無意識に手が伸びてしまうほど抱きたかったはずなのに、いざ前にするともったいなくて先に進めない。しかし無心で瀬戸の唇を貪っているだけで、身体の熱は上がっていく。
「坂口、さん・・・ッ」
「うん?」
「苦し・・・」
瀬戸の抗議に、吸い付いていた唇から口を離す。しっとりと湿った薄い唇を指でなぞると、瀬戸の瞼が恥ずかしそうに伏せられる。
「瀬戸?」
シャツのボタンに手をかけたのは瀬戸の方が先だった。坂口の肌を晒して、胸に額を押し付けてくる。積極的な手に腰が疼き、心臓が忙しなく駆け始めてしまう。こんな煽られて、冷静でいられるわけがない。
「早い、ですね。」
「・・・うん。」
掌と額の両方で、瀬戸が坂口の鼓動を確かめている。その仕草は気まぐれに擦り寄ってくる猫のようだが、この色っぽさは紛れもなく人のものだ。心臓は爆ぜそうなほど轟音を立て、布に阻まれて窮屈そうにしている分身に痛みをおぼえ始める。
「ッ・・・瀬戸・・・」
手を強く引かれてソファへなだれ込み、坂口は思わず声を上げる。いつまでも燻って何もできないでいる坂口に、瀬戸が先を促してくる。瀬戸の瞳に確かな欲情を感じ取っている間にも、瀬戸はさらに引き寄せて彼の唇が坂口に吸い付いてきた。
自分は夢でも見ているのだろうか。何もかもが想像と違う。ただ従順で控えめな印象しかなかったが、こんなにも大胆な一面を持っていたなんて。むしろ誘ってくるような積極的な行動に、期待で下着に収まる己の先端が濡れる。
「坂口さん、早く。」
「ッ・・・。」
頭の中で理性の糸が切れる音を聞く。瀬戸の声は小さかったが、はっきり求めてくれる言葉に堰き止めていた劣情が瞬く間に溢れた。
「瀬戸、優しくしたい。」
「・・・ウソ。」
フッと薄っすら開けた口から息をこぼして瀬戸が笑う。彼の手が坂口の欲情の象徴を布越しに捕らえて、その硬さを確かめるようにゆっくり撫でていく。息を詰めて堪えることができたのは一瞬だけだった。こんなサービス全開で耐えられる方がどうかしてる。
瀬戸の唇に噛みつくように口付ける。同時に彼が身に着けていたシャツのボタンを乱暴に外した。現れた白い肌に唇を寄せると、瀬戸が喉を鳴らす。
「んッ・・・」
下腹部を彷徨う唇の刺激がくすぐったいのか、瀬戸が抵抗するように身を捩る。しかし屈むように膝を擦り合わせて逃げを打ったので、感じた証だと気付いて坂口は調子付く。
貸したパジャマのズボンを剥ぎ取るのは簡単だった。一回り自分より小柄な瀬戸には、もともと緩い。手を掛けて下ろすと、瀬戸の前は芯をもって勃ち上がり始めていた。感動しながら眺めていると、瀬戸が坂口の視線に気付いて恥ずかしそうに横を向く。
「見ないでください・・・。」
「それはムリ。」
「ッ・・・」
掌に包み込んだ分身の熱さに眩暈がして、いそいそと自分も前を寛げる。
「瀬戸、触って。」
手を掴んで誘うと、瀬戸の手が迷うことなく先端を指先で弄る。
「はぁ・・・」
感嘆の息を漏らして、瀬戸の硬茎を愛でながら、施される手淫に溺れる。何度この光景を思い浮かべて自分を慰めたかわからない。瀬戸を初めてこの部屋へ連れてきた時も我慢できずに熱を放った。
「瀬戸、一度イかせて。」
ジッと見上げてくる瀬戸の瞳から目が離せない。けれど欲に濡れた自分の目を瀬戸が見ているのかと思うと、身体中の血が沸き立つような羞恥心に苛まれる。積極的に思えた瀬戸の行動に答えを見つけて、坂口は喉の奥で笑った。恥ずかしさを誤魔化すのに、キスは丁度いい。彼が急かしてきたのも、同じ理由だろう。
瀬戸に負けじと見つめ返すと、熱い息を溢しながら坂口の唇を強請ってくる。坂口は扱く手を早めて、求められるまま自分の唇を瀬戸の唇に重ねた。
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朝霧とおる