いつまでも捕まらないと思っていた愛くるしい塊をついに抱き締める。
もう二度と離したりしないと心に誓い、雪の寝台に凛を抱き締めたまま寝転がった。
鈴の鳴るような笑い声を期待したが、凛はうんともすんとも言わない。ただ大人しく抱かれて、求めるような眼差しで見つめてくるだけだ。
何かが違う。
またしても思ったものの、その違和感の正体がどうしても掴めなかった。
するりと凛の手が紫苑の頬を撫で、首筋を通り、衣の中へと侵入してくる。こんな積極的な彼は初めてだ。ぐずぐずに溶かしてやってもなお、凛は恥ずかしがって自ら手を伸ばしてくることなどない。
しかし違和感の正体を突き止める前に、紫苑は目の前の誘惑に負けてしまった。
(凛・・・)
口付けはふわふわとしていて実体があるのかも定かではない。それほどに凛の積極的な振る舞いは甘美な誘いだ。
ずっとこうして甘い時間を過ごしていたい。今まで何度もそう願っていたが、この瞬間、その願いが本物になるような気がした。
一体何の根拠があってそう思うのか、またしても違和感だけは降り積もっていくのに、いつも紫苑の中に鎮座する確固たる信念が何かに遮られて欲望に負けていた。
(凛、凛・・・)
魅惑的な身体を剥き出しにして、凛が紫苑の上に跨った。いつの間に衣を脱いだのだろう。いつもは紫苑が一枚一枚丁寧に衣を剥ぎ取っていく。
その楽しみを奪われたことがどうでも良く思えるくらいに、真っ白で艶やかな肌が紫苑を魂ごと取り込んだ。
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朝霧とおる