素っ気なくされると余計構いたくなる。約束を反故にしようとした責任は取ってもらおうと不穏な感情を抱く。
「瀬戸」
「こ、こういうのは情緒ないって、さっき・・・」
「それはそれ。これはこれ。」
「坂口さん・・・」
本気で嫌がっているなら、安易に手を出したりしない。それくらいの分別はあるつもりだ。嫌がるどころか期待の眼差しを坂口へ向けているのは瀬戸の方。誘われて手を出さないなんて、そんな勿体ないことはできない。
「イヤなら瀬戸は何もしなくていいよ。俺が勝手にするから。」
「そんなの・・・坂口、さんッ」
ベッドへ誘導するまであえて手を出さなかったら、瀬戸は油断していたことだろう。けれど彼だって並んで横になればセックスに行き着くことくらいわかっていたはず。瀬戸は自ら進んで罠に落ちてきた。だから手加減はしてあげられない。
「ちゃんと聞いただろ。ベッドなのかソファなのか。ベッドが良いって言ったのは瀬戸だよ。」
「そういう意味じゃなくてッ!」
「じゃあ、どういう意味?」
「・・・もう、いいですッ」
拗ねたように顔を背けた瀬戸に覆い被さり、頬にキスをする。諦めたように目を瞑って抵抗をやめた呆気なさを密かに笑い、形だけの抵抗に愛しさで胸をいっぱいにする。
帰宅した時にはすでに漲っていた劣情を、どうにか誤魔化しここまで耐えた。一旦脳のストッパーが外れると、たちまち坂口の分身が硬くなっていく。窮屈さに我慢できず前を寛げると、反動で硬茎が大きく揺れて、解放感に身体は震えた。
「瀬戸」
初めての時は欲情を抱え過ぎて乱暴にしてしまった。今夜こそ時間を掛けて溶かそうと、瀬戸が身を包むパジャマを丁寧に取り払っていく。身体中にマーキング施したい欲求を堪えたのは、瀬戸に文句を言わせる口実を作りたくないから。情事の後、彼が怒ってしまったら台無しだ。
恋人らしいことを一つひとつ彼と叶えていくことが当面の目標。今まで諦めてきた甘い時間を存分に瀬戸と味わい尽くしたい。それくらいの贅沢、望んでも罰は当たらないと思う。
「坂口さんッ」
「うん?」
下半身を覆っていたものを脱がそうとすると、瀬戸が焦ったように身を起こして手で制止してくる。しかし恥ずかしそうに赤面して前屈みになろうとする瀬戸を見て、すぐに合点がいった。
「勃っちゃった?」
「ッ・・・。」
「ほら、俺も。一緒。」
瀬戸の手を取り、自分の硬茎を掴ませる。恐々触れてきた手が意思を持って握ってきた瞬間、坂口は酩酊感に襲われて甘い溜息をついた。
「ん、瀬戸・・・」
優しくしようと決意したはずなのに、自分の理性が酷く脆いと思い知らされる瞬間だ。早々に先端から滲む透明の蜜が瀬戸の手を汚し始める。滑らかな手の感触を分身で受け止めながら、瀬戸のズボンを下着ごと下ろして取り払う。
芯を持ちかけて緩く勃ち上がる瀬戸の分身が、愛でてくれと言わんばかりに主張しながら坂口の前に現れる。
「坂口さん・・・やッ・・・」
艶めかしいピンク色の突起を晒されて、何もせずにはいられない。瀬戸の小さな悲鳴はほとんど耳には届かず、坂口は衝動的に瀬戸の分身を口内に迎え入れた。
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朝霧とおる