甘やかしたい気持ちには際限がない。脳が痺れるほどの快感に身体が包まれて、もう歯止めがきかなかった。昔からの悪い癖。それで歴代の恋人たちを呆れさせてきた。
でも身も心も許してくれたと思えば、振り切れてしまう愛しさを自分で加減することは難しい。大友に鬱陶しいと思われるんじゃないかと危惧していたが、心配して顔色を窺っていたのは最初だけ。彼と一つになったら、身体を貫く気持ち良さに負けた。
「大友、気持ちい?」
「はぁ・・・あ・・・」
本当は聞かなくても十分わかる。ちゃんと快感を拾っていることは、大友の顔を見れば一目瞭然だった。
大友が飯塚の目を捕えて、行為を促すように見つめてくる。強請られてしまうと弱い。そして久しく誰かに強請られる甘さを味わえていなかったから、余計に気分は高揚した。
すんなり受け入れてくれたことと快感を拾える器用さは、こういう行為に大友が慣れている証。自分の熱情を抵抗なく受け入れてくれることを素直に喜ぶべきだけど、大友の心に居座る影を思うと複雑だ。早く自分だけを見てくれる日がくればいいのに。彼にしつこく言う気はないけど、本音を言えば、苦い過去など早く忘れ去ってほしかった。
求めてくれたら、うんと甘やかすのに。早く落ちてきてくれることを願って、喘ぐ大友を見つめる。
「う・・・んッ・・・はぁ・・・あぁッ」
「ココ?」
嬌声の上がった場所をしつこく突くと、大友の手が飯塚の腕を強い力で掴んでくる。
「ダメッ・・・あッ・・・あ、やだッ」
駄目だと言うから避けて突くと、今度は止めないでくれと、足で飯塚の腰をホールドしてくる。大友が奥へ奥へと誘うように飯塚の硬茎を締めるので、気持ち良さに飯塚は身体を震わせた。
「大友、どっち?」
わかっているのに、何故聞いてくるんだと言わんばかりに、大友が飯塚のことを睨んでくる。しかし言わせたいじゃないか。一番かどうかはひとまず保留でいいけど、せめて目の前の自分を態度でも言葉でも求めてほしい。これくらい望んでも罰は当たらないと思う。
「言ってよ。わかんないから、教えて?」
「ッ・・・いじわる・・・きらい・・・」
嫌いだと言いながら必死に抱き付いてくるので、可愛くて仕方ない。好きだと全身で訴えているようなものだ。足でも腕でも纏わりついてきて、今日はこれで勘弁することにした。
「ああッ、や・・・ん・・・うッ・・・」
「きもち・・・大友、こう?」
「ん・・・んッ・・・」
頬を火照らせながら必死に頷いてくるので、堪らなくなって掻き抱いて腰を揺すった。
大友の目尻から、ほろりと滴が散っていくのに気付いたのは、もう極まる寸前だった。
気持ち良くて生理的に流れたものなら気にしない。けれど違う気がして心配になり、声を掛けずにはいられなくなる。
「大友。大友、どうしたの?」
「・・・な、さないで・・・」
「ん? なに?」
「はなさ、ないッ、で・・・」
すっかり泣き顔に変わってしまった大友を抱き締めて、彼の抱える不安が少しでもなくなるように念じてキスをする。
「離さないよ。」
「・・・ぜったい?」
「絶対。」
「はや、くッ」
駆け上っていた熱を宙ぶらりんにされて、大友が怒ったように腰を揺らす。振れ幅の激しい、忙しない恋人は、面倒見がいがあって退屈しそうにない。構いたい性格の自分には、本当にぴったりだ。
蜜を溢し硬く熟れる大友の中心を擦って熱の放出を促してやる。呆気なく快感の波に乗った大友の身体は、飯塚の下で強張って、息を震えさせた。
「ッん、う・・・んんッ、あぁ・・・」
「うッ・・・はぁ・・・ぁ・・・」
大友の中心が温かい蜜を溢すのと、飯塚が絞り取られたのは、ほぼ同時だった。
「大友・・・」
「ん・・・」
肌が快感に震えて、触れ合う刺激が少し苦しい。それでも分け合った熱が確かなものだ。
息も絶え絶えに深く唇を貪って、互いの息遣いを感じ合う。
いつの間にか大友の涙は止まっていて、満足そうに抱き付いてくる。大友の仕草に気を良くした飯塚は、再び煽られて大友の中で一度は果てたはずの中心を硬くした。
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朝霧とおる