欲しくて堪らなくて手を伸ばし、紳助の首元に吸い付く。一緒に吸い込んだ彼の匂いにホッとして、誘われるままに紳助の着ているものを取り払っていった。
触れたら最後、意識を手放すまでこの匂いに満たされたい。我ながら重症だと思うけれど、早く欲しいと疼き出した欲望のままに紳助に噛み付くようなキスをする。
紳助の乱暴をしない、優しい手が大好きだ。この手に掛かれば、強張っている身体も閉ざしている心もあっという間に溶かされていく。
解放的な気分になって、はしたなく強請っても彼は受け止めてくれる。それを恥ずかしい事だとすら思わせない穏やかな抱擁に安心する。
「紳助」
「うん?」
「今日、いっぱい・・・したい。」
「言うようになったな。」
「だって・・・」
「何して欲しい?」
「ッ・・・」
「したいこと、全部しようか。」
そう言いながら、紳助はもう恵一の身体を弄り始める。この男が本当の意味で自分に主導権をくれたことなどない。いつの間にか紳助の望む通りに絡み合っていくのだ。
「んッ・・・ふぅ・・・ッ・・・」
紳助の柔らかい唇が触れたところから、甘く痺れていく。緊張とくすぐったさを繰り返して身体が少しずつ熱を上げていった。
「・・・あッ・・・ッ・・・」
羞恥心がないわけではないけれど、紳助の前でどんな姿を晒したって、この男は揶揄ったりしない。満足そうな顔で微笑むだけだ。
快感が背中を走って頭まで這い上がってくると、狂いそうな瞬間がやってくる。過ぎた気持ち良さは時に恐怖さえも呼んで、必死に紳助の腕を掴んでその快感を受け止める。
まだ紳助は恵一の中心に触れてはいない。彼の前戯はとても濃厚だけれど、自分は紳助しか知らないから、これが普通なのか、彼が異常なまでに丹念なのかは知りようがない。別に紳助以外の手を知りたいとは思っていないのだが。
痺れて、溶けて、訳がわからなくなってくる。気持ち良くて仕方ない。震え勃つ象徴に早く触れて欲しくて、欲望に負けた自分は腰を浮かせて紳助に触れてくれと強請った。
「恵一」
呼ばれるだけで感じる。耳に届くと彼の低音は快感に変わって恵一の身体を駆け巡っていく。
「気持ち良い?」
「んッ、あぁ・・・」
頷いて応えようとした矢先、目の前で自分の分身は紳助の温かい口内に迎え入れられた。
「あ・・・あッ・・・ん・・・」
紳助が音を立てて吸い付くたびに、頭の中が真っ白になっていく。
「・・・ッ・・・あぁ・・・あ・・・」
気持ち良い。もうそれ以外何も思い浮かばない。堪え性のない身体は愛撫されるがままに、熱を放とうと動き始める。
「ぁ、でるッ・・・あッ・・・ぁ・・・」
紳助の口に放ってしまった事は幾度もあるし、今更居た堪れないなどと、もっともらしい理由で拒むつもりもない。
彼に強く吸い込まれて、熱を放つのは本当に気持ち良くて堪らないのだ。身体が反射的に逃げを取るだけ。カタチだけの抵抗は簡単に抑えられる。
紳助の肩を押して気持ち良さに啜り泣くと、宥めるように紳助の手が恵一の手を掴んでシーツに縫い止める。
頬いっぱいに含まれて、紳助の柔らかい唇で強く扱かれた途端、競り上がってきた熱は止まることなく、紳助の口内で弾けた。
「あぁッ・・・ぁ・・・あ・・・ッ・・・」
身体中が痙攣する。促されるままに幾度も放って、目の前で紳助が自分の放ったモノを嚥下するのを呆然と見つめた。
「いい顔するよな、おまえ。」
「・・・?」
いい顔ってどんな顔だろう。でも紳助が満足そうだから何だって良かった。
握り締めたままの手を唇に寄せて、紳助の指先に口付けを贈る。すると紳助が目を細めて、さらに嬉しそうにこちらを見た。
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朝霧とおる