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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

マイ・パートナー4【R18】

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マイ・パートナー4【R18】

【R18】

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好きな人に想いが届かないのは切ない。何度恋慕って、諦めようとしたことだろう。

好きな人のことなら何でも知っていたい。けれどそれで悟られて拒まれた時、平然としていられる自信はない。だから深追いはせず、かといって玉砕も出来ないから、ずっと想いは燻り続ける。多田は柚乃宮に四年越しの片想いをしていた。

 もう二十六だ。買ったことがなくたってスーツの仕立てくらい店員は懇切丁寧に教えてくれるし、多田が付き添う必要なんて全くないだろう。でも彼が初めて袖を通すものに自分が立ち会えるなら、それだけでも十分心が満ちる気がした。

 少し熱めのシャワーを頭上から浴びながら、多田は手の中で硬く反っている硬茎への圧を強めて扱く。目を固く瞑って口から溢れ出た息は浅く荒かった。

 彼が自分に触れるなら、どんな感覚がするのだろう。多田より少し小さい、細くて白い綺麗な指。そんな指に触れられることを想像して、感情は高まり極まってくる。何度も何度も夢想してきたことだ。

 先端から先走りの液がじわりと滲み出て、太腿から腰へと這い上がってくる快楽の波が確かなものに変わった。

「……ッ」

 扱く手を速めて息を詰めたと同時に、濃厚な白濁の液が己の先端から放出する。
頭の中に渦巻く欲望ごと吐き出してしまおうと、達したばかりで敏感な竿を少し強引に上下へ擦れば、吐いた息が震えた。出し切った残滓はシャワーの湯と共に排水溝へと流れて消えていく。
一人で自分を慰めた後、残るのは気怠い身体と罪悪感だけだ。

 けれど全くマスターベーションもせずにいられるほど性欲が衰えているわけでもないのが悩ましい。どうせ言えない想いを抱えるくらいなら、無欲になれたらいいのに。

「柚乃宮……ごめん。」

 空想の中で何度も汚した後輩に向けて謝ってみても、胸の痞えが取れるわけではなかった。
自分の性的指向が男に向いていることに気付いたのは、大学生の時だった。言われるがまま女性と付き合ったこともあったが、心ここに在らず、長続きはしなかった。

 そして好きになったのが家庭教師のバイトで教えていた高校生だった。自分の気持ちに気付いた時には、既に教え子の受験は終わり、二度と会うこともない状態だった。当然伝えるまでもなく、失恋したわけだ。

 けれどあの頃から自分の趣味は一貫している。年下でつい面倒が見たくなるタイプだ。理性は止めておけと警告しているのに、姿を目で追えば視線は外せなくなる。笑いかけてくれれば胸は高鳴る。好きなものはどうしようもなかった。抗うほど囚われて、もう心は雁字搦めだ。
出会って、好きになって四年。

 時々想いが溢れそうになって、必死に堪える。言えば応えて欲しくなる。好きなら当たり前に抱く感情だ。だからやっぱり言えなかった。

 柚乃宮が結婚でもしてくれれば、気持ちに区切りがつくのかもしれない。けれどご飯や飲みに誘えばついてくるし、彼女のいる気配はない。そんな事は聞けばすぐ分かる話なのだが、相手の女性に嫉妬して落ち込むのが目に見えて聞けないのだ。本当に重度な片想いだった。

 会社の女性たちに好奇の目で見られてちやほやされても、全く嬉しくない。通勤の行き帰りで女子高生たちに格好良いと騒がれても、うんざりするだけだ。柚乃宮に直接会えなくてもただ内線で話せただけで、その日は一日心が舞い上がる。自分は臆病で、きっと相当な愚か者だ。

碌に髪も乾かさないまま手足を投げ出して冷たいベッドに沈み込む。出口の見えない迷宮に一人取り残された気分だった。



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こんにちは。
管理人の朝霧とおるです。
「マイ・パートナー」お楽しみいただけていれば幸いです。
こちらの作品はラストまで書き終えているので、微修正しながら毎日更新していきたいと思っています。


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