*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。
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優希が帰ってこないと夕方五時前から騒ぎ出した過保護な母にいつもだったら呆れているところだが、今日ばかりは母と同じ心持ちだった。それを見透かすように家の電話が鳴り、母が応対すると相手は大内だった。暗くなってしまったので送ります、とわざわざ電話をくれたのだ。律儀な先輩ね、と先ほどとうって変わって母が安堵の顔を浮かべると、父がやれやれと肩を落とした。
一方、今野はというと、友人たちと明日の朝早くからデザートブュッフェに並ぶとかなんとか騒ぎ出し、初詣の約束を和希から捥ぎ取った後、早々に帰宅した。ころころと変わる女の子の言動は疲れる。優希との会話の方がよっぽど心が和むと真面目に思う自分は、頭がおかしいのだろうか。
電話が来てから三十分も経たないうちに玄関の扉が開く音がする。母と吸い寄せられるように玄関へ向かうと、優希の後ろに大内が立っていた。
「大内くん、わざわざありがとう。優希、ちゃんとお礼言ったの?折角だから、お茶でも一杯飲んでいって。」
「いえ、うちももうすぐ夕飯なので今日はここで。今度お邪魔させて下さい。」
「あら、そう?そうしたら、今度是非上がっていって。」
「はい。それでは、失礼します。優希、また学校でな。」
優希が少し恥ずかしそうに手を振って大内を送り出す。寒いから中へ入って、と遠くの方から大内が声を掛けるまで、優希は見送り続けた。
何故だかその姿に釈然としないものを感じる。あの頼り切った縋る目は何だろう。あんな顔をする優希を見た事がない。
知らない顔が増えていく片割れに、和希は寂しさを覚えた。
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