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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

碧眼の鳥29

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碧眼の鳥29

愛おしい身体に口付けながら、泣きの入った恐怖の声を上げるフェイに、余計に自分の身体が煽られていく。

逃げるなら強引に組み伏せてでも繋がりたい。もう頭の中にはそれしかなかった。

ここまできて、友に戻ろうなどと無理な話だ。いくら寛容な彼だって、到底受け入れてはくれないだろう。

ならいっそ、一度でいいから自分のものにしたい。交わって愛を注ぎ込み、それで受け入れてもらえないのであれば、心をなくしてしまえばいい。フェイはもうこの顔を見たいとも思わないだろうから。

「フェイ・・・フェイ・・・」

泣いて震えていてもこの腕から逃げないのは、彼の優しさなのか、それとも体力的な問題なのかはわからない。

けれど今まで良好だった関係に免じて受け止めてくれているのならいいと願ってしまう。憐れみでも良かった。受け止めてくれる気があるとわかったら、それだけで自分は歓喜してしまいそうだ。

「フェイ、そんな強く唇を噛んだらいけない。噛むなら私の指を噛みなさい。」

フェイの口に指を潜り込ませて、声を堪えることができないように口を開かせる。

「あッ・・・あぁ・・・ん、うッ・・・」

顔が歪むのは、下肢へ感じる異物感からなのか、痛みでも感じているからなのかはわからない。問うても答えず、フェイは首を微かに横へ振るだけだった。

最初は拒絶を示していたフェイの中も、今では滑らかに指が行き来する。それが世羅の心を満たして、張り詰めた己の象徴をさらに猛々しくさせた。

「フェイ・・・愛してる・・・」

それまで苦悶の表情で世羅を見つめていた瞳が驚いたように見開かれる。

「せ、ら・・・さま・・・」

名を呼んでくれるだけで充分だった。同じ言葉が返ってくることは、はなから期待していない。まだ自分の名を呼んでくれる。強引に抱こうというのに、まだフェイの口から自分の名が聞けることに心が震えた。

「ぁ・・・あぁぁッ」

世羅が己の象徴をフェイにあてがって中に身を沈めていくと同時に、フェイの口から悲鳴が上がる。

「フェイ、痛むか?」

初めての行為に快感を得ることまではできなくても、痛い思いをさせたいわけではない。

「世羅、さ、ま・・・くる、し・・・」

痛いわけではないことにひとまず安堵する。送り込む熱にまとわりついてくる蕩けそうな感覚に必死で息を整えて、突き上げたい衝動をこらえた。

フェイの少しばかり小さい手が、縋るように世羅の腕を掴む。そんな姿を見て、こらえようとした決意が脆くも崩れ去っていく。

「せら、あぁッ・・・んんッ・・・」

キツく熱い中を行き来しはじめると、もう止めることなどできなかった。

「フェイ・・・ッ・・・」

こんな初めてを味わったら、誰も抱けなくなる。これが最初で最後になっても、後悔はしないだろう。息が詰まるほど、愛しくて、気持ち良くてたまらない。

「んッ・・・う、うッ・・・ん・・・あぁ・・・」

突き上げて揺さぶるたびにフェイの口から漏れる声が、行為の生々しさを伝えてくる。淫らに交わって、それでもフェイが突き放そうとしないことに気を良くする。

フェイはただ苦しいに違いない。嬌声というより呻く声に近いからだ。

彼の腰を掴んで深く腰を突き入れると、フェイの身体が今までにない反応を示す。大きく震え、中を締め付けてきたので、ここが気の高まる場所なのだと知る。

苦しませるのは本望ではない。せめてこの昂りの半分でも分けられたらいいのに。

「あッ、せら・・・さ、まッ・・・」

心の中で謝りながらも、身体は歓喜に震えていた。痛めつけて喜ぶ趣味はないと思っていたのだが、やっていることはそういうことだ。

フェイが涙目でこちらを見て縋ってくる姿に煽られる。

「フェイ・・・フェイ・・・私を、置いて、いくなんて・・・許さないッ」

「・・・らッ、さま・・・ッ・・・」

フェイが首を必死になって横へ振ってみせたのは、置いていかないという意思表示だろうか。それとも与えられる刺激の苦しさから逃れるためだろうか。

「置いていかないと・・・約束、するのだ。フェイ・・・」

今度は大きく頷いてみせた彼の目尻から、大粒の雫が零れ落ちた。

ずっと一緒にいたいと願うようになり、抱き締めたくなり、止まらなくなるほど想いは募った。

求めるままにフェイを揺さぶりながら、こうすること以外に二人の未来を選べなかった自分に後悔しはじめる。

力でねじ伏せるのは簡単でも、二度とフェイは自分に心を開いてくれないかもしれない。かけがえのない友を自分の手で永遠に失ってしまったのだから。

「フェイ、愛してる・・・」

「ッ・・・ぁ、あぁッ・・・ん・・・うッ・・・」

フェイの象徴に触れてみると、先ほどまで萎えていたものが芯を持っていた。ちゃんと自分との行為に快感を拾ってくれている。そのことが嬉しくて、ただそれだけを頼りに手の中へと包み擦り上げていく。

「はぁッ・・・あ・・・せ、らさ・・・まッ・・・」

泣き顔のままフェイが必死な様子で世羅の名前を呼び続ける。それに応えるようにフェイの象徴を手の中で高めていく。

「あッ・・・ふぅッ、ん・・・ぁ・・・」

口を薄っすらと開けて、恍惚とした表情は目の毒だった。フェイが身体を強張らせ腎水を溢したのと同時に世羅も搾り取られる。

「うッ・・・くぅ・・・」

感じるままにフェイの中へ注ぎ込み、強く抱き締めて世羅は身体を震わせた。













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