口で愛でるこの行為が好きだ。大事な場所を捕えられ惜しげもなく晒す心許なさを瀬戸から感じ取り、支配欲に満たされる。
「んぅ・・・んッ・・・坂口、さんッ」
「このまま出していいよ。」
「イヤ、ですッ」
焦って泣く寸前のような瀬戸の顔に、自分の分身がさらに漲っていくのを感じる。潤んだ瞳で懇願しても、こちらを煽るだけというのがわからないのだろうか。
「ほら、そんな噛んだら、また長袖着なくちゃいけなくなるだろ。」
「じゃあ、やめて・・・くだ、さいッ」
棘のある反論をするわりに、坂口の舌使いに呼応するように瀬戸の腰が浮く。喘ぐまいと無意識に手を噛んだらしく、彼の右手には痛々しい歯型がくっきりと浮かび上がっていた。先日坂口が瀬戸に刻み込んだ痕よりも深い痕跡だ。
「そのお願いは、聞けないかな。」
「うッ・・・ふぅ・・・」
すっぽりと口で包み込むと、瀬戸が反射的に逃げ腰になる。手で腰を押さえつけて動きを封じ込めると、涙目で坂口を睨んですぐ、観念したようにキツく目を瞑った。
抵抗してもしなくても、瀬戸の仕草すべてが腰にくる。彼が再び手を噛んだりしないように両手を捕えて握り締めていると、坂口の動きに合わせて手を握り返してきた。悩ましげな小さい悲鳴を幾度か上げて、瀬戸の身体が強張り大きく震える。
「ヤダッ、坂口、さ・・・んんッー・・・」
口の中に広がった雄の匂いを、恨み節を聞く覚悟で飲み干す。
「坂口さんッ」
「ん?」
「イヤって言ったのに・・・。」
「気持ちいいのに?」
明らかに拗ねた顔だが、嫌悪してのことではなさそうでホッとする。
「一方的にされてるみたいで、イヤなんです・・・。」
「それって、挿れてほしい、っていうおねだり?」
「ど、どうしたら、そう聞こえるんですかッ!?」
怒って起き上がりかけた瀬戸をベッドへ押し戻す。両腕を掴んでシーツへ縫い止めても、瀬戸が反撃に転じる様子はなかった。ただ困ったように伏せられた睫毛が気に掛かる。
「せーと。」
「な、なんですか・・・。」
「イヤ?」
「・・・。」
「それとも、なんか不安?」
見開かれ逃げた瀬戸の目が肯定を示している。しかし問いただしたところで正直に答えてくれるかどうかは怪しい。宥める意味も込めて彼の頬に繰り返し唇を寄せる。
「瀬戸、教えてほしいな。」
半ば懇願するように囁いて抱き締めると、瀬戸が重い溜息をつく。
「不安、です・・・。好きな人と・・・どうするのが普通か、わからなくて。」
好きだから困っていると言ったも同然だ。瀬戸の悩みは坂口を喜ばせるものにしかならなかった。
「瀬戸。それは、誰にもわからないんじゃないかな。」
「え・・・。」
「俺もわかんないよ。瀬戸のこと可愛がって、こういう事して、もっと好きになってくれたら嬉しいな、って。それだけ。」
坂口の答えが意外だったのか呆れたのか、瀬戸が目を瞬いた。しかし困ったように俯いた瞬間に彼の口元が緩む。咄嗟に堪えて唇を噛んだ瀬戸だったが、坂口の首に手を回して抱き付いてきたので、坂口の解は彼を納得させるものだったらしい。
「瀬戸、いい?」
瀬戸の秘部を探るようにそっと指で突く。恥ずかしそうに身じろいだ身体を坂口は抱き締め返した。
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朝霧とおる