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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

マイ・パートナー23【R18】

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マイ・パートナー23【R18】

言うと決めたら落ち着かなくて、でもどんなタイミングで切り出したらいいのか迷っているうちに時間だけが無為に過ぎていく。多田の姿を目で追って、視界から見えなくなるたびに気配を探した。

 帰宅して、お風呂から上がり、ご飯も食べてしまった。歯もしっかり磨き終わって寝る寸前、ようやく意を決して多田に声をかけた。

「そろそろ……」

「あの、多田さんッ」

同時に声を発し、多田がぱちりとひとつ瞬きをした。

「……どうした?」

高く打ち始めた鼓動を宥めようと、慰め程度の深呼吸をする。けれどあまり上手くはいかなかった。

車の中でも家に帰ってきてからも何度も頭の中でシミュレーションしたはずなのに、多田と目を合わせたら頭が真っ白になって意味を成さなかった。

「あのね、多田さん……俺、多田さんのことが……好き。」

ようやく頭が捻出したありきたりな言葉を精一杯紡ぐ。

二人でソファから立ち上がっていたが、多田はゆっくりと座り直して柚乃宮の手を引いた。座るように動作で促されて、柚乃宮はソファに座る。

「弱ってた時に俺から優しくされたから、勘違いしたんじゃなくて?」

至らない頭では考えもしていなかったけれど、そういう考え方もあるのだと気付く。違うと頑なに突っぱねるのも違う気がした。ちゃんと自分の気持ちを伝えたい。どうやったら自分の気持ちが伝わるだろう。

「……多田さんに大切にしてもらえて、嬉しかった。ずっと隣りにいたくて、抱き締めてほしくて……。触れて確かめ合いたいと思ったのも初めてなんです。俺の頭の中、多田さんでいっぱいで……それって好きってこととは違いますか?」

多田の目が優しく細められて、腕を引かれる。気付いた時には唇が重なっていた。きっと重なっていたのは一瞬だ。けれど閉じた多田の瞼から伸びる睫毛が少し揺れて、色っぽいなと思った。

「イヤじゃない?」

額を合わせたままの至近距離で気遣うように多田が聞いた。イヤだなんて思わなかった。

触れた唇のフワッとした弾力が名残惜しい。柚乃宮は身体の熱が上がっていくのを感じながら、今度は自分から唇を寄せた。

啄むように軽いキスを繰り返す。触れるだけでは物足りなくなって多田に強請るように服を掴む。

「ん……はぁ……」

多田の舌が柚乃宮の口を突いて侵入してくる。歯を辿るように舌がなぞり、口内を徐々に犯していく。息が上がって頭は朦朧とし始めた。

「……ハァ……あ、多田さ……ッ」

多田に腰を抱き寄せられて、キスをしながらスウェットの上から前を揉み込まれる。頭をもたげ始めていた性器に一気に快楽が流れ込んで硬く芯を持った。多田の少し性急な行動に焦って身体が反射的に逃げを打つ。

「柚乃宮、抱かせて。ダメ?」

情欲に濡れた瞳に見つめられて顔がさらに熱くなった。きっと今、自分の顔は真っ赤だ。意識した途端に気が遠くなりそうだった。

身体は素直に喜んでいるのに、ダメだなんて言っても説得力がない。何をするのか完全にわかっているわけではなかったから、本当は少し不安だ。けれど諦めて多田の首に腕を回した。

すると多田にそのまま抱き上げられる。軽々持ち上げられると力の差を見せ付けられているような気がして少し情けなくなる。キスをしながらどうしたのだろうと思っていると、多田が椅子の脚を軽く蹴って、ソファをベッドに変えてしまった。カチャっと脚が完全に引き出された音が鳴る。

「イヤだったら、ちゃんと言って?」

いつも優しくて穏やかな声が、少し今は急いて聞こえた。

多田が座った上に向かい合って座らされ、腿を跨いで下肢が密着する。硬いものが布越しに触れ合って、多田も反応しているのだと気付く。もどかしくてさらに腰を擦り寄せた。

「そんな事されたら、優しくできなくなるよ?」

多田が物騒な事を耳元で囁く。初めてなのに優しくないのは困ると本気で慌てたら、多田が面白いものを見るように笑った。からかっただけだろうか。

腰に回されていた多田の手が、シャツの内側に入って、直に背を撫でていく。擽ったいと思ったのは最初だけで、多田の手から伝わってくる熱が身体の官能を少しずつ呼び覚ましていった。脇腹へと手が移って下半身が甘く疼く。

