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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

この雨が通り過ぎるまでに38

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この雨が通り過ぎるまでに38

真面目に心配していたことがバカらしく思えるくらい、食い下がってくる坂口に呆れる。そして考えても無駄だと言った彼の言葉に納得して、自分が陥落したことを悟った。頭で考えてもわからない事がある。理屈では通らない感情がある。それを証明された気分。

坂口の手が遠慮なく瀬戸の肌を弄る。繰り返し心に湧いてくるのは期待だけ。自分でもそれが不思議でならなくて、坂口の指が触れた場所を頭で辿り直す。

「ッ・・・」

瀬戸の反応を一つひとつ確かめるように、坂口の視線はずっとこちらに向けられたままだ。切っ先から溢れるものが、きっと下着に染みを作っている。羞恥心より早く解放してほしい気持ちが勝って、そんな自分に戸惑うばかりだ。

纏わりつく布が煩わしい。触れられることを恐れていた自分にこんな欲望が眠っていたなんて。驚いて逃げ出したい気分なのに、坂口が施してくる手の動きをずっと目で追ってしまう。

「触るよ?」

嫌だと言ってもやめないくせに坂口は聞いてくる。意地悪な手が直に触れてくる衝撃はいかほどだろう。耐えられる自信がなくて、瀬戸はギュッと目を瞑った。

スウェットと下着から解放されて、勢いよく分身が揺れる。間を置かずに坂口の温かい手に包まれて、瀬戸は息を詰めた。

人に触れられるのは初めてではない。けれど泣きたいくらい気持ちがいいと思ったのは初めてだった。

「んッ・・・」

少し扱かれただけなのに、坂口の手に包まれて膨れていく。痛いくらい張り詰めた硬茎が秘裂から蜜をこぼし、その感覚に震えていると、すぐ顔の近くで坂口の吐息を感じた。頬に繰り返し彼の唇が触れて、息をするのも苦しくなっていく。

薄っすら目を開けると、瀬戸の様子に満足しているのか、坂口が少しホッとしたような笑みを浮かべている。こちらは必死だというのに、強引で勝手だ。でも嫌悪感を抱くどころか、受け止めている自分も大概だろう。

人と深く関わることに恐怖をおぼえるほど、深く自分を傷付けた過去。踏み込まれることで傷を抉られると思っていたけれど、理屈ではない衝動が、傷を癒そうとしている。

誘われるがまま、坂口の手に落ちていいのかわからない。しかし彼の向けてくる熱情の全てに喜びを感じている事実を否定することができなかった。

「坂口、さんッ」

自分でも滅多に触れない場所は、たくさんの先走りをこぼして限界を告げる。尋常ではない恥ずかしさと、抗えない快楽。競り上がってくる熱も、秘裂が蠢く感覚も、瀬戸の身体を痺れさせる。自分の身に起こっている事とは信じられなかった。

我慢ができないと身体を震わせた瞬間、白濁が散る。

「んッ・・・ん・・・」

「瀬戸、気持ちい?」

坂口の嬉しそうな声に、これでもかと身体が熱くなった。

聞かなくても知っているくせに意地が悪い。彼の手に愛されて絶頂を味わった証は、坂口の手を今まさに汚している。

「ふぅ・・・ん・・・」

射精感が止まらなくて、泣きたくなる。

「あんまり自分でしない?」

手に散った飛沫を舌で舐め取ってしまった坂口の行動を驚いて凝視する。

「我慢できなくなる時とかない? 俺、結構ダメなんだよね。」

知ってる。職場の後輩を家に連れ込んでおいて、彼がちゃっかり致していたのは、つい先日のことだ。聞かされたこっちの身にもなってほしい。

調子が狂ったのはあの夜からだ。坂口の事を強く意識して、頭から離れなくなった。引き金を引いたのは坂口。けれど何度だって思う。その強引さに流される自分が嫌ではない。

悪気のない坂口の微笑みに、瀬戸は悔しくなる。人の心を掻き乱しておいて上機嫌とはいいご身分だ。冷静に思い返してみれば、些か坂口は欲望に正直過ぎる。瀬戸の気持ちを待つと言っておいて、実質何も待ってはいない。

坂口の唇が瀬戸の唇に落ちてくる。少しばかり反抗心が芽生えて、瀬戸は坂口の頬を指で摘まんだ。









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