*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。
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週末、ひと足早く営業三課は予算を達成し、課長主催ほぼ強制参加の慰労会を敢行していた。駅前の居酒屋で行う、ただの飲み会だ。
酒を飲むのは嫌いではない。浴びるほど飲んでも今まで潰れたことはなかった。営業職としては得な体質だろう。
柚乃宮とは何度も飲み交わしているが、彼も線が細いのに酒は強い。若干邪な心を抱きながら多く飲ませても、こちらの期待に反してふらつくことすらないから残念な気分がしないでもない。だから酒に呑まれ、眠りこけた彼の姿を見た時には、心底驚いた。
「志摩課長。デザイン課もここで飲んでらっしゃるんですか?」
御手洗に立ったその帰り際で、デザイン課の課長と出くわした。
「そうそう。予算は滑り込みセーフだったからね。でも週始めの三日間だけは仕事畳み込んでおいたから、今日はその息抜き。末っ子の激励会なのにさ、あいつ撃沈してるんだよね。」
ほら、と個室の襖を開けたすぐ先に、?をうっすら赤らめて寝息を立てて横たわる柚乃宮がいた。寝顔など初めて見る。幸いにも具合が悪いようには見えない。すやすやと気持ち良さそうに肩を規則正しく上下させていた。
「多田くんってさ、柚乃宮とよく飯行ったりしてるよね。こいつの家、どっち方向か知ってたりする?」
「ええ。渋谷方面ですけど。」
デザイナーの三人が首を横に振った。
「後、三十分で復活してくれるかね、こいつ。」
「俺が送りましょうか。最寄り駅、一緒ですから。」
改札口は反対だが、この際そんな事を言う必要はない。
「営業のメンバーに断ってくるので、ちょっと待ってていただけますか?」
いや助かったよ、と四人から排出される煙草の煙に喜んで送り出される。デザイン課で煙草を吸わないのは柚乃宮だけだ。禁煙の波はこのデザイン課には届いていない。
煙たい空気の中で眠る柚乃宮が少し気の毒になり、さっさと引き上げようと部屋へと急いだ。
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