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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

この手を取るなら13

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この手を取るなら13

指を秘部へ滑り込ませる瞬間、紳助の欲望を充てがう瞬間、いつも恵一の身体は一瞬怯む。本人も無意識であろうその動きに、紳助は丁寧にその身を埋め込んでいく。

面倒だなんて思わない。男の身体はそもそも抱かれるようにはできていない。それを繋ぐのだから、長い前戯は承知の上だ。好きな相手に施す愛撫が煩わしいと思う筈などなかった。

シャワールームをすぐに出て、当たり前のように布団の中へ誘う。恵一は熱に浮かされたような顔をしたまま黙って紳助に従っていた。

紳助と恵一のセックスに会話はない。言葉にするより身体に愛しさを刻み込みたいと思うからだ。身体は取り繕おうとしても、着る物を剥ぎ取ってしまえばその反応を隠す事などできない。

「んッ・・・あ・・・あぁ・・・」

紳助の分身を秘部に添えると、予想通りに恵一の身体が一瞬強張る。

紳助は急かさずゆっくり腰を進めて、埋め込んだ分身が馴染む頃ようやく安堵の息を吐いた。

湧き上がる衝動に任せて腰を突き入れるのは簡単だが、そんな事をして恵一を脅えさせるのは本望ではない。

甘やかして溶かして、自分以外の誰とも寝る事などできない身体になってしまえばいい。

薄暗い独占欲を満たすために恵一を大事に抱く。誰にも渡したくはない。

「・・・ッ・・・あ・・・」

ゆっくり腰を引き、再び最奥を狙って腰を進めると、恵一の口から甘い嬌声が漏れる。最初のうちはそんな事すら恥ずかしがった恵一だが、今では感じたまま声を出す。それが自然な現象だと身体に教え込んで、恵一の中からそういう羞恥心を少しずつ削ぎ落としていった結果だった。

恵一とのセックスに激しさは持ち込まない。気持ちが良くて開放的になれる行為。あられもない姿を晒し合っても恥ずかしくないのだと、一つひとつ刻み込んできた。

「あ、あぁ・・・あ・・・」

快感がもっと欲しくなり、物足りなくなってきた時、恵一は強請るようにしがみ付いてくる。普段の恵一からは想像できない行動が、紳助を熱くさせる。

恵一が身体で強請ってきた時は、余す事なく愛情を注いで望むだけ高めていく。時には腰使いで、時には手や唇で応えていく。

「ッ・・・あ・・・あッ・・・ん・・・」

隣りとの壁は薄いだろうが、恵一にはそこを気にする余裕はないらしい。あるいは我慢させた事がないから、そもそも抑えるという概念が彼の中から抜け落ちているかもしれない。

一階の角部屋だし、最悪隣りは事情を勘付いている歩だから目は瞑ってくれるだろう。

恵一がもっと深く欲しいと紳助の腰に足を回してくる。恵一の痴態に紳助は笑みを浮かべて身体ごと揺さぶり始めた。

「あぁッ・・・あ・・・あッ・・・」

欲しいと強請ってきたのは恵一なのに、身体は過ぎた刺激に逃げ出そうと暴れ出す。

宥めるようにキスを施していくと、目尻に涙を浮かべて繋いだ手を握り返してくる。

こいつはどれだけこっちを煽る気なんだろうか。乱暴に腰を突き入れたくなる衝動と闘いながら、紳助は恵一に快感の波を送り続ける。

「・・・あ・・・ぁ、あぁ、んッ」

達しそうになった恵一は焦ったのか息のリズムを乱してしがみ付いてくる。恵一の後孔が急に締まって、紳助を搾り取ろうと内壁が蠢いた。

「ッ・・・」

思わず突き入れると、恵一が嬌声を上げて白濁の蜜を放つ。

「あぁぁ・・・ッ・・・ッ・・・ん・・・」

「・・・ッ」

紳助も恵一の後を追うように欲望を放出する。

縋るように掴まったままの手が愛おしくてたまらない。絶頂感に任せて腰を揺らしながら、目の前で極まって震える恵一を黙って眺めた。

「んッ・・・ッ・・・」

今日は一段と感じたらしい。恵一の虚ろな目と震える身体が全てを物語っている。

行為を終えてもすぐに身体を離したりはしない。抱き締めてキスを贈り、気怠い身体を寄せ合って恋人のような甘い時間を紡ぐ。

初めてした時から恵一とはずっとそういう時間を過ごしてきた。だから恵一の頭にはセックスとはそういうものだと刻み込まれているだろう。何の疑問も持たないまま、気持ち良さそうな顔をして紳助の腕の中で夢の世界へ堕ちていく。

恵一の分身を覆っていたコンドームを取り払ってやり、自身も後処理をする。すぐに恵一に並んで身体を横たえ、彼を抱き締めてやると安心したように腕の中で恵一が息をついた。

目を覗き込んで探るような真似はしない。恵一に警戒してほしくないからだ。この関係に少しずつ意味を見出して、いつか好きだと思ってくれる日がくれば良い。ただその日が来るのをジッと待っている。

恵一の心はきっと戸惑っている。けれど身体は恐ろしいほど自然に紳助を受け入れていた。その事に恵一は気付いているだろうか。

ゆっくりと髪を撫でていると、腕の中で規則正しい寝息が聞こえ始める。どうやら疲れて夢の住人になったようだ。

紳助は恵一の頬に唇を寄せて、自身も目を瞑って恵一の後を追った。
















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