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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

紫陽花16

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紫陽花16

受け止める重みが心地良くて、口付けの合間に幾度も安堵の息をつく。

いつもより今藤がキスをくれる。繰り返し、飽きることなく雅人の唇を舐め吸うものだから、少しだけ唇がヒリヒリと痛んだ。

緩慢な刺激だけでは満足できなくて、早く先が欲しいと抱き着くのだが、難なく交わしていく器用な身体が恨めしい。

「何で……」

「時間、たっぷりあるだろ?」

「早く、しろッ。」

遠慮もなく下肢の膨らみを握ると、今藤が雅人の上で眉を顰める。

「甲斐」

肌を湿らせる汗が、今藤の男臭い匂いを充満させる。睦み合う前にシャワーを浴びてしまうことが多いから、滅多にこの独特な空気は味わえない。

「こっちの方が、好き。」

「甲斐?」

「何でもない。」

今藤の前を震える手で解く。幾度も触れて、彼のカタチを知っていても尚、緊張することがある。一週間焦がれてようやく会えた今夜は、初めて抱き合った時のように胸がいっぱいになって理性が追い付かずにいた。

「甲斐。シャワー浴びてないんだからいいよ。」

「俺はしたい。」

口でするのはさすがに阻止されるだろうから、寛げて硬く芯の通る今藤を指先で転がして軽く握る。

「ッ……」

「なぁ。」

「ん?」

「おまえも、自分でしたりする?」

薄く笑って口付けてくるものだから誤魔化されるかと思ったが、珍しくはぐらかさずに答えてくれる。

「まぁ、長く会えない時とかな。」

「……そっか。」

はっきり明言され、見つめ返してくる眼力の強さに狼狽える。

「甲斐は?」

「ッ……俺は……」

「聞いといて、詰まるなよ。」

目を逸らして小声で、俺も、と告げると手の中で擦っていた今藤の分身が容積を増す。彼の腰も震えて、興奮してくれていることがわかる。単純な脳味噌だと自分でも思うけど、たったそれだけの事が嬉しい。

激しく求められることだけが雅人を満たすわけではない。細かいことに恋情を感じ取って安心したりするものだ。

このまま彼が達する瞬間を見届けたくなって手を早めると、今藤が目を細めて雅人を見下ろしてくる。

「見たい。」

「つまんないだろ、俺が。」

「たまにはいいじゃん。」

食い入るように赤く筋立ってきた分身を見つめると、先端の秘裂が震えて透明な蜜が垂れる。

「ッ、甲斐……」

「今日は強引じゃないよな。」

手の中でどんどん漲っていく分身に余裕のなさも感じて、なんだかそれも新鮮だ。

「今日だけは、甲斐の気持ち優先しようと思って。」

「今日だけかよ。」

「逃げられたくないから、たまにはな。」

「いつも優先しろよな。」

「振り回す方が性に合ってる。」

「性格悪い。」

やられっぱなしは癪なので、彼のツボを探すように重そうな蜜袋を掌で揉み込む。すると弱点だったのか、潤んでいた先端が再び蠢いて蜜をこぼした。

「ッ……甲斐、挿れたい。」

熱っぽい瞳に惹かれて危うく頷きかけたが、辛うじて突っぱねる。呆れたように苦笑した今藤から汗が滴り落ちた。快感に堪える顔は、いつも雅人が今藤に晒しているものだ。たまには主導権を握って愛撫するのもいい。それに今夜は今藤がもったいぶって触れてこないので、便乗することにした。

「ッ……甲斐ッ……」

今藤がしつこく愛撫を繰り返す理由が少しだけわかる。恋人が快感に溺れる顔を見るのは最高に気分がいい。自分の弱い部分を許して感じ入るには、互いに信頼がなければ成り立たない。一夜限りの相手になくて、今藤に対してだけあるものだ。今藤も気を許してくれているからこそ、雅人の好きにさせてくれるのだろうから。

「ッ……はぁ……」

シーツをキツく握り締める手をそっと撫でると、焦ったように今藤が身体を震わせる。上がる息に少しずつ呻く声が混ざり始めて、絶頂が近いことを教えてくれた。

「甲斐……」

「うん」

「も、イく……」

普段のしつこさを思えば、少し早い。けれど無粋な感想は仕舞って、射精を促し攻め立てるように分身を擦る。

手に握る熱塊が張り詰めて波打つと、雅人の腹や胸を叩くように白濁が勢いよく落ちてくる。

「うッ……ん……」

歯を食いしばって快感をやり過ごそうとする色っぽい顔に、雅人は思わず手を伸ばして口付けを強請る。キスを繰り返す合間も、今藤は身体を幾度も震わせ、息苦しそうに吐精した。

手に掛かった飛沫をどさくさに紛れて舐め取ろうとすると、今藤が顔を顰めて雅人の手を掴む。

自分は躊躇わないくせに、恋人にさせるとなると彼は潔癖なのだ。

「満足したか?」

雅人の様子を窺うような今藤の目に、ハッとする。雅人の緊張を察して、曝け出すための猶予を与えてくれたことに気付く。

傷付いていることも、冷静になるだけの時間を欲していることも、彼はわかっていたんだろう。今藤なら雅人を抱き潰して吐かせるのは容易いことかもしれないが、雅人のプライドを慮ってくれたのだ。

「なぁ……もう、大丈夫、だから……」

力強い腕と強引さが恋しくなって、羞恥心と闘いながら先を強請る。

「今日で全部吐けよ。」

「ん……」

今藤らしいストレートな物言いに、キスをしながら喉の奥で笑う。簡単に解けない強さで手首を掴まれ、雅人はその事に心底ホッとした。








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