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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

百の夜から明けて29

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コメント

1. 無題

んも~今藤も世羅といい勝負(笑)連日連夜(//∇//)

硬貨が全部五円玉って!!どんだけ今藤と縁を繋げたいの~(爆)
もー甲斐のドタバタおっちょこちょいが可愛くて可愛くて、今藤の気持ちと共振してしまいます( 〃▽〃)

これからも、わあわあ騒ぎながら今藤の手のひらで転がされちゃうんでしょうねw

あ、今日で最終回かなと読みながら寂しさを感じていましたが、続くのですねドタバタが(笑)
すごい楽しみです~(≧∇≦)♪

毎日の更新ありがとうございます(*^^*)

Re:無題

どうにか二人には笑える要素を、と思い、苦肉の策の五円玉です(笑)
甲斐は愛されキャラを目指しつつ、若干残念な男になっていますが、これからもどこか抜けてて構わずにはいられない甲斐を書いていけたら・・・。

こちらこそ、連日通っていただけて嬉しいです!!

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百の夜から明けて29

頬が緩むのを止められないのは、無防備な寝顔を晒す目の前の男、甲斐の所為だ。夜明け前に目覚めた進は、飽きることなく甲斐の寝顔を眺めていた。

襲いたい衝動を堪えて好きな人の顔を眺めるという贅沢。想像していなかった未来が確かに自分の手にあって、気持ち良さそうに寝息を立てる甲斐がより一層貴重でかけがえのない存在に思える。

甲斐が想像するより、きっと進の気持ちは重い。けれど難なくその重さを吹き飛ばしてくれる底抜けた明るさが甲斐にはあると思う。そんなところも彼を好きな理由のひとつかもしれない。

別々の人生がこうやって交われば、いずれ衝突することもあるだろうけれど、手放したいと思う日は永遠に来ないと思う。それくらいには囚われているし、そばにいることを許されたいと願う。

「甲斐」

そっと囁くように呼び掛けると、彼が身じろぐ。しかしそれも僅かな間だけで、収まりの良い場所を早々に見つけた彼は、また眠りの中に落ちていった。

付き合っている、と宣言できるほど、年月を経ていない。勢いだけで突き進んだようなもので、まだ一週間も経っていないのだ。どうしてこんなに信用しきって身体を預けているのだと、少し不安になる。過去のことはどうする事もできないが、他の誰かにこんな姿を晒していたのかと思うと、少々頭が痛い。

しかし逐一そんな事を話題にしていたのでは狭量だと幻滅されかねない。このモヤモヤは胸に仕舞っておいたところで爆発するレベルではないだろうと思う。進の自尊心に関わる部分なだけに、上手くこの気持ちと付き合って切り抜けようと心に決めた。

嫌だと口先だけの抵抗を封じ込めて抱いた昨夜、甲斐の穏やかな寝息を聞いているだけでその情景が甦ってくる。今日が休日だったらどれだけいいだろうと思うけれど、願ったところでそこは強引に修正できるものでもない。

週末まであと少し。しばらくはこの溢れんばかりの劣情をぶつけてしまうだろうけど、盛り上がっているのは甲斐も同じだと感じるから、なんとかこの時期を乗り越えられる気がする。二人の波長が合っていないと悲劇になりかねない。せっかく想いが通じたのに、そんなことになるのは御免だ。

「甲斐」

ジッと見入っていたが、睫毛がピクリと動いたのを皮切りに、甲斐がむにゃむにゃと何か喋り始める。

鼻をつまむと口をぱかっと開けて、大層な間抜け面を晒してきた。

「無防備なやつ・・・。」

食っちまうぞと耳元で囁くと、くすぐったかったのか、耳の辺りを煩わしそうに手が彷徨う。進は甲斐の手に指を絡めて、自分の口元まで誘った。甲斐の目が蠢き、開いた瞬間赤面したのを、進は満足げに眺めた。



