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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

二人だけの慰労会4

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二人だけの慰労会4

煽ったくせに部屋に通されてもすぐには手を伸ばしてこなかった。性格悪過ぎるだろうと心の中で悪態をついたところで、何も始まらない。

それでも夕食前に風呂で盛られるのは勘弁してもらいたい。地元の特産品を使った料理だから楽しみにしていてほしいとフロントで言われたばかりだというのに。

しかしどう考えてもその流れで事は進みそうで、先に入るよう促した今藤が、個室の露天風呂から入浴を勧めてくる。そして今藤自身は全く出ようという気配がなかった。

確かに少しばかりやらしい事をしたいという下心で、温泉の出る露天風呂付き個室を選んだのは否めない。けれど二人で楽しみたいことはそれだけではないのだ。お酒だって楽しみたいし、温泉街の活気や食べ物も味わいたい。

「今藤が出ないなら入んない。飯の後入る。」

「飯前のサービスはないの?」

「ない。」

「残念だなぁ。」

素っ気なく今藤をあしらうと、それきり追及もなく、逆に呆気にとられる。あっさりし過ぎていて、逆に不安になった。しかし幾分も待たずに浴衣姿で風呂から上がってきた彼は、特に気分を害した様子もなく、上機嫌な顔だ。

「襲撃はやめといてやるから入ってこいよ。」

「ッ・・・。」

雅人が返事をする前に、今藤が口付けてくる。温まった身体と石鹸の香りに誘われて、危うく腕の中に飛び込みそうになる。

「・・・景色・・・どうだった?」

「甲斐が上に跨ってたら、なお最高だったんだけどな。」

減らない口に抗議する気も失せて、顔を火照らせたままシャワールームへ逃げ込む。期待に満ちて反応する現金な身体に溜息をついて、雅人は昂った身体を一旦落ち着けようと温泉に身を沈めた。


 * * *


向かい合って飲んでいたはずが、いつの間にか壁にもたれかかって身を寄せ合っている。料理が下げられ、売店で買い込んだビールで二人きりの宴会を始めてからどれくらいの時間が経っただろうか。部屋に時計はなく、時間を気にする必要もないので、もうそれなりに夜が更けてきたということ以外わからない。

「なぁ。」

「ん?」

缶は二つしか空いていない。お互いセーブして飲んでいたわけではなく、ゆっくり飲みたい気分だったというだけだろう。波長の合った心地良さに浸って、雅人は数度口を付けただけの缶を卓上に置いた。

「したい。」

今藤の手からビール缶を奪って、彼に口付ける。喉の奥で彼が笑ったと思った次の瞬間、唇の間をぬって滑り込んできた今藤の舌に翻弄される。雅人が我慢できなくなるのを見越していたような今藤の反応。悔しい気もするけど、今はそれどころではない。

「んッ・・・ふ・・・」

一度スイッチが入ってしまえば、もうここには二人の行為を阻むものは何もない。雅人はいつもより幾分心が解放されているのを感じながら、今藤の上に跨る。止め方が下手だった帯はすぐに緩んで、浴衣はあっという間にはだけていった。

昂った腰を押し付ければ、今藤も同じ気分でいたことがすぐにわかる。今藤の反応に満足してさらに身を寄せると、彼が耐えきれないと言わんばかりに雅人の首元に噛みついてくる。

抱き締められて、キスをして、ただそれだけでこんなにも興奮できるのだから、普段どれだけ抑圧されているかがわかる。明日仕事だと思えばセーブせざるを得ないし、そうでなくとも、何か頭に引っ掛かるものは常にあるのだ。

今はそれがない。欲しいという気持ち一つ。この男を取り込んでやろうと必死になっている。凶暴に急かしてくる欲望に雅人は呑み込まれていた。

「甲斐、落ち着けって。」

「んッ・・・ムリ・・・」

今藤が小さく笑いながら宥めてくる。しかし彼の手は的確に雅人の分身を捕えて扱き始めた。

「はぁッ・・・あ・・・こん、ど・・・」

「一度、イっとけ。ケガする。」

「あッ、あ・・・ん・・・んぅ・・・」

こんな喘いでいたら、隣室に丸聞こえなんじゃなかろうかと思うのに、解放感に満ちた身体は言うことを聞いてくれない。

今藤の慣れた手は雅人の要所を撫でては扱くことを繰り返す。容赦ない刺激は雅人をあっという間に高みへと連れていった。

「あ、今藤ッ」

身を捩って悶える。反射的に逃げようとした身体を捕えられて、ダイレクトに身体を駆け巡っていく刺激に涙がこぼれた。

「いい顔。」

欲情に濡れた情けない顔なんて本当は見せたくない。けれど晒してしまったところで今藤が嬉しそうにすることは知っているから、弱みを見せることを辛うじて許せる。

「ッ・・・あぁ、で、るッ・・・んッ・・・くぅ・・・」

勢いよく散った蜜が今藤の首元まで届いて、残滓も揉み扱かれる。

「・・・うぁ・・・あッ・・・や、こわ、い・・・」

気持ち良くて怖いという感覚は、今藤が雅人に植え付けた。頭が真っ白になり続けて、身体がバラバラになっていくような気がして怖くなる。そして理性を呼び戻そうとしても、意識は一向に自分の言う事を聞いてくれなくなる。自分の身体であるはずなのに、思い通りにならない怖さ。

快感に仰け反って今藤の手淫を受け止めていると、いつの間にか仰向けに横たえられていた。

「今藤・・・もっと・・・」

キスの合間にどうにかそれだけ伝える。今藤と交わればもっと高みまで昇れることを自分は知っているから、強請らずにはいられない。

明日の自分をおもんばかる余裕すらなく、雅人は今藤に先を促して抱き付いた。









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