J庭にお越しいただきました皆様、このたびはご足労いただきまして、ありがとうございました!!
大変有難いことに、新刊の無料配布本はすべてお嫁にいきました。
3月開催、次回のJ庭にて、また今回と同様28ページ前後で続きものをご用意する予定です。
(落ちたら、すみません。)
また、差し入れを下さった方々へ。有難く使わせていただきます。
お手紙を下さった方々へ。明日の仕事を終えたら、ひとつずつ拝見させていただきます。
皆さまも、お疲れ様でした!!
以下、お礼SSです。多田×柚乃宮はエロはなしです(笑)
(不定期でしばらく、いろんなCPの「それぞれのお荷物事情」を更新していきます。)
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年末最後の出勤日。多田は営業部からデザイン課へ資料棚を整理するために駆り出されていた。とは言っても、柚乃宮とさりげなく一緒にいるための口実作りで、自らその役目を買って出ていた。
「健斗」
「何ですか?」
「それは、俺が持つからいいよ。」
柚乃宮が軽く顔を顰めたのは、多田が社内にいるにも関わらず、名前で呼んだからだろう。二人きりかそうでないかくらい多田も気を付けて使い分けている。多田は平然と彼の視線を受け流す。
「そうですか? じゃあ、あっちは俺が持ちますね。」
デザイン課はデザイン書籍の入れ替えを毎年行う。スペースに限りがあるから、増えた分、地下の資料室へ仕舞い込むのだ。大きな段ボールが二つ。細身で小柄の柚乃宮に持たせるのはいささか心配で、つい声を掛けた。しかし申し出た途端、もう片方の段ボールを持つと彼が言い出す。
「いや、それも俺が資料室持っていくから、いいって。休んでて。」
「・・・。」
いいところを見せたくて、格好つけた部分は確かにある。急にぶすっとした顔で視線をそらした柚乃宮に、多田は内心焦った。柚乃宮は多田の横で重い段ボールを難なく持ち上げてみせる。
「多田さん、俺、女じゃないですから。やりますよ、これくらい。」
気を遣ったつもりがかえって彼のプライドを傷つけたらしい。多田がしどろもどろになりながら目を泳がせていると、柚乃宮はすたすたと多田の目の前を通り過ぎていく。
「今日は別々で。」
いつもよりワントーン下がった声が不機嫌さを物語っていた。
何が別なのかは改めて聞かなくてもわかる。喧嘩すると寝る際に多田をソファへと追いやるのがここ最近の傾向だった。
「悪かった、ごめんって!」
多田も段ボールを両手で持ち上げ、慌てて柚乃宮の背中を追い掛ける。せっかくの最終日。午前中しか仕事がないからと、少々浮かれ過ぎていた。それで柚乃宮の機嫌を損ねていたら意味がない。
「多田さん」
前を行く柚乃宮が唐突に歩みを止め、冷めた声で他人行儀に名を呼ばれる。
「ボンボンショコラ。」
「え?」
「パエールのボンボンショコラがいいです。」
「わ、わかった、ってアレ北海道の・・・」
「アレじゃなきゃイヤです。」
「・・・。」
振り返ってきたまなざしはドキリとさせられるほど強かったものの、彼の口元は笑っている。
「わ、わかった。正月休みで、どう?」
「お願いします。多田さんの奢りね?」
「も、もちろん。」
そういえば食べてみたいと彼は話していた。恐らく自分がスイーツ特集の記事を見ていた時だろう。柚乃宮からのおねだりは嬉しい。特に自分で買えるものは絶対というほど強請らない。
ホッと肩を撫で下ろした多田に、柚乃宮が何かを堪えるように笑う。隙を突かれて一杯食わされたかなと思いつつも、悪い気はしなかった。
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朝霧とおる