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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

ご機嫌な彼氏7

この可愛い寝顔を眺め続ける権利は自分だけにある。素晴らしい特権に、飽きる事なく柚乃宮の寝顔を堪能する。

「んッ・・・」

起きるかと思って身構えたが、結局寝返りをうっただけで、また静かな寝息を立て始める。

柚乃宮は人との距離感に疎いところがあるしマイペースだからあえて口にしたことはないが、自分は愛し方がしつこい。自覚があるくらいだから、受け取る方は尚更だと思うのだが、幸か不幸か、柚乃宮はその辺が経験不足からか疑問に思っていないようだった。

束縛も強いし、嫉妬深い。しかしそんな自分を無意識にあしらう事ができる彼だからこそ、この関係は続く。

追い掛け続けるのが好きな自分と、愛され倒す事がしっくりくる柚乃宮。この絶妙な相性がなければ、すぐにこの関係は崩壊していただろう。重たい奴だと思われた時点でアウトだ。

手に入らないと思っていたからこそ、この転がり込んできた幸運にジッとはしていられない。愛し尽くして囲い込みたい。

家に彼を閉じ込めることなく済んでいるのが不思議なくらい。犯罪者になる一歩手前くらいの独占欲があると自分では思っている。

多分それは仕事で生き生きと目を輝かせている彼を見る事が好きだからだ。同じ職場で出逢ったからこそ見られる顔。その顔が見たいという気持ちが犯罪擦れ擦れの欲求をどうにか堪えさせている。

「健斗、わかってる?」

好き過ぎて困っている。心酔したまま浮上できない。もうこのまま地の果てまでのめり込んでいくだけだろう。

熱い眼差しで神田のカメラワークを見つめていたことが少し妬ける。あんな顔、自分には見せてくれたことがない。それが悔しくて堪らないという多田の気持ちを、柚乃宮はきっと知る由もないだろう。

こちらの葛藤など知らぬ顔で、穏やかに寝入る姿にちょっとばかり悪戯心が湧く。嬉しくなったり、嫉妬したり、多田の心は短時間で忙しない。

「・・・ッ・・・ぷはぁ・・・」

鼻を摘むと顰めっ面をした柚乃宮だったが、すぐに口を開けて何事もなかったように呼吸を始める。

陽もとっくに昇り始めた時刻にこんなぐっすり眠っているだなんて相当疲れていたのだろう。

昨夜、欲望に任せて抱いた事を少し申し訳なく思ってしまう。けれど我慢できたかと問われても、それはノーと答えるしかないだろう。あの状況で耐えるのは無理だった。

可愛い寝顔を再び見遣って、もう一眠りするかと考える。たまには思う存分身体を怠けさせて過ごす休日も良いかもしれない。現に可愛い恋人は睡眠を必要としている。

安らかな寝息を立てる柚乃宮を起こさないようにそっと抱き寄せる。モゾモゾと動き始めた柚乃宮だったが、やがて収まりの良い場所を見つけたのか動きが止まる。

暫くその寝顔を見つめていたが、穏やかに襲ってきた眠気に引き摺り込まれて、多田も夢の中へと意識を手放した。
















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