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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

マイ・パートナー「summer holiday5」

せっかく避暑地に来たのに、二日目の午前中は寝て終わりそうだった。怠過ぎて朝ご飯も食べ損ねた。
先ほどからお腹がぐうぐう鳴っていて、いい加減起きないとお腹が空き過ぎて倒れそうだ。
昨晩二週間ぶりに肌を合わせたら、身体の熱があっという間に上がった。どれだけ重ねても足りない気がして、何度も多田に強請った。自分で迫ったので文句は言えない。けれど身体が本当に怠かった。
同じ事を二人でしているのに、この体力差は何だろうと悲しくなる。受ける側の方が体力の消耗が激しい気がする。しかしそうだったとしても自分が多田を抱くという発想はないので、こればかりはどうしようもないだろう。
「聡さん……お風呂入ってきます。」
「健斗がお風呂から上がったら、お昼を食べに行こうか。」
二日分きっちりスポーツウェアを持ってきていたが、今日はテニスなど到底無理そうだった。身体があちこち痛くて悲鳴を上げている。
せっかく蓼科まで来たのにこのまま寝てばかりでは悔しいので、何か出来ることはないかと頭を捻る。そしてふとある事を思い出す。確かあれは蓼科にあると言われた記憶がある。多田に早速聞いてみようと意気込んだ。

柚乃宮がイギリス式庭園に連れて行ってほしいと多田にお願いをして車で連れてきてもらったのはつい先刻。小さなオープンカフェの前には自然の景観美を楽しめる庭園が広がっていた。
イギリス式庭園に惚れ込んだ日本人がこの蓼科の土地に造った庭園は、愛好家たちには有名らしい。大学時代、造園に関して少し習った際、ここの話を聞いていた。
日本人の思い描く自然とはまた違った、イギリス人の慣れ親しんだ自然が目の前にある。
草花のことはあまり知らないけれど、カフェで涼みながらこの景観に浸るのは、怠い身体にはなかなか良い薬だった。カフェではハーブティーも出していて、多田はそちらの方に興味津々のようだ。
昼になると蓼科も気温が高くなるが、ここはそれほど暑さを感じさせない。暑苦しいものが視界に入らないので、草花の効果というものは絶大だ。
多田は一度ここへ来たことがあるらしい。けれど一緒に来たのが例の従兄弟だったらしく、彼が全く興味を示さなかったため、前回はさほどゆっくりして出来なかったと車の中でボヤいていた。
庭園も一つの美意識の結晶だと柚乃宮は思っている。この分野に関して多くの知識を持ち合わせてはいないが、自分がのめり込んでいるもの以外に目を向けるのもデザイナーとして大事だと思う。きっと今日体感したことが新しいインスピレーションになることもあるだろう。
「聡さんの心配性はどうしたら治るんですかね。」
「心配性?」
「何をする時でも一緒にいたい、って言うから……。何も言わずに逃げようなんて思ってないし、ずっと一緒にいるつもりなのに。」
「何か言って逃げることはあるわけ?」
揚げ足を取るような言い方をしてくる時は核心に触れている証拠で、多田がその話から逃げようとしている時の癖だった。ようやくその事に気付いたのは付き合って三ヶ月以上過ぎてからだった。
「いつまでも不安に思ってたら疲れません?」
「……最近、目敏いよね、おまえ……。」
「聡さんの事、ちゃんとわかりたいし。全部わかるようになるのはムリでも、悲しませるような事だけはしたくない。いつも俺の考えてる事勘付いて先回りしてくれるから、甘えっぱなしになってる気がして……」
多田が首を横に振って、すぐに否定する。
「それは考え過ぎ。俺だって健斗に甘えてるよ。俺と健斗の甘えることについての考え方が違うだけ。不安だって愚痴ってるのも俺の中では甘えてる事と一緒だから。女と付き合えば結婚や子どもで縛れるけど、そういうわけにはいかないから。どうにか出来ることじゃないだろ……だから、深く考えないでいいよ。」
だからこそ掘り下げて安心出来るところまで話せば良いのにと思うのだが、だからといってどう言えばいいのかもわからない。この二人でいる限り付いて回る問題なのかもしれない。
多田は健斗に対して甘えていると言うが、やっぱりそれは言葉のあやで、上手く誤魔化されてしまった気がする。
最近わかったのは、寂しくなったり不安になったりすると、多田はセックスが激しくなるということだ。健斗のことを一方的に追い上げようとしてくるから、頭の中が快感で崩壊しかけて困ってしまう。ところどころ記憶が抜けることもあって、冷静になった時に頭を抱え込みたくなることもしばしばだ。
頼られていないのかなと考えて、一方で当たり前かな、とも思う。考えてみれば九つも下の自分に頼り切っている多田というのも想像が出来ない。そもそもそんな人だったら、こういう関係には至っていないだろう。
いつか自分も多田も吹っ切れる時がくればいいな、と思った。
「ここ、ずっと居たいな。」
「気に入ったの?」
「はい。」
「じゃあ、また来ようか。」
自然に笑みが溢れて頷き返す。
また、ということは次がある。自分との未来に先があると断言されているようで嬉しい。
恋人と一緒に夏休みを過ごす概念すらなかった当初。拗ねられながら宥めすかして連れてきてもらって心から良かったと思う。
残暑を乗り切るメンタルを得て、また休み明けから頑張れそうだった。




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約1ヶ月間、「マイ・パートナー」お付き合いいただきまして、ありがとうございました。
素人の物書き故、誤字脱字ご容赦くださいませ。。。

本日9月8日午後6時、新連載のお知らせをアップいたします。
明日より、また昼12時更新で続けさせていただきます。

皆様にたくさん足を運んでいただいたり、ランキングボタンをクリックしていただいているので、
大変励みになっております!
ありがとうございます!!
新連載の方も、またお付き合いいただければ幸いです。

そういえば、ようやくツイッターのアカウントを取得しまして、

@AsagiriToru

朝霧とおる

で検索していただければ出てくるかと!
9月の中旬頃より呟きはじめる予定でございます。
構って下さる心優しき方いらっしゃいましたら、よろしくお願いします!!

それでは、また。

管理人:朝霧とおる





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