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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

沢田家の双子「近すぎて遠すぎて33」

電話もメールも手紙一つ来ない事に落胆し、連絡を断とうと言ってしまった自分を呪いたくなる。和希は見事に連絡を寄越さなかった。

時々連絡なんて来てしまったら恋しくなるに決まっている。耐えられそうになくて、優希の方から卒業するまで連絡をし合うのは止めようと言ったのだ。

けれど夏にイタリアへ渡った後、新年に両親へニューイヤーカードを送ってきたきり音沙汰ないことに落ち込む。かといって、あちらで頑張っている和希に水を差すようなことは憚られて、自分から連絡をする気にもなれない。和希の潔さに泣きたくなった。

「頑張ってるってことだよ。」

大内に愚痴を聞いてもらうのも恒例となりつつあり、彼の優しさにつけ込んで発散し、苦笑されることの繰り返しだ。

大内とは学年が違うけれど大学も学部も一緒なので、会おうと思えばいつでも会える。和希との事情も明かしてしまっているし、勉強の話もしやすい。高校時代よりも更に距離は近くなっていた。

「優希は甘えん坊だから。」

事あるごとに大内はそう言ってからかってくる。

「でも、寂しいからって他の人で埋めようとするなよ。余計虚しくなるだけだから。」

「わかってます・・・」

「わかってなさそうだから言ってるんだけど?」

「先輩、酷い・・・」

迫った前科があるだけに耳が痛い。毎度釘を刺されても心がふわふわ漂っていきそうになるのは事実だった。優しい人には寄り掛りたくなり、甘えたくなる。綱渡りのような恋に疲弊しているのも否定できない。

「でも・・・好きなんです・・・。」

「知ってるよ。だけど今は他にやらなきゃいけない事ちゃんとやれよ。ぐずぐずしてたら、いざ弟くんと会った時呆れられるぞ。」

「それは嫌だな・・・。」

「なら、目の前にある事を一所懸命やるしかないだろ。」

「・・・はい。」

流されて適当に同調したりしない大内のこういうところに好感を持っている。落ちている時には大内に叱咤して欲しくなるのだ。そして懲りずに何度も叱られる。引き際もわかっているから居心地も良い。高校時代から甘えっぱなしで現在に至る。この関係は一生変わらないだろう。

「堂々と会いに行きたいから、頑張る。」

「おまえ、一週間前も同じこと言って納得してたはずなんだけどな。」

大内に笑い飛ばされて、心に燻っていた小さな火は再び消えていく。こういう日を繰り返して大学卒業までの六年という月日を過ごすのかなと漠然と思う。気持ちを吐露できる相手がいるうちはきっと大丈夫。寂しさにつけ入れられることもないだろう。

次の講義に向かうため、大内とは食堂で別れを告げる。見上げた空は雲一つなく快晴だった。和希も同じ空を見て、自分のことを思ってくれる日があればいいのに・・・。遠い異国の地で頑張る和希に笑われないように、寂しがり屋の自分を封印する力が欲しいと空に願った。




 








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