この世に、もしもはない。
わけもわからず、ただ前だけを見て、がむしゃらに駆け抜けた鉄華団という道。
辿り着いた場所に君がいないという現実を、俺はこれから歩む日々の中で受け入れなくちゃいけない。
多くを望んでいるつもりはなかった。
あの日、俺が願っていたことは、ただ一つ。
シノに帰ってきてほしかったという事だけだった。
けれど俺の願いは、広い宇宙に霧散して、星屑になって消えてしまったんだ。
俺、言ったよね?
死んだら許さない、って・・・。
二人で飲もうか、っていう話はどうなったの?
こっちの気も知らないで、何度バカな事をすれば気が済むんだよ。
君を生きて返してくれという切なる願いを、一つひとつパーツを嵌めていきながら流星号に託した。
願いを聞き届けてくれる流れ星は君だと信じて送り出したのに。
残骸すらこの手には戻ってこなくて、シノを想うこの気持ちを、胸から根こそぎ毟り取りたくなるほど俺は苦しかった。
忘れていたんだ。
流れ星は空の彼方で燃え尽き、消えてしまう運命だってことを。
君はフラウロスにとんでもない名前を付けてしまったものだよね。
でも今、俺はシノと出逢ったこの世界で、君を想い、汗を流して生きている。
シノはいないけど、つなぎに背負った流星号に、今を受け止め、先に進み続けることを俺は誓ったんだ。
シノや団長や、散っていった多くの皆が遺してくれた道。
大きな歴史という波の中で、鉄華団の存在は葬り去られてしまったけれど。
心に残る家族の顔は今も鮮明に蘇って色褪せることはない。
不思議なんだ。
君はいないけれど、俺はあの頃より息をすることがずっと楽になった。
居場所のない心許なさを鉄華団が消し去り、長いトンネルを抜けた先で吹いた新しい風は、確かに俺たちに存在意義を与えてくれたんだ。
止まることはできない。
変わっていかなくちゃいけない。
今この瞬間、輝いて生きていくために。
この手からこぼれ落ちてしまった全ての命を、一人で背負って生きていけるほど強くはないけれど。
残された家族で記憶を分け合い、俺たちはどうにか前を向こうとしている。
時折、力加減のないシノの手で背中を押してもらいたくなる。
無性に恋しくなって声を殺して泣くこともある。
シノ、お願い。
見守っていて。
胸を張って生き抜いた証をシノに見せたいから。
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流星号・・・(泣)
言葉にならないです。。。
ちなみにpixivでは「
ぽっぽ」という名で載せています。
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朝霧とおる