気持ち良さに気を取られているうちに、上半身が露わになる。そしてそのままソファベッドに横たえられ、手際良く下も剥ぎ取られた。あっという間に何も纏うものがなくなって恥ずかしくなる。屹立しているペニスを目の当たりにして居た堪れなくなり身を捩った。

多田はそんな柚乃宮に大丈夫だよと微笑んで、自らも纏っていたものを脱ぎ捨てる。同性であっても、ここまで他人の身体を凝視したことはない。逸らそうと思っても、引き締まった多田の身体をつい見惚れてしまう。男の人に使う言葉ではないかもしれないけれど、綺麗だった。

好きな人と身体を重ねると思うだけで、こんなにも気持ちが高ぶる。早く触れて欲しくてもどかしい。羞恥心を捨てて、多田の腕に手を伸ばした。多田はすぐに柚乃宮へ覆い被さってきて、額に口付けてくれる。

「……ふッ、ぁ……」

口の中を多田の舌が蹂躙するのと同時に、左胸を大きくきめ細やかな手が弄っていく。突起を見つけて指の腹で擦り潰すように撫でられ、下腹が波打った。硬茎にさらに熱が集まって、胸で感じた刺激が快感なのだと知る。女でもないのにここが性感帯だなんて知らなかった。

「あ、ッん……はぁ……あぁッ」

もう片方の胸の突起に多田の舌がざらりと這う。あられもない嬌声が止まらなくて、口を塞いでしまいたくなる。けれど口元まで上げかけた手を掴まれて手を握り込まれた。

「大丈夫。俺しか聞いてない……」

「んぅ、あ、ダメッ……ぁああ」

ペニスの先端から溢れ始めた透明な蜜を、多田の舌が丁寧に舐め取っていく。そしてそのまますっぽりと生温かい口内に包まれた。硬茎を啜る規則的で卑猥な音が柚乃宮の聴覚を犯していく。

「あぁ、あ、んんッ……あ、多田さッ……」

敏感な先端を多田の舌が這い、裏筋を何度も弾力のある唇が擦っていく。多田が頭をリズム良く上下させて上顎に先端の秘裂が当たるたびに、蜜が押し出される。もうこれ以上耐えられそうになくて、離してくれと多田の肩を押しやろうする。でも手に力は篭らなくて、逆にその手を握り込まれてしまった。

「ダメ、多田さ、んッ……出ちゃう……んッ、あ、もッ、出る」

限界まで膨らんだペニスを多田が喉の奥まで咥え込んで、柚乃宮の射精を促すように思い切り吸い上げた。頬の強い抱擁に、ぎりぎりまで我慢していた熱が勢いよく放出した。

「……んぅッ……ぁあああ」

誘い込まれるように白濁の液が口内に飲み込まれていく。頭を突き抜けるような衝撃に背が反り返る。多田と繋いでいた手を無意識のうちにきつく握り締めていた。搾り取るように何度も吸い上げられて、下腹が震えて腰がそのたびに浮く。生理的な涙がスッと頬を流れた。

「……ごめん。泣かないで。」

「多田さんのバカ……あんなの、我慢できない……出しちゃった……」

消え入るような声で抗議すれば、多田はうっとりするような目を向けてきて微笑んだ。

「出させたんだから、いいんだよ。だってあんまり可愛い声で鳴いてくれるから、つい嬉しくて。ビックリさせたなら、許して?」

悪びれることもなくそんな事を言われてしまうと何も言い返せなかった。せめてもの反抗にふいと目を逸らす。

「柚乃宮、怒らないで。もっと気持ち良くなろう、ね?」

これ以上ってどのくらいだろうと、ギョッとして視線を多田に戻せば、口付けが降ってくる。触れるだけのキスの合間に、ツンと鼻をつく青臭い匂いがして、自分がこの形の整った口へ吐精してしまったことを実感する。飲んでしまったんだろうかと疑問に思って、結局怖くて聞くのをやめた。

「今から少し痛い思いをさせるかもしれないけど……することは、わかってる?」

「……なんと、なく。」

「イヤだって抵抗されても、ここから先はやめてあげられそうにないから、先に謝っておく。ごめん。」

ちっとも悪いと思っていない顔だった。多田は優しい、という今までの自分の認識がもしかしたら間違っていたのかもしれないと思い、焦る。下肢は先ほどの行為の名残りでまだ重く怠い。これ以上過ぎた快感に遭遇したら、自分がどんな状態になるのか想像もつかない。

「大丈夫。何もわからなくなるくらい、気持ち良くなろう?」

だからそれが怖いのに、という言葉は辛うじて呑み込み、噛み付くような多田のキスを享受した。




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