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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

碧眼の鳥6

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コメント

1. 無題

初めまして!

碧眼の鳥を楽しみに読ませて頂いております。突然のコメントで大変失礼かと存じますが一つお聞きしてもよろしいでしょうか?私の読み落しでしたらご容赦くださいませ。

この国では、王族のみが漢字名なのでしょうか?

とてもとても気になったので。

その通りです!

はじめまして。
いつも、ありがとうございます!!
おっしゃる通り、シンビ国では王族のみが漢字名で表記されています。

本編では使うことのない裏設定ではあるのですが。。。(笑)

昔、国が小さかった頃は独自の漢字を使っていたシンビ国。
しかし国土が広がるにつれて、庶民には漢字にとってかわる簡単な文字が広がって、
現在は王族の名だけにその名残りがある。。。

というような理由で、世羅、理世たち王族は漢字名なのです。

突っ込んでいただけて嬉しいです!!
これからも、よろしくお願いいたします。

ただいまコメントを受けつけておりません。

碧眼の鳥6

黄金の間はまつりごとを取りはからうために誂えられた部屋だ。議会で決められたことをここで告示し、国の内外へ知らしめる場所。そしてここの頂点の座に就くのは自分ではなく、本当だったら兄のはずだった。

しかし病弱な兄は、天帝の座を譲り受けた後も一度たりとも黄金の玉座に着くことはなく、この世から去っていこうとしている。

兄の代わりにその座に就くべく教育を受けてきた自分は、叶わぬ想いを抱いて、全てを手に入れ、己の全てを失う。それが刻々と近付いてきているかと思うと、毎夜、得体の知れぬ真っ黒なモノに追いかけられる夢を見た。

「はぁ・・・はぁ・・・ッ・・・」

なぜ、自分なのか。望むものなどただ一つだというのに。

「フェイ・・・」

汗で濡れた衣をすべて脱ぎ捨て、ふらふらと立ち上がって、一糸まとわぬ姿で星々が照らす出窓へ腰かける。

ここからは王都が一望できた。フェイの姿を捜してみるものの、真っ暗な闇に包まれている眼下で見つけることは叶わない。

フェイや他の薬師たちは一旦王都へ引き上げ、各々所望する品を探しに行ってしまった。次の旅のための準備だ。

自分をこの王宮の檻に残して、フェイはまた旅立ってしまう。珍しく王都にしばらく留まると聞いたが、いつまでも、というわけではないだろう。

この腕に抱き締めた時の温かさがまだ思い出せる。そして想像より華奢な身体に驚いた。民は彼を王都まで無事導いたというが、フェイにはもっと栄養のあるものを食べて長い旅路を難なく越えられる身体になってほしい。こちらが心配にならないくらいの身体に。

もう一度、触れたい。温かさを確かめるだけでいい。けれどなんと言い訳をして抱擁するのだろう。もう自分たちは邪気なく触れ合える幼子ではないのだ。

どうしようもない己の欲に頭を振って薬師の長であるライを呼び寄せる。彼は重い足を気にする風でもなく、音もなく静かに世羅の寝室へとやってきた。

「ライ。眠り薬がほしいのだ。」

「寝付けませんか?」

世羅が何もまとっていないことをライは咎めもせず、そっと新しい衣を肩からかけてくれた。

「心が・・・どうにも乱れてしまう。情けないことだ。」

「情けないなどと思うことはありません。生きていれば、心を乱すことの一つや二つ、誰にでもあるものです。」

「強くありたいのに、真逆になっていく。きっと・・・呆れたかもしれない。」

「世羅様には呆れてほしくないと望む方がいらっしゃるのですね。」

「・・・。」

「さぁ、これを。こちらの白湯でお飲みください。」

年老いた賢者はいつものごとく深追いしてくることはなかった。それが今宵は物足りなく思える。問いただされたら溢してしまいそうなほど心は折れていたからだ。

「明日の晩、フェイをここへ。」

「・・・承知いたしました。」

来た時と同様、音もなく去っていくライの背中を見て、後悔する。なぜ、フェイを呼んでほしいなどと言ってしまったのか。呼んで自分はどうする気だったのか。

頭をよぎった考えに自分で身震いし、身体を抱き締めて寝台に横たわる。

抱きたいと思ってしまった。今までどうにか考えないようにしてきたこと。彼の尊厳を傷付けたくないと皮を被って思ってきたことが、内側から裂けていく。

友の皮を被った獣が顔を出して、手を伸ばしてしまったら、もう元には戻れないというのに。なんて自分はおぞましいことを考えてしまうのだろう。

乱れた着衣もそのままに、苦悶の表情を浮かべたまま、世羅は襲ってきた眠気に目を閉じた。















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朝霧とおる
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コメント

1. 無題

初めまして!

碧眼の鳥を楽しみに読ませて頂いております。突然のコメントで大変失礼かと存じますが一つお聞きしてもよろしいでしょうか?私の読み落しでしたらご容赦くださいませ。

この国では、王族のみが漢字名なのでしょうか?

とてもとても気になったので。

その通りです!

はじめまして。
いつも、ありがとうございます!!
おっしゃる通り、シンビ国では王族のみが漢字名で表記されています。

本編では使うことのない裏設定ではあるのですが。。。(笑)

昔、国が小さかった頃は独自の漢字を使っていたシンビ国。
しかし国土が広がるにつれて、庶民には漢字にとってかわる簡単な文字が広がって、
現在は王族の名だけにその名残りがある。。。

というような理由で、世羅、理世たち王族は漢字名なのです。

突っ込んでいただけて嬉しいです!!
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