忍者ブログ

とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

恋を結う日々38

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

恋を結う日々38

隣りで眠る大友を眺めながら自分の鞄を手繰り寄せる。一番上に仕舞っていた小さな箱を取り出して、中の物を暗い部屋の中で見失わないよう慎重に取り出した。

「重いかな・・・。」

付き合いだして間もない恋人には、未来を拘束するようで重く思われるかもしれない。せめて渡し方だけでも大友に気を遣わせないようにしようと、彼が眠っている隙に取り付けてしまうことにした。

「起きないでね、大友。」

小さな声で囁いて、大友の首に指輪を通したネックレスをかける。石も入っていないし、二人のイニシャルが入っているわけでもない。そこまでやるのは、もう少し年月を重ねてからじゃないと、さすがに引かれる気がして。

「俺のもの、って感じ・・・。」

自分の恋人だと実感し始めると、腕の中に閉じ込めて、誰にも見せたくなくなる。そして徐々に自由を奪ってしまうのが常だった。大友はまだ、隣りでこっそり指輪を贈った自分がどれだけ粘着質な性格をしているか知らない。いずれ露呈する時、彼は逃げずに飯塚のそばにいることを選んでくれるだろうか。

大友が微かな違和感に気付いたのか身じろぐ。しかしすぐに収まりのいい場所を見つけて、飯塚の腕に抱かれたまま安堵の息をついた。

「可愛い・・・。」

彼の中にある飯塚のパーセンテージはどれくらいだろう。なかなかいいところまで侵食していると思う。

アリスに訪ねた時の驚いた顔といったら。一瞬で頬を上気させ、戸惑ったように視線を逸らした慌てぶり。強がるくせに、唐突に可愛さを振り撒くものだから、こちらもときめきが止まらないのだ。

次はどんな顔をするだろう。大友の色んな顔を引き出したい。泣き顔を見せてくれるのは気を許してくれた証だろうけど、やはり泣いている顔より幸せそうに笑う顔が見たい。

「いっぱい笑ってよ。」

この腕に閉じ込めることで彼の笑顔が増えるなら喜んでそうするけど、縛り付けると人はいずれ苦しくなって澱んでしまう生き物だから。失敗してきて自分もそれなりに学んでいるはず。大友が息を吸いやすいように、時々腕の力を緩めて可愛がろう。

「あれ・・・。」

大友が飯塚の身体を抱き枕とでも勘違いしたのか、必死に絡みついてくる。

「ちょ、ちょっと・・・苦しい、かな・・・。」

起こさないように優しく宥めてみたものの、一向にしがみついたまま離してはくれない。悪戯心も相まって彼の中心を刺激してやると、甘い吐息と共に大友の力が緩む。

「まだ出そう。」

眠る前にもう出ないとぼやいていたのが嘘のように、手の中で大友の中心が頭をもたげて硬くなる。

いつもと違い、こちらの視線を気にせず蕩け切った顔が愛おしくて。少し弄っただけで大友は飯塚の手に熱い飛沫を微量に吐き出す。気持ち良さそうに擦り寄ってくる身体は、この上なく従順だ。

「どんな夢、見てるの?」

埒をあけ、満足そうな溜息をついた大友に尋ねてみる。しかし目覚める気配はなく、返事もない。

手の中にあった飛沫を拭って、掛布団の位置を整える。肌が伝えてくる柔らかさと温もりに誘われて、飯塚も目を閉じた直後に夢の中へ吸い込まれていった。









いつもご覧いただきまして、ありがとうございます!!
明日でラストです。
 ↓ 応援代わりに押していただけたら嬉しいです!
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
B L ♂ U N I O N


Twitter
@AsagiriToru
朝霧とおる
PR

コメント

プロフィール

HN:
朝霧とおる
性別:
非公開

P R

フリーエリア