光の熱量に圧倒されて貪り尽くされた昨夜は、シーツに貼り付いてしまったかのように身体が重くなり、シャワーも浴びずに眠った。目に見える形で求められてホッとするなんて、随分自分の頭は単純にできているらしい。けれど光が見せてくれる反応すべてが、怯えていた気持ちを吹き飛ばすのに十分な威力があったのだ。
まどろみから覚醒すると、すでに光は目覚めていたようで、目が合って息を呑む。
「ッ……。」
「もうちょい寝てれば?」
「ッ……起きてるなら、起こしてよ……」
「疲れさせたかな、って思ってさ。」
こういう事後の甘い時間は知らない。情事を思い出して込み上げてくる猛烈な恥ずかしさに負けて、思わず光から目を逸らす。
散々昨夜は慌てふためいていたくせに、今朝はすっかり開き直っているのか堂々としたものだ。
「ちょッ、隆一。怒ってる?」
自分だけが羞恥心に苛まれていることが余計に居た堪れなさを煽って、怒っていないと否定しながら光に背を向ける。
「俺、なんかした?」
「別に……。」
真っすぐ気持ちを明かし、溢れんばかりの恋情を証明してくれた両想いの恋人に向ける態度としては、いささか自分の態度は可愛くない。素直でなく冷たいあしらいをしてしまう自分に、隆一は自分でも落ち込む。けれど、疑っていた気持ちや不安が消えたからといって、急に恋人面できるほど肝が据わってはいないのだ。
「隆一、昨日……やっぱり無茶させ過ぎたよな?」
申し訳なさそうに後ろから抱き締めてくる光の温かい手に、まどろみから完全に覚醒していない身体が懐柔される。馴染む互いの体温に安堵の息を吐き出して、二人の肌が呼応していると思うくらいには幸福感に包まれて惚けていた。
今まで幾度となく光の手を振り払って無碍にしたから、抱き締めてくる光の手は慎重だ。それに隆一を怒らせていると思い込んでいるから尚更だろう。しかし慎重に抱き締める腕を強くして、完全に抱擁されると、臀部を硬いものが突く。すぐに光の屹立だと気付いて、隆一は頬を熱く火照らせた。
「……光、当たってる……。」
「あ、や、別に今したいとかじゃなくて……」
「わかってるよ……」
「先、シャワー使っていい?」
「どうぞ……」
「抜いてくる。」
「ッ、いちいち言わなくていいから。」
正直な物言いは好きだけど、ここまで正直だと掛けるべき言葉が見つからない。隆一には悪態をつくのが精一杯だった。しかも起き上がったと思ったら、前を隠すこともせず、フラフラと芯の通った硬茎を揺らしながら、光は素っ裸でシャワーへ向かう。
爽やかなはずの朝には到底似つかわしくない光景に、隆一は光から目を逸らして枕に突っ伏す。赤面した顔を光に見られなかったことだけが幸いだった。
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朝霧とおる