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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

百の夜から明けて43

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コメント

1. 無題

とおるさん、全43話、完走おめでとうございます(*^^*)

甲斐のこと、可愛い可愛いと萌えている間にあっという間に終わってしまった感じw終わりはやっぱり寂しいですね~( ´•̥ω•̥` )

「今藤、カレーになった!!」に胸を撃ち抜かれました(笑)
なんて可愛らしいんでしょう~今藤が羨ましいです。こんな可愛くてちょこちょこ動き回る小動物みたいな甲斐を、ずーっと見ていられるなんて(笑)
時々、乱暴でいちいち手がかかりますけどねw

次に会える頃には、甲斐は今より甘え上手になっているかな?楽しみですo(^o^)o

マイパートナーも楽しみにしていますね♪日々の更新ありがとうございます~(o^-^o)

Re:無題

なぎ様、全43話お付き合いいただきまして、ありがとうございます!
どこか肝心なところが抜けている甲斐はきっとこのままでしょう(笑)
そして今藤と二人、言いたいことを言い合い̥ながら、これからも仲良く過ごしてくれることを私も祈っております。
またふと思い出した折に、二人の話を書いていきたいです。

多田と柚乃宮の話は本当に骨休み的なものなのですが、楽しんでいただけたら嬉しいです!!

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百の夜から明けて43

目覚ましのけたたましい音に起こされることもなく、優雅に朝の時間を睡眠で費やし、強い陽の光を目の奥で感じ取って自然に瞼を開ける。見慣れた天井は自分の部屋ではない。昨夜の自分の行動を振り返ったものの、途中から記憶が曖昧だった。いったいここまでどうやって来たのかわからない。

しかし予想通り今藤は隣りで眠っており、二人で彼の家へやってきたことは容易に想像ができた。自力で歩いていたことを願うばかりだ。今藤より小柄とはいえ、雅人は彼に軽々と背負ってもらえるほど小さくはない。

「今、何時だ・・・?」

「十一時半。」

「ッ!?」

隣りで目を瞑っていたはずの今藤の瞼が急に開いて、雅人の独り言に的確な回答を寄越してくる。

「お、お・・・」

「俺もさっき目が覚めた。」

「お、起きてたのか・・・。」

不意を突かれて心臓がドクドクと強い音を打ち鳴らす。相変わらずただでは起きない恋人に、雅人は平静でいられない。

「そういえばさ。」

「あ、あぁ。」

「夜お預け食らったから、いい?」

「・・・。」

呑気に伸びをしながら言う台詞じゃないと思う。

咄嗟に逃げ腰で構えたものの、背後は壁だ。そして雅人は自分が素っ裸なことに気が付く。

「え・・・ッ!」

覆い被さってきた今藤を中途半端な態勢で受け止めた所為で、あっという間にシーツへ押し付けられる。

「甲斐」

「ッ・・・。」

「ふぁ・・・飯食って、掃除するか。」

「え・・・?」

悪ふざけだよ、とでも言うように、今藤が欠伸をしながら笑みをこぼし、呆然としている雅人の手を取って引っ張り上げる。

「したかった?」

「ッ! そんなわけないだろッ!!」

「ウソ。期待したくせに。」

「してない!!」

大声で抗議すると、今藤の唇で開いていた口を塞がれる。

柔らかく温かい唇が触れただけで、身体の奥がジワリと熱を帯びた。頭で否定してみたとこるで身体中が彼の熱を欲しいと勝手に訴え始める。どうにか抵抗を試みて今藤の肩を押してみたが、びくともしなかった。

多分自分は本気で抵抗する気がないのだ。朝、二人で睦み合う行為がどれだけ気持ちの良いことか、この身体は知っている。きっと今藤にも雅人の思うところは筒抜けなはずで、だからこそ彼は面白がって余計に仕掛けてくる。

「トーストでいい?」

「・・・。」

今朝の煽りはどうやら性質の悪い冗談だったらしい。すっかりその気にさせておいてこの仕打ちはない。

「ッて・・・なんだよ、ご機嫌斜め?」

「別に。」

臨戦態勢を放置された仕返しに、雅人は今藤の背後から足に蹴りを入れる。顔を顰めて痛がる今藤を見て、雅人は少しばかり溜飲を下げた。

「暴力は良くないぞ、甲斐。」

「おまえの腹黒さに比べたら、たいしたことない。」

睨み付けても今藤には効果がないようで、彼は面白そうに雅人を見て笑うだけだ。再び込み上げてきた怒りと悔しさに任せて、雅人は遠慮なく蹴りと拳を繰り出した。


 * * *


慣れない手つきでどうにかこうにか具材を切り分けて、鍋の中に投入する。炒めて火が通ったところで今藤は水を足して煮込んでいく。

「なぁ、灰汁ってこれ?」

「そう。スープ、取り過ぎんなよ。」

鍋の前で果敢におたまを持って構える雅人に、今藤が肩を震わせて笑う。

「わかってるって。」

料理に関して疎い二人が、次元の低い会話をしつつカレーを作ろうと思い至ったのは、昼も過ぎてからだった。雅人が言い出しっぺで、スーパーマーケットまで材料を買いに出掛けて今に至る。

