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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

君のいない世界で(ヤマギからシノへ)

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君のいない世界で(ヤマギからシノへ)

この世に、もしもはない。

わけもわからず、ただ前だけを見て、がむしゃらに駆け抜けた鉄華団という道。

辿り着いた場所に君がいないという現実を、俺はこれから歩む日々の中で受け入れなくちゃいけない。

多くを望んでいるつもりはなかった。

あの日、俺が願っていたことは、ただ一つ。

シノに帰ってきてほしかったという事だけだった。

けれど俺の願いは、広い宇宙に霧散して、星屑になって消えてしまったんだ。

俺、言ったよね?

死んだら許さない、って・・・。

二人で飲もうか、っていう話はどうなったの?

こっちの気も知らないで、何度バカな事をすれば気が済むんだよ。

君を生きて返してくれという切なる願いを、一つひとつパーツを嵌めていきながら流星号に託した。

願いを聞き届けてくれる流れ星は君だと信じて送り出したのに。

残骸すらこの手には戻ってこなくて、シノを想うこの気持ちを、胸から根こそぎ毟り取りたくなるほど俺は苦しかった。

忘れていたんだ。

流れ星は空の彼方で燃え尽き、消えてしまう運命だってことを。

君はフラウロスにとんでもない名前を付けてしまったものだよね。

でも今、俺はシノと出逢ったこの世界で、君を想い、汗を流して生きている。

シノはいないけど、つなぎに背負った流星号に、今を受け止め、先に進み続けることを俺は誓ったんだ。

シノや団長や、散っていった多くの皆が遺してくれた道。

大きな歴史という波の中で、鉄華団の存在は葬り去られてしまったけれど。

心に残る家族の顔は今も鮮明に蘇って色褪せることはない。

不思議なんだ。

君はいないけれど、俺はあの頃より息をすることがずっと楽になった。

居場所のない心許なさを鉄華団が消し去り、長いトンネルを抜けた先で吹いた新しい風は、確かに俺たちに存在意義を与えてくれたんだ。

止まることはできない。

変わっていかなくちゃいけない。

今この瞬間、輝いて生きていくために。

この手からこぼれ落ちてしまった全ての命を、一人で背負って生きていけるほど強くはないけれど。

残された家族で記憶を分け合い、俺たちはどうにか前を向こうとしている。

時折、力加減のないシノの手で背中を押してもらいたくなる。

無性に恋しくなって声を殺して泣くこともある。

シノ、お願い。

見守っていて。

胸を張って生き抜いた証をシノに見せたいから。











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流星号・・・(泣)
言葉にならないです。。。
ちなみにpixivでは「ぽっぽ」という名で載せています。

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