隆一の中に分身が収まった瞬間、耐え難い衝動に駆られ、忍耐の糸がふつりと切れる。気付いた時には隆一を組み敷いて腰を打ち付けていた。
「ッ、隆一、ゴメ……」
壊したら、傷付けたらどうしようと焦る一方、湧き上がってくる劣情を止められない。乱暴なことをしているはずなのに、うっとりと見上げてくる隆一の視線にも煽られてしまう。光が手を伸ばすことを拒んだ彼の言動を考えれば、真逆のことをしでかしている光は責められて当然だろう。けれど隆一はキスを強請ってくるだけで、光を糾弾する様子は欠片もない。
「ひか、るッ、もっと……」
熱い眼差しに懇願されて彼の足が光の腰に巻き付く。求めてくる姿に感激していたのも束の間、分身が蠢く隆一の内部に絞り取られる。眼前に星が散って、腰に力が入らなくなった。
「うッ……う……」
「ッ、あ、ひかるッ……」
勇んで奮う間もなく射精して、情けないと思う余裕すらなかった。身体を幾度も震わせて吐精していると、頭は空っぽになっていく。組み敷いた隆一を強く抱き締めながら呻いていると、隆一が足りないと言わんばかりに腰を揺らめかせて次を強請ってきた。
「光、足りないでしょ?」
たっぷり熱を放ったはずなのに衰えない分身が、隆一の温もりをダイレクトに脳へ伝える。しかし何もかもが初めてで勝手がわからず赤面して狼狽えていると、腰にしがみついていた隆一の足が緩んでベッドへ着地した。
「替えよっか。」
囁くような声で耳打ちしてきた隆一の機嫌は良さそうだ。打ち付け合った下半身を離して隆一の中から己を出すと、ゴムの先端で吐き出された白濁が揺れる。光が居た堪れなさに手で隠すと、隆一が小さく笑った。
「今さら恥ずかしがることでもないでしょ?」
「ッ、恥ずかしいもんは恥ずかしい……。」
隆一の落ち着いた声とは反対に、ぼそぼそと小声で言い返す。視界に入る隆一の身体の中心では、まだ硬いままの分身がこっそり主張していた。
「ゴメン、俺ばっか……。」
二つ目のパッケージに手を伸ばして世話を妬こうとするので、隆一の手から奪い取って、先程の記憶を呼び戻して慣れない手付きでゴムを纏わせる。
「俺は……嬉しい……。」
しみじみと告げてくる隆一に安堵して肩を押す。なんの抵抗も示さず素直にシーツへ横たわった隆一は、光を視界に捉えたまま、一向に目を逸らさない。そんな彼が珍しくて、吸い込まれるように、光も見つめ返す。
「なぁ。」
乱暴にすることが良い事だとは思えないが、結果的に我慢のきかない強引さが功を奏したらしい。荒治療にもほどがあるけど、隆一が嬉しそうだから、今回は良しとするしかない。
「少しは信用しろよ。」
「……そうだね。」
「すげぇ、焦った……気持ち良くて、止まんねぇんだもん。」
「うん。」
「俺、おまえが初めてだから……」
気まずい気持ちを持て余して意気消沈していると、隆一が笑い出す。
「笑うなよ、隆一……」
思い切り笑う隆一が珍しくて、一瞬呆気にとられる。しかしすぐに羞恥心が戻ってきてしまったので、噛みつくように隆一へ口付けた。
いつもご覧いただきまして、ありがとうございます!!
↓ 応援代わりに押していただけたら励みになります!
にほんブログ村
B L ♂ U N I O N
Twitter
@AsagiriToru
朝霧とおる