正直者で嘘を嫌う口が、どうしても約束はできないと言う。嘘だって構わないのに。この腕の中に戻ってくるという決意が聞きたいだけだったのだ。
けれどそういうところがフェイらしい。悲しいくらい彼らしくて、世羅の心を抉った。
「フェイ・・・フェイ・・・」
「んッ!! ふぅ・・・ぁ・・・」
指を満遍なく濡らし、狭い蕾に挿し入れる。
一瞬フェイの身体が強張ったが、痛がる気配はなく安堵する。一方的に抱いていても、痛めつけたいわけではない。本心では求めてほしいし、高まる気を分け合いたいのだ。
フェイの痴態を見て、すでに猛っている自身を感じる。硬く芯を持って、痛いほど張り詰めていた。
早く包まれたい。一つになりたいと急く気持ちをどうにか宥めながら、口を薄っすらと開けて嬌声を漏らすフェイを眺めた。
「あッ・・・んんッ、ん・・・」
「こら、そなたの指が傷付いてしまう。」
「ああッ!!」
上がる声を抑えようと、必死に自分の指を噛むので、フェイの指は血が滲んでいた。その手を引き寄せて血を舌で舐めとる。
「ッ・・・あ、ダメッ・・・」
挿し入れる指を増やして、バラバラと中で動かすと、気の高まるところへ当たったらしい。腹部の圧迫感で気持ち良さとは無縁そうだった身体が跳ね、フェイの象徴がツンと上を向く。
「ココか?」
「ひゃぁッ・・・ら、さまッ・・・」
愛しい人が自分の手で気を高めるなんて、そんな素晴らしいことはない。可愛くて堪らず、世羅も絶え間なく煽られた。
もう世羅の象徴は我慢ならないと先端から蜜を溢していた。このまま突き入れたら、そのまま爆ぜてしまいそうなほど熱く猛っている。
フェイの目尻から一筋涙が溢れて、それを舐めてすくい取る。少しの刺激にすらフェイが身体を震わせるので、繋がりたい欲求をいよいよ堪えきれなくなった。
「フェイ、良いか?」
「ッ・・・?」
潤んだ瞳で何を問われているのかもわかっていそうにない。ジッと見つめてくる熱い眼差しを言い訳にして、世羅はフェイの秘部に己をあてがう。
「ぁ・・・せら、さま・・・」
「待てと言われても、待てぬ。」
身構えたフェイの身体を抱き締めて、額と頬に唇を寄せる。そうして緩んだフェイの身体を見計らって、世羅は猛々しいものを沈めていった。
「ああッ! あ、ぁ・・・ら、さッ・・・」
フェイの隅々まで味わうように、ゆっくりと腰を進めると、組み敷いた下で、フェイが苦しそうに眉を顰める。
「ッ、フェイ・・・つらい、か?」
「んッ・・・ふぅ・・・」
つらいと言われても、ここまできて止まる術はないが、慣れていないなりに力む身体を弛緩させようと、フェイが深く呼吸をしている。
「フェイ・・・愛してる。」
帰る約束はしてくれなくても、世羅の想いと身体を必死に受け止めようとする姿が、あまりに健気で胸がいっぱいになる。
目を閉じて呼吸に専念していた瞳が見開き、世羅をジッと見つめてくる。下半身に重く響く甘い刺激は、世羅の我慢を難しくさせた。せめて馴染むまで動かずにいようと思っていた矢先だったというのに。
「せ、ら・・・さま・・・」
「ッ・・・フェイ・・・」
寝台に敷かれていた布ばかりを頼りにしていたフェイの手が、世羅の腕を初めて掴む。その姿に感動すらおぼえて衝動的に抱き締めると、フェイは躊躇わず世羅の背に腕を回してきた。
「んッ・・・う・・・」
抱き締めたまま、蠢く中に誘われて腰を揺らす。次から次へと楔へ与えられる刺激に、世羅は目眩をおぼえる。
「ぁ・・・フェ、イ・・・ッ・・・」
「・・・んぁッ・・・あ、あッ・・・あぁ・・・」
どうにか受け止めようとフェイの必死さが伝わってきて、煽られては律動を繰り返した。
「ッ・・・」
背に痛みが走る。フェイが爪を立てたのだろう。しかしそんなことすら嬉しくて、爪が皮膚に食い込んでくるのを気にもせず、世羅はフェイの身体を揺する。それほど繋がった場所から得られる快感が刺激的だった。
衝動だけで抱いてしまった前とは違う。心が満ちていく幸福な時間。フェイもそうだったらいいのにと願いながらも、強引であることに変わりはないことに気付いて自嘲する。
「ああぁッ!!」
腰を打ち付けたところで、フェイが一際大きな嬌声を上げる。世羅がそこを追い立てると、泣きながら震えてしがみついてきた。
「あぁ、ああッ・・・あ、あ・・・ん・・・ら、さまッ・・・」
フェイはやめてくれと言わんばかりに首を振る。けれど口では絶対に嫌だと訴えてくることはなかった。
世羅を傷付けまいとしているのか。彼の想いが無意識にその言葉を避けているのかはわからないけれど。そのことにまた煽られて、世羅の律動も激しくなっていく。
しがみつきながら、フェイの腰がたびたび浮いてぶつかってくる。その行為の意味に気付いた世羅は、フェイの象徴に指を絡めて輪を作り、上下に強く扱いてやる。
達したいのに達せず、もどかしくて無意識にやっていたのだろう。それが愛らしくて丹念に擦ってやると、啜り泣いて身体を震わせる。
「フェイ・・・いいんだよ。ほら・・・」
その言葉を待ち侘びていたかのように、声も出さずに身体を強張らせて腎水を溢す。
「ッーー!!」
急にキツく締まった蕾に搾り取られるように、世羅もフェイの中で果てる。
「くッ・・・ッ・・・」
二人で熱い息を吐き出しながら、唇を合わせる。息が苦しいのに焼けそうな熱さが心地良い。
「ッ・・・んッ・・・」
「ふぅ・・・はぁ・・・」
もうこれで十分。これだけ健気に受け止めてくれたのだ。今、これ以上求めたらバチが当たるだろう。
愛おしくてたまらず、抱き締めて、幾度も頬や額に唇を落としていく。
目が合うとフェイが恥ずかしそうに顔を火照らせる。それでも視線をそらさずに見上げてくる瞳に世羅は胸を熱くした。
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朝霧とおる