この手で蕩けていく様をじっくりと眺めて、独占欲が満たされていくのを感じる。
恵一の秘部に自分の分身を充てがうと、彼の身体が無意識に一瞬緊張で強張る。それは毎度のことだから、彷徨う恵一の手と自分の手を繋ぎ合わせて、様子を見ながら少しずつ己を沈めていった。
誘い込むような動きに唆されないように、蠢いて生まれる快感を何度もかわしながら、分身を包む内壁が落ち着くのを待つ。
「ふぅ・・・」
恵一からホッとしたような甘い溜息を聞き、身体から緊張が一気に解けていくのを感じる。
「恵一」
呼ぶと嬉しそうに手を握り返してきたので、ゆっくり刺激を送り込む。すぐに感じ入ったように啼いたので、次第に紳助の動きも遠慮がなくなっていく。
「あ・・・ッ・・・あッ・・・」
紳助の腰の動きに合わせて恵一が声を上げ、その声が呼び水のとなって誘われるがままに、さらに深く中を抉っていく。
「・・・んッ、すけ・・・」
恵一。自分がどんな顔して俺を呼んでるか知ってるか、と心の中で問いかけてみる。応えはもちろんないけれど、啼いて喘いで求め返してくれるだけで十分だ。
頑張りたくもなる。ずっとこっちを見ていて欲しいから。
守りたくなる。ボロボロでも一生懸命に好きだと訴えかけてくるから。
今日は自分の方が堪え性がない。幾度か抽送しただけで射精したくなってしまった。
「・・・ッ・・・恵一・・・」
「んッ・・・あ・・・ッ・・・」
「け、いち・・・いい? 中・・・」
「・・・あ・・・ん・・・んんッ・・・」
どうしたんだろ、と火照った顔で見てくる恵一に、わかっていないなと内心苦笑したが、理性が保ったのもそこまでだった。
恵一の腰を抱えて深く中へと突き入れる。急に激しくなった行為に、恵一が啜り泣いた声を聞いた気がしたけれど、もう止まらなかった。
「あッ・・・や・・・す、け・・・イく・・・」
「ッ・・・んッ・・・」
今まで堪えてきた分全てをぶつけるように強く中を擦っていく。生まれる快感で頭がいっぱいになり、沸騰していくのに大して時間は掛からなかった。
目がチカチカと白く点滅して、自分の分身が波打ったのを生々しく感じる。
「うッ・・・く・・・」
「ああッ・・・あ・・・ぁ・・・」
恵一より先か、ほぼ同時に絶頂を迎える。
紳助はゴムを纏わない先から、欲望の赴くままに恵一の中で精を放つ。
「あ・・・あつ、い・・・ッ・・・」
訳もわからず揺り動かされていた恵一がうっとりした声で告げてきたので、やってしまったなという気持ちと、満ち足りた気持ち両方が交互にやってくる。相反する気持ちに苦笑するしかなかった。
「しん、すけ・・・?」
後で悲惨だなと頭の片隅で思いながら、まだ事実をわかっていそうにない惚けた顔をした恵一を抱き締める。
どうしようもなく胸がいっぱいで、もう少しだけこの幸福感に浸っていたい。しかし恵一の邪気のない一言で、結局すぐにその夢から醒めなければならなかった。
「もう一回、したい。ゴム、変える?」
「・・・。」
危ない奴だ。セックスする相手がゴムを付けたかどうかすらわかってないなんて。
無防備過ぎる恋人に心の中で悪態をつきながら、本心は可愛くて仕方なくて、喰い尽くしてしまいたいほど。
しかし、正直に謝ろうと恵一の中から腰を引く。自分の放ったものが溢れてきて、どうしようもない征服感に襲われたが、深呼吸をして恵一を見遣った。
「恵一」
「ッ・・・うん・・・?」
「悪い。ゴムしてなくて・・・。先、風呂行こう。」
「・・・うん?」
それがどうしたのか、という具合に見てくるので、さすがに頭を抱えたくなる。
しかし首を傾げてこちらの動きを待っているので、仕方なく抱え上げてシャワールームへと運び込んだ。
嬉しそうにしがみ付いてくる恵一に、もう少し勉強しろよと心の中で諭していると、いつもと違う事にようやく気付いたらしい恵一が不思議そうに尋ねてくる。
「紳助・・・なか・・・」
「悪い。今、掻き出してやるからな?」
「うん・・・。」
「腹壊さないといいけどな。」
「・・・お腹、壊すの?」
「・・・。」
最初に手を出したのは紳助の方だ。無知なのは承知の上で手を出したわけだから、もう少し男とするセックスがどういうものか教えておけば良かったと、責任を感じる。
「すぐ掻き出せば、大丈夫だよ。」
多分、という言葉は呑み込む。あからさまにホッとした様子の恵一には悪いと思いながら、怯えさせても仕方ないと開き直る。
二人でシャワーの湯に当たりながら、まだ柔らかい恵一の秘部に指を挿し入れる。すると恵一が反射的に肩の力を抜いて、身体をこちらへ預けてきた。
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朝霧とおる