紫苑の吐く息が荒い。圧し掛かってくる重みを受け止めようと、重ねた手を必死に握り返す。
「凛……凛ッ……」
猛った紫苑の象徴は鋭く、凛の身体を深く幾度も抉っていく。恐れを抱くほどの勢いなのに、求められることが幸せで。紫苑と二人でいつまでもこの時間に溺れていたいと、欲に濡れた囁きが凛を侵食していく。
「紫苑、様ッ……」
何度そばにいると言っても、紫苑に安息は訪れない。信じてもらうことができない己の至らなさに悲しくなり、骨の髄まで求めてくれる証だと知って安堵する。二つの反する気持ちに揺られて、凛は胸をいっぱいにしていた。
「ッ……凛……」
紫苑の悲鳴にも似た声に、彼が泣いているのではないかと心配になる。確かめた紫苑の目に滴はなかったけれど、きっと心は悲痛な叫び声を上げているに違いないのだ。
孤高の君主は寂しがり屋だ。独りを愛するように見せて、その実、誰よりも愛を注がれたいと願っている。紫苑が受け入れる唯一の愛は凛の真心だけ。それを知っているから、彼を置いて王宮を離れようとは思わない。
逃すまいとする紫苑の意思と、一人にしたくないという凛の想いは交差している。しかし凛が羽ばたく事を極端に恐れる紫苑には、なかなか納得してもらえない。
「凛、行くな……どこへも、行ってはならぬ……」
「ずっと、紫苑、さま、と……一緒、です……」
「ん……ッ……」
汗が滴り落ちてくる。胸元で弾けた衝撃に誘われて目をやると、秘部に紫苑の分身が突き入れられる生々しい光景を目の当たりにする。顔に火が点いたように身体の熱さがいっきに増した。
しかし食い入るように見つめた凛の視線に、紫苑は強請っていると勘違いしたらしい。紫苑の猛々しい象徴とは違い、二人の間で揺れる小振りな分身を彼の大きな掌が愛撫し始める。
「あぁッ……や、紫苑、さまッ……」
「凛、出してごらん。我慢せずに。」
小さな玉を紫苑の指がこねて刺激し、彼の象徴が凛の奥を突く。紫苑の指を汚してしまうとわかっていたけれど、我慢ならずに凛は身体を震わせ、分身から蜜を放った。
「あ、あぁ―……」
「凛ッ……。」
秘部で締め付けて誘うと、紫苑も凛の名を呼んで極まる。抱え上げられ、熱い飛沫が奥に注ぎ込まれると、その量と熱さに凛は再び身体を震わせた。
「凛……ずっと私のものであれば良いのに……。」
「紫苑様……。」
今度こそ本当に泣きそうな顔で紫苑が見下ろしてくる。その面持ちに凛は胸をざわつかせたが、落ちてきた唇に阻まれて紫苑の顔を確かめることが叶わない。濃厚な口付けに目を瞑ってしまった凛は、己の頬に落ちてきた滴が、紫苑の汗なのか涙なのかわからずじまいになる。
紫苑の心に巣食う不安がこれ以上大きくならないといい。支えることができるだけの力が欲しい。祈りながら紫苑に抱き付き、心を癒すように彼の髪を梳いた。
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朝霧とおる