疲れた顔が、家に帰り着いた途端、ホッとした表情に変わる。
合コンの最中、しきりに恵一の視線を感じたけれど、可愛い嫉妬に気分を良くしていたという事実は黙っておくことにする。あまり揶揄うと拗ねてしまうだろう。
「恵一」
部屋に上がってすぐ抱き締めると、何故か恵一が一呼吸置いて離れようとする。どうしたのかと覗き込めば、顔を顰めていた。
「紳助。お風呂入りたい・・・。」
酒やタバコ、香水の臭いがベッタリ付いたままである事を思い出し、苦笑する。シャワールームへ直行すれば、恵一は素直についてきた。何の疑問も抱かずに一緒に入ろうとしているなら、愛しい順従さだ。
指摘して我に返らせるなんて馬鹿な事はしない。当然のごとく手を引いてシャワールームへ恵一を押し込み、着ているものを脱がせていく。
懐に入るまではかなりの手練手管が必要だが、彼は一度心を許すと芯まで頼り切る。そういう性格らしいことが最近わかってきた。
なんて危ういメンタル。この関係に終わりがきてしまったら、恵一はどうなってしまうだろう。考えただけでもゾッとする。けれど思う存分愛し尽くして、ずっとそばにいるつもりだから、それでも自分は構わない。
「恵一。少し身体、冷えてるな。寒かったのか?」
「・・・ちょっとだけ。紳助は、あったかいね。」
「酒、飲んだからな。」
互いに纏っているものがなくなると、大人しく恵一は紳助の腕の中に収まった。温かい湯を浴びて、冷たかった彼の身体が少しずつ温もりを取り戻していく。
「眠い・・・ッ・・・ぁ、紳助ッ」
眠いなんてどの口が言うのだ。肌を合わせてその気になって緩く兆していた恵一の前を扱く。
紳助の望むように手の中で硬くなっていく恵一に、そっと口付けを落とす。一度だけで去ろうとすると、どうしてもっとくれないのかと強請るように視線が追ってきた。
可愛い仕草に紳助も煽られていく。囚われているのはどちらも同じ。求めて、求められて、二人で欲望を満たしていくのだ。
「紳助。待っ、て・・・」
「待って、どうするんだ?」
「ぁ、や・・・ッ・・・」
嫌だなんて言いながら、顔は全くそうは言っていない。欲しくて堪らない、そんな顔をしている。
額を紳助の胸に押し付けて、腰だけが逃げていこうとする。すぐさま腰を抱き寄せて分身を擦り上げると、観念したように蕩け始めた。
「あ・・・あッ・・・」
今日は恵一の感度が抜群に良い。強く扱くと幾度もしないうちに焦った声が上がる。
「恵一、そんなに良い?」
「ッん・・・い・・・ッ・・・」
しがみ付いて素直に紳助の手に合わせて高まり出した恵一が愛おしい。好きだと態度や身体が訴えかけてくる。求めるままに与えて、極まる瞬間をこの目に焼き付けたい。そんな衝動に駆られて、気の向くままに恵一を高めていった。
「あ、あぁ・・・い・・・ぁ、イく・・・ッ・・・あぁぁッ」
息を呑んで身体を震わせた瞬間、紳助の手の中で恵一が吐精する。
「んッ・・・ッ・・・」
狭いシャワールームに恵一の声がよく響く。紳助の腕の中で目をうっとりと潤ませ快感に喘ぐ姿は目の毒だ。
「・・・ん、すけ・・・」
「うん?」
「ベッド・・・いこ・・・」
思う存分抱きたい気分。ここは彼のお誘いに乗るべきだろう。
酔っているにも関わらず、勢いのいい自分の下半身を見遣って、シャワーの湯を止める。恵一をタオルで包んで、彼の水滴を拭っていると、恵一が紳助の昂りに気付いて触れてくる。
恵一の手に悦んだ分身が硬さを増すと、彼が照れくさそうに笑った。
「恵一、あんまり煽るなよ。」
「だって・・・」
言葉の続きを待ったけれど、結局そのまま恵一は口籠ってしまう。しかし際どい触れ方が堪らなくて、それ以上は待てなかった。
ベッドまで何も纏わず恵一の手を引いていく。恥ずかしそうにしながらも、擦り寄ってきた塊を、紳助は辿り着いたベッドでそっと押し倒した。
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朝霧とおる