 * * *



鳥居をくぐり砂利道を二人で進む。休日の朝、神社の境内にいるのは通うことが習慣になっているような老人だけだった。

年明けなんとなく足を運んだ場所が縁を結んでくれるなんて。信仰心はゼロだっただけに、少々ばつが悪い。

「ここの神様、商売繁盛だけど?」

「わかってるよ。お願いするんじゃなくてさ。」

一応感謝しておくべきだろうと言えば、甲斐が笑う。

「でもさ・・・なんかこう・・・もうちょっと、なんとかならなかったかなぁ、と思って。」

「は?」

要領を得ずにモゴモゴ甲斐が呟くので、進は横に並ぶ彼へチラリと視線を送る。

「だって・・・いいとこ、全部持ってかれた感じ。俺、ホント間抜けじゃん。」

「そこが甲斐だろ。おまえのお陰だから、感謝してるよ。」

「バカにしてるだろ。」

静かな境内で威嚇してくる恋人に、進はフッと笑みをこぼす。

「おまえばっか余裕面してて、ムカつく・・・。」

今度はむくれ出したので、忙しない恋人だと堪え切れずに進は声を上げて笑った。

「甲斐、飯奢るから機嫌直して。」

「釣られないからな。」

「違うって。借りもあったし。」

「・・・。」

甲斐が進の様子を窺うように睨んできたものの、口を尖らせたまま視線をそらし、財布からゴソゴソと硬貨を取り出す。手に持った彼の硬貨が全て五円玉だったことを突っ込むべきか否か迷って、進はこれ以上揶揄うことをやめた。

二人でお賽銭を投げ入れて、鈴緒を揺らす。本坪鈴が威勢の良い音を立てて境内に鳴り響き、頭を下げて手を打ち鳴らした。

感謝を一言心で述べて礼をする。しかし隣りに視線をやると、しっかり目を瞑って熱心に手を合わせている甲斐がいた。何をお願いしていることやら。神仏に願ったところでそうそう人の性格は変わらないだろうから、彼がどこか抜けていておっちょこちょいなところも簡単には直らないだろう。

満足そうに顔を上げるまで甲斐を眺めていた進は、じっと見つめていたことがバレないようにスッと視線をそらす。しかし突然顔をそらした事を不審に思った甲斐に覗き込まれて笑っていることがバレてしまう。

「上手くいきますように、ってお願いしてただけだろ!」

「言っちゃっていいのか、そういうの。」

「ッ! 聞かなかったことにしろ!」

「はいはい。」

甲斐が一人隣りにいるだけで、こんなに賑やかになる。進は心ゆくまで甲斐の隣りで笑った。











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学会の準備で忙しなくしている今藤に、甲斐がやきもきしているお話、やっぱり書きたくなりました。
なので引き続きラブラブだったりドタバタしている二人に、暫しお付き合いいただければと!
甲斐が暴れてばかりでしっとり感がない!と色々私個人が欠乏症気味なので、ここからが本番!と意気込んで書きたいと思います。
多田と柚乃宮のお話は唐突に暇な昼休みに投下すると思います。
気長にお待ちいただけると嬉しいです。
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朝霧とおる
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1. 無題

んも~今藤も世羅といい勝負(笑)連日連夜(//∇//)

硬貨が全部五円玉って!!どんだけ今藤と縁を繋げたいの~(爆)
もー甲斐のドタバタおっちょこちょいが可愛くて可愛くて、今藤の気持ちと共振してしまいます( 〃▽〃)

これからも、わあわあ騒ぎながら今藤の手のひらで転がされちゃうんでしょうねw

あ、今日で最終回かなと読みながら寂しさを感じていましたが、続くのですねドタバタが(笑)
すごい楽しみです~(≧∇≦)♪

毎日の更新ありがとうございます(*^^*)

Re:無題

どうにか二人には笑える要素を、と思い、苦肉の策の五円玉です(笑)
甲斐は愛されキャラを目指しつつ、若干残念な男になっていますが、これからもどこか抜けてて構わずにはいられない甲斐を書いていけたら・・・。

こちらこそ、連日通っていただけて嬉しいです!!

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