抱きたいかと聞かれれば、もちろん抱きたい気持ちはある。けれど何となく手をこまねいている間に、ひと月過ぎてしまった。
一緒に過ごすのは土日だけ。しかも夜だけだ。思い余ってキスくらいはするけれど、それ以上の行為には及んでいなかった。
土曜の夜。程よい疲れも相まって、勝田はすでに寝入っている。無防備な顔を晒して眠る勝田に、欲情しているのは否めない。今夜も湧き上がってくる熱を持て余していた。
「あぁ、もう・・・勝田さん・・・」
「・・・どうしたの?」
枕に伏せて呟くように言っただけなのに、まさか返答があるとは思っておらず、驚き過ぎて心臓が跳ねる。
「あ、いや・・・」
「何?」
足を絡め取られて身動きが出来なくなる。殊勝な笑みを浮かべて彼の手が皐の髪を梳いてくる。その仕草一つにもドキリとして、官能が呼び覚まされる。
誘わないで欲しい。欲望に流されるまま、おざなりに抱くのは嫌だった。
「興味ないだけかと思ってたけど、違うんだ?」
皐の身体の下へと滑り込んできた勝田の足。勝田の太腿に皐の硬茎が当たる。慌てて身体を離そうと身を捩ったが、腰に回ってきた腕に捕らえられてしまう。
「こんなおじさんでも抱きたい?」
「・・・そりゃ、好きなんですから・・・」
「抱いてよ。したいな。」
大胆な事を囁いてくる勝田に、下半身にはさらに熱が集ってくる。誘われて断れるほど強靭な精神力はない。吸い寄せられるように唇を重ねて、そっと勝田の口内に舌を滑り込ませる。
自然に幾度か口付けを交わして、結局誘われるがまま服の下に手を滑り込ませる。肌の滑らかさにうっとりして、その触り心地を夢中で辿る。
「香月くんの手、気持ちい・・・」
溜息混じりの声が皐の耳をくすぐる。触れ合う面積が徐々に増していくと、少しだけ互いの鼓動が早くなったのを感じた。落ち着き具合から行為に慣れていることはすぐにわかったが、それでも胸を高鳴らせてくれるのが嬉しい。自分が特別だと言われているような気がするから。
ゆっくりとした手付きで、お互いが纏っているものを剥いでいく。そこに激しさはない。体温を分け合うように、そして確かめるように、丁寧に丁寧に身体を重ねていった。そして全てが取り払われ、肌が触れ合った瞬間、同時に溜息を零す。
「香月くん、好きなようにして。」
「凄い、誘い方ですね。」
皐の硬茎に勝田の指が絡まって、ゆっくりと愛撫を仕掛けてきた。あまりの気持ち良さに眩暈がする。
「ッ、勝田さん・・・優しく、したい・・・」
この人が壊れてバラバラになるような抱き方をしたくない。大切に包み込むように抱きたいのだ。
けれど勝田の手から送られてくる刺激が、少しずつ皐からそういう理性を奪っていく。
気付けば勝田の首元に唇を寄せて吸い付いていた。
いつも閲覧いただきまして、ありがとうございます。
にほんブログ村
B L ♂ U N I O N
Twitter
@AsagiriToru
朝霧とおる