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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

この雨が通り過ぎるまでに47

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この雨が通り過ぎるまでに47

繰り返し駆け上っていく疼きに甘い溜息をつく。いつまでも味わっていたいのに、扱く瀬戸の手が早まって大きな波が押し寄せてくる。

「あ、瀬戸・・・」

硬く反り勃ったものを擦る瀬戸の手を汚したい。でも妙なプライドが邪魔をして、もう何度も絶頂を交わし続けている。こんな事で競っても仕方ないのに、どうしても瀬戸より先に達したくない。

「坂口さんッ」

だから瀬戸が声を上げて手の動きが緩んだ隙に、ここぞとばかりに攻め立てる。

「んッ・・・ふ・・・」

「瀬戸、可愛い。」

つい嬉しくなって頬を緩めたら、瀬戸が抗議するように睨んでくる。しかしその瞳は潤んで威力に乏しく、恥ずかしかったのか、すぐに視線を逸らしてしまう。下唇を噛んで耐え、目尻に溜まっていた涙が頬を伝っていく。これ以上ないくらいの痴態を目の当たりにして、瀬戸が気をやる瞬間を逃すまいと食い入るように見つめた。

「んぅッ・・・う・・・ん・・・」

腰を浮かせて先端から蜜を溢しながら、瀬戸が顔を背けて固く目を瞑る。理性が邪魔をして乱れることを拒んでいるらしい。けれど恥じらう姿にこそ、そそられる。坂口は震えを伴う瀬戸の手を引いて、漲ってはち切れそうになっている己の分身を掴ませた。

「坂口、さん・・・それ・・・」

「出していい?」

形だけのお伺いを立てる。瀬戸は素直に頷いて、坂口の硬さを確かめるように緩々と刺激を与えてきた。しかし穏やかな手淫では到底達せない。我慢の限界は通り過ぎ、一刻も早く瀬戸を汚したいと望むほどに切羽詰まっていた。瀬戸の手に己の手を重ねて、強く擦り始める。

「はぁ・・・」

絶頂を味わったばかりの力ない目が、坂口を捕えてジッと見つめている。瀬戸の前で自慰を晒しているようで恐ろしく恥ずかしいのに、気持ち良くて堪らない。腰はすぐに絶頂の報せを寄越すように疼いて、込み上げてくる熱を生々しく感じた。

「瀬戸ッ・・・ん、イく・・・」

秘裂が蠢くのと同時に、瀬戸の腹や胸に白濁の蜜が散っていく。

「ふぅ・・・うッ・・・」

酩酊感に天を仰いで呻いていると、止まった坂口の手に代わって瀬戸の手が絞り出すように萎んだ分身を愛撫する。

「あ・・・瀬戸ッ、ストップ。」

情けない声が喉元まで出掛かって、瀬戸の手を掴んで愛撫を遮る。久々に味わう人の温もりが、ずっと想いを寄せていた相手だなんて信じ難い。夢心地で極まり、浮遊感に浸ったまま、瀬戸の秘部に手を伸ばす。

「せっかくだから、使おうか。」

「え・・・?」

職場で瀬戸に渡したローションボトル。二日連続で連れ込んだ所為で、結局彼は自宅へ持ち帰ることができなかった。しかし実践にはまたとない機会。勉強にもなるし、気持ち良くなれるし一石二鳥だろうとボトルを見せたら、瀬戸に蹴りを入れられる。

「坂口さん」

「ふざけてないって・・・。」

瀬戸が急に起き上がって冷めた眼差しを寄越す。慌てて自らの軽率な行動を後悔したけれど、瀬戸の臍を曲げるには十分な威力だったようだ。

「やっぱりセクハラだったんですね。」

「いや、これはホント、至って真面目に・・・」

「・・・信用できません。」

「偶然あるから丁度いいっていう話であって・・・別に最初からそのつもりで渡したんじゃないって。信じてよ・・・。」

「・・・。」

瀬戸の視線が痛いし怖い。さっきまでの甘い時間はどこかへ吹き飛んでいた。

「正直に答えてくださいね。」

「・・・。」

「本当に、全く下心なかったんですか?」

嘘は一片たりとも許さないという目で射抜かれたら、誰だって狼狽える。それに好きだからこそ、完全に白だと言い切ることはできなかった。肯定も否定もできずにいると、瀬戸が呆れたように呟く。

「職権乱用です。」

「いや、だから、遊んだつもりはなくて・・・瀬戸の仕事に役立つと思って・・・。」

「いいです、もう・・・。」

「え?」

「別に・・・イヤだったわけじゃないし・・・。」

拗ねたようにそっぽを向いたのは一瞬で、瀬戸は少し呆れたように笑う。

「坂口さん、焦った?」

「・・・。」

「少しくらい仕返しして、坂口さんの困った顔、見たかっただけです。」

「なんだよ、もう・・・。」

壁を作らず笑ってくれることが何より新鮮で嬉しい。ようやく本物の彼を見られたような気がして、胸に込み上げてくるものがある。しかし壁を作って彼を特別に仕立てていたのは自分の方かもしれない。瀬戸が冗談を言うことに驚きを隠せないけれど、彼にそういう一面があったって、なんらおかしい事ではない。

「瀬戸」

「はい?」

「続きしよ。」

「・・・はい。」

触れるだけのキスをすると、瀬戸が恥ずかしそうに口付けを返してくる。啄むように唇を求め合っているうちに、すぐに二人の熱は上がっていった。









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