がつかなくたって、この際構わない。振り向いてくれる術を考え続ける自分に笑えた。

もう遅いかもしれない。でもほんの僅かな望みも捨てたくなくて、和希は目を閉じて振り向いてもらう術を一晩中考え続けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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連日の登場、失礼いたします。
いつも閲覧いただきまして、
ありがとうございます。

昨夜、沢田家の全話アップロード作業が終わり、
予約が完了いたしました。
11月7日、全59話で終了となります。
先が長いですが、お付き合いいただけますと幸いです。

現代編(前半)12話
過去編42話
現代編(後半)5話

でお届けいたします。
当初予告していた状態より2話増えました。
素人小説につき、誤字脱字、目を瞑っていただけると助かります。

これから年末に向けて繁忙期に入るお仕事も多いかと存じます。
私も例に漏れずですが、
みなさまもどうかお体にお気をつけて。。。

それでは。。。
 
管理人:朝霧とおる 

 
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