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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

新緑の楽園28

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新緑の楽園28

部屋を抜け出し、そのまま三階にある竜崎の部屋へと駆けていく。きっと文句の一つや二つは食らうだろうが、どうしても直樹のいる部屋ではできない。インターホンはないからドアを叩く。すると思いのほかすぐに竜崎から応答があって、春哉は開かれたドアに滑り込んだ。

「ぴかりん、トイレ貸して!!」

「何でだよ?」

「ナオのいるところじゃ、できない!」

「はぁ?」

素早くトイレの内カギをかけて脱力し床へ座り込む。塵一つ落ちていないのは、意外にもしっかり者で几帳面な竜崎らしいところだ。

「春哉、さっさと済ませて部屋帰れよ。」

呆れたというか、諦めているというか、竜崎が投げやりな声で釘を刺してくる。床を擦って遠ざかっていく足音に、春哉は肩を落として溜息をついた。

「あんな風に見られたら、ムリ……。」

好きだと伝えたけれど、わからないと濁されたから、春哉なりに気を使って距離を取ったのだ。しかし春哉が目を閉じてすぐ、直樹は何を思ったのか長らく春哉の髪を撫でていた。すっかり自分は緊張してしまって身体を強張らせていたくらいだ。目を開く勇気はなくて、一方でやめてほしくなくて、直樹の寝息が聴こえてくるまで触れられる感覚を堪能した。

今朝は今朝で、直樹の視線を感じて目覚めた。寝顔を見ていたらしく、ジッと見つめられ、春哉の体温は急上昇して心臓が飛び出るかと思うくらい大きく鳴った。

気持ちがわからないなんて、嘘かもしれない。春哉の反応を見て面白がっているだけかもしれない。そんな風に少し卑屈な気分になって春哉は直樹の目を盗んで部屋を飛び出した。

ただの生理現象と、好きな人に欲情して身体が昂るのは違う。今まで身体の変化を感じて、こんな恥ずかしいと思う気持ちを抱いたことはない。

「もう、大人しくしててよぉ……。」

床へ座り込んだまま、前を寛げる。壁に身を寄せてコソコソと自分の分身へ触れると、反射的に身体がビクッと震えた。頭に血が大量に送られて、顔が熱くなっていくのが自分でもわかる。

直樹の気持ちがわからないのに、自分だけ昂っている事実が虚しくて、居た堪れない。

「ふぅ……ん……」

気の許せる竜崎の部屋だからと言って、さすがに直樹の名を呼んで自慰に耽ることができるほど強心臓ではない。熱が膨れていく速度がいつもより速いのは、竜崎に早くしろと言われたからではない。直樹の顔が頭をよぎるだけで、せつなくて気持ちよくて堪らないのだ。

扱いている手が汚れていく。先端から我慢できなかった蜜が幾筋もはしたなくこぼれていた。器用に指先で弄る必要すらない。いとも簡単に精が込み上げてきて、一瞬抵抗するように力んだ腹部がすぐに弛緩し、握っていた分身が波打つ。

「うッ……んッ……」

小さく腰を突き出して、白く不透明な劣情を慌てて手に受け止める。溜め込んでいたかのように暫く放出が止まらなくて、焦りながら泣きたくなった。

屈み込んだまま、トイレットペーパーに手を伸ばして汚したものを拭っていく。早くなかった事にしたくて、早々に紙屑ごと流し去って証拠を隠滅した。









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