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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

特別な日10【賢介編】

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特別な日10【賢介編】

歩の中に入るのは久しぶりだ。脳が焼き切れそうな感覚を味わって、甘い息を吐く。

「賢介・・・」

「お腹、苦しい?」

「ん、ちょっと・・・」

中が蠢いて、絞り取られそうになる。そのたびになんとか気をそらして耐え、絶頂の一歩手前を繰り返し行き来した。

「歩・・・好き。」

「うん、俺も・・・」

「ああ、もう、なんでかな・・・ッ・・・」

愛しくて、どうしよう。

じわじわと這い上がってくる快感に頭を軽く振って気を紛らわす。

歩が少しでも苦しい思いをしないように堪えていたけれど、もう限界だった。

「歩、いい?」

「ん・・・いいよ、して・・・あッ」

「はぁ・・・ッ・・・」

我慢は本当に良くない。繋がりたい欲求を理性で抑えてしまうことが多いから、いざ事に及ぶと我慢がきかなくなる。

息継ぎをするのがやっとなほど、たくさんキスをする。送り込む熱に二人で汗を流して、互いの肌はしっとりと濡れていた。

手を握り合って、一緒に快感を追い掛ける。やめてと言われても、もう止まることはできないだろう。身体が半ば無意識に歩を求めて突き上げていく。

「ぁ・・・けん、すけぇ・・・」

甘えてくるような、それでいて困っているような歩の声。中がキュッと締め付けてきて、限界が近いのだと訴えてくる。

我慢させるような、意地悪なことはしない。愛しい気持ちをたくさんくれる彼に、ただただ気持ち良くなってほしいから。

意識はしていないのだろう。二人の間に入り込んだ歩の手が、自身の昂りに触れる。震えながら擦る痴態に発破をかけられて、賢介も気の向くままに己を突き入れた。

「んぅッ・・・ん・・・」

ふっくらとした唇に歯を立てて、歩が賢介の下で呻くと、熱い飛沫が二人の腹部を濡らした。

中が蠢いて賢介も絶頂を促され、呆気なく熱を溢す。

二人で呆然としながら息を切らして抱き締め合う。身体が火照って汗をまとっていても、そんなことは構わずに四肢を絡めて絶頂の余韻を分け合った。

高まった後の、この気怠い時間がとても好きだ。二人で脱力してベッドへ手足を投げ出す。

どさくさに紛れて、歩の至る所に吸い付き、自分のものだと刻印をつける。それに気付かない歩は、震える息を溢しながら、目を瞑ってうっとりしているだけだ。

いつまでも拙さが抜けないところがいい。悩ましげに首を傾げて、自分が与えるものを必死に受け取ろうと甘い息を溢す歩が愛しいから。

最高の誕生日。歩にリボンを結わえたプレゼントでも良かったなんて言ったら、即物的過ぎる自分に、さすがの歩も怒るだろうか。一所懸命考えてくれたらしいサプライズに、うっかり勘違いをして、しなくて良い心配をしてしまった自分に笑えるけど。

もっともっと好きになってくれたらいい。気持ちを天秤にかけるのはあまり褒められたことではないけれど、重さの違いがあるとすれば、きっと自分の方が重く、厄介な種をたくさん抱えている。
独占欲が強く、時々制御しきれないこの気持ちが、歩を息苦しくさせないか心配だけれど、今のところ上手くその合間を縫っている彼に、ある種の器用さを感じてしまう。

このまま上手くすり抜けて、さらに距離を縮めてくれることを願いつつ、まだ腕の中で甘い息を溢して震える身体を抱き締めた。














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