触れてみたいという衝動に勝てない。焦る光が可愛くて、悪戯の範疇を超えていることに気付きながらも、迫る手を止めることはできなかった。
おかしな奴だと思われても構わない。変人というレッテルを貼られることで光に触れることが許されるなら、一度だけでいいから彼が自分に欲情して熱を放つ顔が見てみたい。そんな不穏な想いを微笑みに被せて隆一は光に手を伸ばす。
「光だってするでしょ?」
人にされるのって気持ちいいよ、と耳元で囁くと、光が驚いたように見つめ返してくる。誰かと日常的に興じているのかと疑う胸の内が、困惑した光の顔に出ていた。
初めてではないけれど、特段慣れているわけでもない。中学時代、家庭教師についてくれた大学生に自分から迫って耽ったことがあるくらい。泉ノ森へ来てからは誰かを唆したこともない。
好きだという気持ちを隠したまま手を伸ばすのはズルいことだとわかっている。けれど深刻に悩ませた結果、光が自分の元から離れていくのは耐え難いことだから。ちょっとしたおふざけを装って、明日は何事もなかったという体裁を取りたい。
「りゅ、隆一……?」
言う事を聞かない左足の所為で、逃げようにも身体の融通は利かないのだろう。焦った顔をしながら、光が身体を大きく逸らすことはなかった。
あんまり前戯が過ぎると秘めている気持ちが溢れ出てしまいそうだから、光の上に身を乗り出したまま背を向けて屈む。遠慮なくズボンと下着の中へ手を突っ込むと、焦ったように光の腰が震えた。
「ちょッ、隆一!」
少し芯のある竿を握ると、光が肩を掴んでくる。しかし隆一がゆっくり擦り上げる手に合わせて、肩を掴んだ光の手はすぐに弱々しくなっていく。
彼が嫌がるはずはない。こうやって触れられることを想像するくらいには、彼の恋情は育っているはずだから。強い好意を抱いて隆一を見つめていた眼差しに、今さら否を突き付けたりしないだろうという打算が働く。
「光は興味本位で誰かとやったことない?」
「ある、か、バカ……ッ」
信じられないと言わんばかりの反論だったが、ちらりと盗み見た光の顔に、はっきりと劣情を読み取って隆一は満足する。
「自分でするより気持ちいいでしょ?」
「ッ、バカ……そんなの……」
「別に揶揄ってないよ。光、溜まってるでしょ。出していいよ?」
「バカ言うなよッ!」
身体を押さえ付けたまま退こうとしない隆一に、こちらの本気具合を察知したらしい。バタバタ腰を浮かせ始めた光の隙に乗じて腰履きのズボンと下着をズラす。手の刺激に素直な反応を示していた光の分身は、順調に反って質量を増していた。
「光、大きいね。」
「意味わかんねぇし……ッ」
「気持ちいいでしょ?」
「ッ……ふぅ……」
「光がイヤじゃなかったら、あとで俺のもしてよ。」
付け加えた一言は本気ではない。わざと明るい声で言い置いて、これは性に目覚めた興味の延長であることを示したいだけだ。返事の代わりには不規則な荒い息だけが返ってきた。
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朝霧とおる