擦られるたびに身体の奥で熱が湧いてくる。繰り出していた反論も気持ち良さには勝てずに半端になって、隆一の行為を受け入れているようなものだ。積極的に指を絡めて扱く手は、隆一の背に阻まれて直接見ることはできなくても、想像するだけで淫らで堪らない気持ちになる。
「はぁ……ッ……」
隆一が時折、ポツリポツリと言葉を発する。しかし右から左へと流れてしまう言葉を理解することはできなくて、腰に疼く甘い響きに分身が喜んで反応した。
「ホント、待っ……りゅ、ち……」
みっともない声を上げてしまいそうで、掌で顔を覆いながら唇を噛んで耐える。
彼がどんな顔をして触れているのかわからない。だから余計に興奮する。いつも涼しげな瞳に自分の分身が映っているのかと思うと、それだけで居た堪れなくて脳が焼けそうになった。
「光はいつもどんなこと想像する?」
「ッ、どんな、って……ッ」
すぐさま頭には隆一の顔が浮かぶ。しかしそんな事を言えるはずもなくて、ただ縋るように隆一の服を掴んだ。
「イきそう?」
「もッ、離せって……」
「光が気持ち良さそうだから、俺もしたくなっちゃったな。」
「なッ……」
ちらりと窺い見てきた隆一の舌が唇を舐める。妖艶な微笑みに下半身はいっきに熱を上げて、隆一の手の中でさらに熱塊を硬く漲らせた。
隆一が自慰に耽る姿なんて想像できない。こうやって光に触れてくる彼すら信じられず、隆一の身体に視界を遮られていることもあって、今起きている生々しい行為すら現実に起きているとは思えない。
「隆一、もッ、いいから……」
「遠慮しないで。」
生温かい空気が光の硬茎を包み込むように撫でていく。隆一が話すたびに光の分身を彼の息が刺激していった。恥ずかしくて虚しいのに、身体はどんどん熱を上げていく。ついに我慢も限界がきて、先端から垂れていく蜜に焦って身を起こす。隆一の手を汚すかと思うと耐えられない。
「ッ、遠慮、とかじゃ、なく、て……」
「んー?」
「こういうのは、好きなやつと……」
「……そう?」
空気が一瞬震え、背を向けたままの隆一が笑ったような気がした。光の焦りなどお構いなしに触れてきて、隆一の手は一向に止まる気配がない。
「隆一ッ」
下腹部が攣りそうなほど力んでも、与えられる刺激に身体は負けていく。隆一だから嬉しいのに、こんな一方的な行為が悲しい。彼がどんなつもりでこんな行為に及んでいるのかも全くわからなくて、一人昂ってしまう虚しさと抗えない快感の狭間で頭が一進一退を繰り返す。
躊躇うことなく触れてくる手に慣れを感じ取るから悲しいのか、求めていた清廉潔白さを裏切られたと思ってしまうから悲しいのか、自分でもよくわからない。ただ彼にとっては特に意味のある行為ではなくて、ほんの気まぐれであるのは確かだと思えた。
無意識に隆一の肩を掴んで、どうにかこの快感を逸らそうともがく。しかし揺らめく腰に同調してきた隆一の手に、光は固く目を瞑って身体を震わせる。
「んッ……く……」
もう何も考えられない。
頭が真っ白になるのと、競り上がる勢いのまま熱が噴き出たのは同時だった。
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朝霧とおる