仕上がり具合なんて気にしていない。食べられればそれでいい。二人で作る事こそ楽しいのだと意気込んでみたら、想像以上にはしゃいでいる自分がいる。

ほとんど料理はしないと言いつつ、予想通り今藤は手際が良くて要領も良い。それに対して雅人の方は何をやるにもおっかなびっくりで、包丁を握っている時は雅人本人より今藤の方をハラハラさせているようだった。

「なぁ、旨くできるかな?」

そわそわと落ち着かずに鍋を見ながら、洗い物をする今藤に意味もなく尋ねる。

「分量通りやってんだから、大丈夫だろ。」

「心配。」

「おまえはガキか。ほら、鍋見てろ。」

いつの間にか今藤の方へ移っていた視線を窘められて、雅人は渋々鍋の方へと視線を戻す。

こういう共同作業は互いの性格がよく現れる。どっしり構えていられる彼が少し羨ましい。そして今藤に対して頼りがいがあると思っていることは内緒にしておこう。雅人の事を引き合いに出して揶揄ってくるのは目に見えている。

洗い物を終えて鍋のそばまでやってきた今藤が、雅人からおたまを攫って人参とジャガイモを掬い取る。竹串で刺したところで一つ頷いた彼は、火を弱めてルーの箱を雅人に渡してきた。

「ルー入れるぞ。これ以上煮込むとジャガイモが崩れる。」

「あ、うん・・・。」

「ルー、溶けやすいように割って入れろよ。」

「わかった。」

手取り足取り面倒を見つつも雅人から仕事を奪わないのは、雅人がやりたがっている事を理解してくれているからに他ならない。神妙な面持ちで雅人はそっとルーを落としていく。今藤から返却されたおたまでクルクル混ぜていくと、鍋の中の液体が自分のよく知るカレー色に染まっていく。

「今藤! カレーになった!!」

感動してつい叫ぶと、今藤がシンクの前で吹き出して笑う。

「それでカレーにならなかったら悲劇だろ。」

「ッ・・・。」

彼に指摘され、自分の幼稚な発言が急に恥ずかしくなる。雅人はそんな気持ちを誤魔化すように口を尖らせて今藤から顔を背けた。

「甲斐・・・最高・・・。」

「いいじゃん、喜ぶくらい。」

キッチンや小さな部屋はあっという間にカレーの匂いで充満していく。今藤から盛大に笑われつつも、雅人は幸せが身体の隅々まで行き渡っていくことを感じていた。決して雅人にとって小さくはない幸せだ。今藤にとっても自分と過ごす時間がそうであってほしいと心から願う。

口を尖らせたまま、おたまですくったルーを小皿に移す。口の中に迎え入れたものは、間違えなく自分の知るカレーだった。

「カレーだろ?」

笑いながら尋ねてきた今藤に、雅人は顔を火照らせながら小さく頷き返した。










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見切り発車でスタートした本作、長々とお付き合いいただきまして、ありがとうございました!
一旦ここでピリオドを打たせていただきまして、次回作の方へ着手したいと思います。
その前に、明日から2日間、マイ・パートナーの二人をお届けいたします。
百の夜から~とちょっとだけリンクしたお話を1話。
情けない多田さんを1話。
その後二人は元気に過ごしていますよ、とご報告がてら。

次回作は11月14日18時に予告を流した後、15日0時からお届けいたします。
また、そちらもお付き合いいただけたら嬉しいです。

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朝霧とおる
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1. 無題

とおるさん、全43話、完走おめでとうございます(*^^*)

甲斐のこと、可愛い可愛いと萌えている間にあっという間に終わってしまった感じw終わりはやっぱり寂しいですね~( ´•̥ω•̥` )

「今藤、カレーになった!!」に胸を撃ち抜かれました(笑)
なんて可愛らしいんでしょう~今藤が羨ましいです。こんな可愛くてちょこちょこ動き回る小動物みたいな甲斐を、ずーっと見ていられるなんて(笑)
時々、乱暴でいちいち手がかかりますけどねw

次に会える頃には、甲斐は今より甘え上手になっているかな?楽しみですo(^o^)o

マイパートナーも楽しみにしていますね♪日々の更新ありがとうございます~(o^-^o)

Re:無題

なぎ様、全43話お付き合いいただきまして、ありがとうございます!
どこか肝心なところが抜けている甲斐はきっとこのままでしょう(笑)
そして今藤と二人、言いたいことを言い合い̥ながら、これからも仲良く過ごしてくれることを私も祈っております。
またふと思い出した折に、二人の話を書いていきたいです。

多田と柚乃宮の話は本当に骨休み的なものなのですが、楽しんでいただけたら嬉しいです!!

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