好きな人が自分の手でトロトロに溶けていくのは見ていて気分がいい。いいなんていうレベルの話ではなく、それだけで征服した気になれるくらい充足感が並み大抵ではない。
喘いで、時には涙をこぼして、そんなプライドに突き刺さるはずの部分を曝け出してくれると、身体も心も預けてくれていると確信できる。
甲斐が自分をそんな気分にさせてくれるように、進も彼に全身全霊を捧げたいと思う。しかし言葉でどれだけ言ってみたところで、彼に不安や不満を抱かせているなら意味がない。身体を繋げることで安心をしてくれるなら、少しでもこの想いが通じるなら、と願う。
「あッ・・・もう、いいから・・・」
「甲斐が痛い思いするのはダメ。」
腕の中から逃げようとばかりする甲斐を左手で捕獲しつつ、もう片方の手で進の昂りを突き入れるために溶かしていく。頭上から湯を浴び続けているから、甲斐の身体はいつもより火照って赤みがあった。その色に誘われるように唇を寄せて吸い付くと、肩の皮膚に走った小さな痛みに嫌だと頭を振ってくる。
「も・・・挿れろ、よ、バカ・・・」
バカを連呼してくる可愛くない口を進は自分の唇で塞ぎ、喉の奥で笑う。
啜り泣く一歩手前。彼が後で思い返して機嫌を損ねるといけないから、このラインが限界だと思った。せっかく二人で過ごす休日を保証されているのに、自らふいにしてしまうような残念なことはしたくない。
「甲斐、いい?」
「ん・・・うん、はやくッ・・・」
壁に手をつかせ、進はピタリと甲斐の背後に寄り添う。幾度か自分の昂りを擦ってオイルをまとわせたら、大して間も置かずに甲斐の中に己を埋め込んでいく。
「あ、あぁ・・・ッ・・・」
「甲斐、痛くない?」
「ん・・・だい、じょうぶ・・・」
「そう。」
「ふぅ・・・ん・・・」
甲斐の呼吸が落ち着くのを待って、ゆっくりと腰を進める。彼が深呼吸をして力が抜けきったのを見計らって、ぴったり根元まで埋め込んだ。
「あぁ・・・なんか、すぐイきそう。」
甲斐を抱き締めながら肩に顎を乗せて囁くと、もっと感じろと誘うように甲斐の秘部が締め付けてくる。
「頑張って良かった。ご褒美これでいいよ、甲斐。」
「ッ・・・変態・・・」
相変わらず悪態をついてくる甲斐に、少し意地悪をして、先端をくるくると指の腹で撫でる。すると息を呑んで暴れようとした。
「甲斐の先っぽだって、やらしいことになってるじゃん。気持ちい?」
「もう! そういう、こと、いちいち、言うなッ!」
「嬉しいじゃん。俺だけじゃないんだなぁ、って」
「・・・。」
「な?」
好き過ぎて困っているのは甲斐だけではない。それがちゃんと伝わっているといいのだが。甲斐からの返事は待たず、進は欲求のままに腰を揺らす。腰を引くたびに生まれる甘い刺激に、進の脳はすぐに毒されていった。
「あッ、こん、ど・・・ッ・・・」
「甲斐・・・、もう、最高・・・ッ」
可愛い、と咄嗟に出掛かった言葉は呑み込んで、進は甲斐の引き締まった色気をまとう背中を見つめて夢中になる。痕を残したいと思った瞬間には首元に齧り付いた。
「うッ・・・ッ・・・いた、いって・・・」
「いいな。俺のもの、って感じ。」
「ッ・・・へん、た、い・・・」
「甲斐、素直になるっていう、約束は?」
「・・・した、おぼえ、ないッ!」
進は笑いながら天を仰いで、満たされていく征服感に浸る。
バスルームはベッドの上より声が響くから気になるんだろう。いつもより必死に声を堪えようと耐える甲斐に、またそそられる。
せっかくお土産も買ってきたことだし、ご飯ももうすぐ炊ける。あまり焦らして疲弊させると文句のオンパレードになりそうだ。我慢をせずに一度熱を解放しようと、いつもより早い段階で甲斐の硬茎を擦って放出を促す。
「あ、やだッ・・・こん、ど・・・イく、ってば・・・」
「いいよ、一緒にイこう?」
「あッ・・・あ、あぁ、でるッ・・・ん、どうッ」
「んッ・・・ふッ・・・」
進が打ち付けるより前に甲斐の腰が後ろに突き出て迎えにくる。二人で息を震わせて味わう絶頂は、この上ない極楽だった。
「あぁ・・・ッ・・・」
膝から崩れ落ちていきそうになる甲斐を抱き上げると、弾みで進のものが抜け落ちる。同時に彼の中で放ったものも零れ落ちてきて、進は蹂躙した残骸を見つめて酔いしれた。
「甲斐。飯にしよっか。」
「ん・・・ッ」
呼吸がひと段落したところで、キスの合間に提案する。すると照れたように甲斐がそっぽを向いた。嬉しそうなのは彼のまとう気配でわかる。進は彼の機嫌が上々なことを感じ取り、安堵の息をこぼしながら再び甲斐に触れるだけのキスをした。
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朝霧とおる