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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

王都の燈火・おまけ

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王都の燈火・おまけ

世羅が時折フェイを寂しそうな目で見つめていることをキィは知っていた。気に食わないところもあるけれど、ほんの少しだけ、彼にこの羽を分けてあげたくなる時がある。

フェイがどこかへ行ったとしても、キィの羽があれば半日もかからず遥か遠くまで飛んでいくことができる。

天帝の不安は、時に民の命を削り取ってしまうことがある。不安は人を凶暴にさせ、愛しい者さえ殺めてしまうことだってあるのだから、世羅が常に不安を抱えていることをキィは快く思っていなかった。

フェイを抱き締め安堵の顔を浮かべたと思ったら、また寂しげな顔をする。何故あやつはあんなにも忙しない男なのだろう。寄り添う我が主は疲れたりしないのだろうか。

しかし幼い頃からフェイと共に長く旅を続けている自分から言わせれば、フェイは心折れたことがなく、どんな困難が訪れても自暴自棄になったりしない。崖から身を投げた時でさえ、しっかりとフェイの揺らぎない信念を感じたほどだった。

世羅の不安を掬い取って、フェイがおおらかさで包み込む。そしてフェイは世羅の愛に包まれながら、遠い大地に立って不安と無縁でいられる。二人は互いを支える存在であり、調和し均衡を保っているのだ。きっとそうに違いないとキィは思う。

「フェイ・・・。」

二人が籠る部屋の出窓。そのすぐそばにある木の影に隠れて、キィは世羅の声を聞いた。フェイは眠っているのか返事がない。

キィにはとても危うい天帝に見えるものの、フェイがいる限り、二人はきっと変わらず健やかでいてくれる。この冬は他の後輩の面倒に勤しんで、二人の間に割って入るのは控えようと思った。

世羅のためではない。民のためを思っての事だ。

キィは胸を膨らませて深呼吸をし、羽を広げる。燈火の勢力が減退し、陽が朝の到来を告げ始めたので、幸福の鳥として王都で一仕事してこようと、キィは意気込んで空へ飛び立った。









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哲学者キィ。。。鳥も悟ってしまうらしい。。。
なんだかんだ、世羅のことが気に掛かって仕方のないキィなのです。

王都の燈火、お付き合いいただきまして、ありがとうございました~!!
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