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とおる亭

*BL小説* 全作品R18です。 閲覧は自己責任でお願いいたします。

新緑の楽園35

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新緑の楽園35

目を瞑って直樹からのキスを待つものの、一向に彼の唇は春哉に触れてこない。業を煮やして薄っすら目を開くと、直樹が目の前から消えていた。

「え、ナオ?」

後ろを振り返ると直樹は勉強机の前にある椅子に腰を下ろして溜息をついている。一人キス待ちで立っていた自分は相当間抜けだ。

「今日は大人しく寝ましょう?」

「チューもなし?」

「また過呼吸になるかもしれませんよ?」

「えー!!」

声を上げて抗議すると、直樹の顔に焦りの色が浮かぶ。

「ほら、また興奮するとなりますから、落ち着いてください。」

「もう大丈夫だもん……。」

直樹の律儀で真面目なところは好きだけど、川口に言われたことをきちんと守る気なら嬉しくない。思い遣りを見せてくれるというのなら、好きな気持ちを形にしてほしいのだ。気持ちは目に見えない。曖昧なままだと恋人という椅子への座り心地が悪い。

それに優先したい気持ちをないがしろにされたようで気に食わない。直樹を困らせることが目的に変わり、春哉は大袈裟に不貞腐れたフリをして、直樹に背を向けベッドへ転がる。こういう演技は下手だけど、ちょっとは効果があるだろうか。

「ナオの事が好きで、ナオも好きだって思ってくれて、チューしたいって思うのはダメなの?」

「そうじゃなくて……。あんな風に目の前で苦しそうにされたら焦ります。ホントにビックリしたんですよ?」

「もうならないもん。」

「そんなの、わからないじゃないですか……。」

諭してくるような口調も納得がいかない。背後で直樹が立ち上がる音を聞いて、春哉は背を向けたまま口を堅く結ぶ。自分だけが欲しがってばかりだから、直樹に少しくらい望んでほしいのだ。

「春哉さん、怒んないで。」

「ッ……。」

途方に暮れた顔で突っ立っていることを予想していたのに、直樹がベッドへ上がってくる。彼の分の重さも相まって、マットが深く沈んでいく。そして肩に直樹の手が触れてきたので、春哉は急に緊張して身体を固まらせた。直樹の手は温かく、春哉を振り向かせようと力を込めてくる。

やっぱり下手な芝居だったのかも、と敗北感を味わいつつ、ちょっと強引に出てくれた直樹にときめく。怒っているフリをやめようかどうしようかと悩んでいる間に、もう一方の手が伸びてくる。そして春哉の顔をすくい上げて強気に出てきた直樹の手に視界を変えられた。

「ッ!!」

直樹にぎゃふんと言わせるつもりが、驚かされたのは春哉の方だった。

唇にふにゃりと柔らかいものが触れる。待ち望んでいたものなのに、何をされたのか咄嗟にはわからなかった。春哉は驚きで息を止め、伏せられた至近距離にある直樹の黒い睫毛を見つめる。呆然としている間に、ゆっくりと直樹の顔が離れていく。きっと時間にしてみれば僅かなキスだったんだろう。

「春哉さん、息してください。」

「ッ、ふぅー……。」

春哉の口と鼻に手をかざした直樹が苦笑しながら呼吸を促してくる。

今日二度目の眩暈もこの上なく幸せだ。嬉しいと酸欠にもなるらしい。

キスの味は余裕がなくて残念ながらわからなかった。ペロリと舌で自分の唇を舐めてみるけれど、やっぱり何味かわからない。ちょっと強引に唇を奪われて、落ち着いてなんかいられない。直樹のキスに満足して抱き着くと、喜びのままに彼の足に巻き付いて身体を擦り寄せる。

「春哉さん、苦しいってば……。」

疼くままに腰を押し付けていると、身体はすぐその気になって兆してくる。頭のリミッターはとっくに外れていて、恥ずかしいと気持ちは欠落していた。触れてほしいという感覚も自然と湧いてくる。男同士でどうするのか知らないけれど、溢れ出てくる欲求のままに言葉を口にする。

「ナオ、触りっこしよ?」

拒まれることは一切頭にはなくて、直樹に手を伸ばしてスウェットの上から触れる。春哉と同じで少し硬く変わっていた。

「安静に、って言われてるんですからダメですよ……。」

振り払ってきた直樹の手が焦ったように春哉の手を引き剝がしにかかるが、その手にさほど力はこもっていない。拒む手が本意ではないことを感じ取って嬉しくなる。

「ナオだって勃ってるのに、なんでダメだって言うの?」

「それとこれとは話違うし……。」

興奮している時にあれこれと説教じみたことを言われても頭に入ってこない。ただ純粋に出すものを出したいと気持ちがあるだけだ。

ごにょごにょと呟いている直樹の前で、自分のズボンと下着を下げて前を寛げると、直樹が慌てた様子で春哉の手を止めようとする。

「わッ、ちょッ、春哉さん、落ち着いて!」

「出たら落ち着くよ。」

直樹の制止を気に留めず自分の分身を握ると、身体が刺激に歓喜して手の中で分身が膨れた。

「ふぅ……。」

集中したくて横になったまま身体を屈める。痛いくらいの視線を感じて直樹を見上げると、彼の眼差しが春哉の手の中に注がれていた。春哉は早く直樹を同じ熱に溺れさせたくて、直樹の手を自分の分身へ導いた。









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